2024年1月16日 (火)
[ドイツ] 連邦統計庁によると、2023年第4四半期(Q4)の実質GDP成長率は前期比▲0.3%だった。Q3は0.0%へと上方修正されたため、2四半期連続のマイナス成長を回避したことで、2023年後半の景気後退局面入りを回避した。しかし、2023年通年の実施GDP成長率は前年比▲0.3%だった。機械装置投資は増加したものの、個人消費や政府消費、建設投資、輸出、輸入と多くの最終需要項目が前年から減少した。
[欧州] 欧州天然ガス(TTF)先物価格は15日、2023年8月以来の30ユーロ/MWh割れ(約9.5ドル/mmbtu)。2022年のピークは345ユーロ/mmbtu。現在の寒波は間もなく緩む予報。1月15日時点のガス貯蔵率は79%とこの時期としては極めて高く、欧州はガス供給に大きな支障なくこの冬を乗り越えられる公算。紅海経由のLNG出荷混乱の報道には反応薄。在庫が高水準のまま春を迎えれば、来冬に向けた在庫補充にも余裕ができ、LNG価格への圧力も緩む。
[モザンビーク] IMF理事会は1月8日、モザンビークに対する拡大クレジットファシリティ(ECF)の第3回レビューを実施し、同国政府の財政支援を目的とした約6,070万ドルの即時供与を決定した。同国向けのECFは非開示債務問題の発覚により2017年に停止されていたが、その後の財政健全化の取り組みが評価され、2022年に再開された。今回の決定により、再開後のECF総額は2億7,300万ドルとなる。IMFは、北部のガス田からの天然ガス輸出の開始が経済の上向き要因となり、2024年の同国の経済成長率を5.0%と予測している。
[グアテマラ] 昨年8月のグアテマラ大統領選挙で勝利したアレバロ氏がようやく大統領に就任した。検察当局はアレバロ氏が率いるシード・ムーブメント党が政党登録するにあたり不正な署名集めをしたとの疑惑を巡り党の法的地位の停止を求め、選挙結果を無効とするように要求していたが、グアテマラ憲法裁(最高裁)は選挙結果を支持し就任に至った。アレバロ大統領は学者・外交員からの転身だが彼の父はかつて同国の大統領を務めた人物。汚職撲滅、民主化推進を求める先住民を含む国民からの支持と共に、米やEUも新政権支持のスタンスを明確にしている。
[ミャンマー] 工業製品・農産物の輸出が不振になっている。商業省が1月中旬に発表した2023年4月1日から12月29日までの工業製品の輸出額は、前年同期比20.2%減の68億4,000万ドルだった。輸出総額の5割以上を占める衣料品と天然ガスが、クーデター前の2019年4月から12月の実績を下回っている。これは、衣料品大手の調達停止や天然ガス生産の減少が影響している可能性がある。輸出総額の約2割を占める農産品は、前年同期比13.9%減の23億1,400万ドルだった。
[イラン] 1月16日未明に、イランの革命防衛隊(IRGC)がイラク北部のクルド自治区エルビルの空港近辺などの複数個所を弾道ミサイルで攻撃したことを発表。この攻撃で少なくとも民間人4人が死亡、17人が負傷し、エルビル空港の全ての離着陸便が停止した。IRGCは、イラン国内で発生したテロ攻撃への報復として、イスラエルの諜報拠点や反イラングループの拠点などを攻撃したと発表。同様に、シリアのイスラム国拠点に対しても、IRGCが弾道ミサイルによる攻撃を実施したとのこと。
[米国/台湾] 1月13日の台湾総統選の結果を受け、ブリンケン米国務長官は頼清徳副総統の当選を祝福する声明を発表した。そして台湾の民主主義と選挙プロセスが強固なものであることを台湾国民は示した、と歓迎し、米国政府は台湾海峡の平和と安定にコミットすると述べた。総統選に先立つ12日、同長官は訪米中の中国共産党中央対外連絡部の劉建超部長と会談を行い、米中関係や国際情勢について議論している。バイデン大統領は、遊説先に赴くタイミングで台湾総統選について記者から問われ、台湾独立を米国政府は支持しないと発言した。
[米国] 米議会の下院中国特別委員会(ギャラハー委員長(共和党))は最近米半導体企業の中国への投資状況や事業展開に対する調査を強化しているが、Intelなど米半導体企業3社の経営トップに対して公聴会での証言を要請する書簡を1月11日付で送付していたことが明らかになった。Intelなどの米半導体企業の経営トップはバイデン政権が昨年導入した最先端半導体の対中輸出規制強化に反対するロビー活動を展開していたことが公聴会証言を求める契機になった。
[ロシア/北朝鮮] 北朝鮮の崔善姫外相が1月15日から17日までロシアを訪問する。16日、モスクワでロシアのラブロフ外相と会談する予定で、プーチン大統領と会う可能性も「除外しない」とロシアのペスコフ大統領報道官が15日に語った。ペスコフ大統領報道官によると、「近い将来、ロシア大統領の北朝鮮訪問が実現すると期待している」と述べた。
[中国] 中国日本商会が、在中国の会員企業に対し、景況および事業環境に関するアンケート調査を行い、その結果を1月15日に発表した。業況や景況認識は引き続き厳しいが、小幅な改善をしているとの見方を示している。2023年の投資額について「2022年より投資額を減らす」及び「2023年は投資をしない」が48%、「大幅に増加させる」及び「増加させる」は15%、「前年と同額」は38%であった。中国メディアも報道しており、回答企業の51%が2024年以降の中国を「最も重要な市場」および「3つの重要な市場の1つ」としていることを前面に掲載している。
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