デイリー・アップデート

2024年1月31日 (水)

[サウジアラビア] 国営石油会社サウジアラムコは、エネルギー省から原油生産能力を現在の日量1,200万バレルで維持する指示を受けたとして、2027年までに同1,300万バレルに増強する計画を停止すると発表した。これは需要見通しの変化や技術的問題が理由ではないという。現在の大規模減産でサウジは十分な供給余力を残しており、コストインフレ・国内発電のガス転換による原油輸出余力の拡大などから、増強を急ぐ必要がないと判断した可能性がある。

[米国/ベネズエラ] 1月30日、バイデン政権は、ベネズエラに対する制裁緩和措置を延長しないと発表した。ベネズエラ最高裁が野党候補の大統領選出馬を認めないとの判断を下したことを受け、過去バイデン政権が暫定的に緩和した、石油、ガス取引に係る経済制裁を4月から復活させる(GL44の失効)。さらに国営金採掘公社との取引(GL43)については、14日間以内に停止するよう米企業などに指示した。ベネズエラでは、2024年後半の大統領選挙実施に向け、2023年10月に与野党合意が成立したため、米国政府は制裁の一部緩和に踏み切っていた。

[ユーロ圏] EU統計局(Eurostat)によると、2023年第4四半期(Q4)のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比+0.0%と、2四半期ぶりに小幅プラス成長を回復した。市場では、Q3(▲0.1%)に続きマイナスとなり、景気後退と予想されていただけに、踏みとどまったといえる。ただし、景気後退局面入りを回避したといっても、成長率は横ばいにすぎず、今後のGDP改定でマイナスへの修正もありうる。いずれにせよ、2023年のユーロ圏経済は足踏み状態だったということに変わりない。

[ロシア/日本] 1月30日、ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)は、ロシアが実効支配し日本が返還を求めている北方領土について、「ロシア領であり、論争の対象ではない」と指摘、日ロの領土問題は「永久に終わった話だ」と通信アプリに投稿した。1月30日同日、岸田文雄首相が施政方針演説で、北方領土問題を解決して日ロの平和条約締結の方針を堅持すると表明していた。

[香港] 1月30日、香港の李家超行政長官は、香港基本法第23条を実施するための法案に関する公開協議を開始するとして法案文書案を発表、法案の公開協議期間を4週間にすると発表した。2024年の7月1日までに法案が成立するとみられる。協議文書では、国家反逆罪、扇動罪、謀略罪、スパイ罪、国家機密窃盗罪などに関する規定のほか、国外からの干渉、国家の安全を脅かす妨害活動などを新しい罪として追加することが提案されている。香港特別自治区の域内法における国家安全の定義は、中華人民共和国のそれと一致させるべきだとしている。

[中国] 1月29日、水素エンジンを搭載した中国独自開発の4人乗り試作航空機が、瀋陽市で初飛行に成功した。テストパイロットによると、十分な動力を発揮し、操縦性能も良好であったもよう。この試作機には、第一汽車の高級乗用車「紅旗」に搭載するガソリンエンジンをベースに開発した水素エンジンが搭載されている。航空分野では、中国も加盟するIATA、ICAOが、2050年にCN達成の目標を設定しており、これに対応して中国国家発展改革委員会が2022年3月に発表した「水素エネルギー中長期規画」の中で、「水素を使用した大型航空機の開発を推進する」との目標が掲げられている。

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