デイリー・アップデート

2024年1月29日 (月)

[サブサハラ] 1月28日、ニジェール、マリ、ブルキナファソの3か国は1975年から加盟している西アフリカ経済共同体(ECOWAS)を即時脱退するとの共同声明を出した。イスラム過激派組織の活動により国内の治安が悪化し、クーデターによる軍事政権下に置かれている同3か国は、軍事政権を承認しないと主張するECOWASとの対立が深まっていた。1月28日同日、ECOWASは声明を発表し、同3か国から脱退に関する公式な文書での通知を受けておらず、今後交渉による解決に臨みたいとの意向を示した。

[ジブチ共和国] IMFミッションによるアフリカ・ジブチ訪問の報告書によると、2023年の同国経済は力強い回復となったが、紅海の混乱で隣国エチオピアの輸出主要港としての地位を失うことなど、地政学的な動向が回復の継続に重大かつ重要なリスクをもたらすとしている。一人当たりGDPが約5,000ドルの同国は、海上交通の要衝である地の利を生かして成長してきた。しかし港湾建設は多額の債務に依存しており、地域情勢の不確実性は高く今後も続くとみられることから、より強靭な経済成長モデルへの変化が必要とされている。

[タイ] 1月25日、TMBタナチャート銀行(TTB)のリサーチ部門であるTTBアナリティクスは、2024年末時点での家計債務が16兆9,000億バーツ(約70兆270億円)、GDP比91.4%に達すると予測している。これは、中低所得者の収入回復が遅れるなど、家計が脆弱な状態が続くことが原因とみられる。タイ中央銀行(BOT)によると、2023年第3四半期の家計債務は前年同期比+3.4%の16兆2,000億バーツで、GDP比は90.9%だった。家計債務の増加ペースは鈍化しているが、これは主要な貸出機関である商業銀行の融資抑制傾向によるもの。一方、クレジットカード、リース、個人ローン会社からの債務は、ここ10年で最速のペースで増加している。

[米国] 商務省によると、2023年12月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比+2.6%だった。伸び率は11月と同じであり、3か月連続で3%を下回った。食料品は+1.5%と2か月連続で2%割れであり、エネルギーは3か月連続マイナスの▲2.2%だった。サービスも+3.9%と4%を下回り、2021年6月以来の低い伸び率になった。食品とエネルギーを除くいわゆるコア指数は、2021年6月以来の3%割れとなる+2.9%だった。

[ロシア] 2024年3月のロシア大統領選に向け、1月26日、改革派政党「市民イニシアチブ」が擁立したナデジディン元下院議員は、下院議席を持たない党からの立候補に必要な10万人を上回る約20万人の署名を集めたと発表した。同氏はウクライナ侵攻に反対の立場を表明している。中央選挙管理委員会が10万人の署名を有効と認めれば、ナデジディン氏の立候補が認められる。

[米国] 1月26日、バイデン大統領は声明を発表し、現在上院で協議中の移民対策法案は厳格かつ公正な内容であるとして、議会に対して速やかに可決するよう要請した。もし不法越境者が米墨国境に殺到するような事態となれば、同法案に規定されている大統領権限を行使し、国境を封鎖するとまで述べた。バイデン政権は、野党・共和党が求める国境管理強化案を受け入れる代わりに、ウクライナ等への対外支援予算も可決するよう、議会と交渉中。今回の声明は、バイデン政権の移民政策の転換を示唆しているが、共和党内では、トランプ前大統領がバイデン政権との妥協には反対しており、協議の行方は不透明である。

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