2024年1月24日 (水)
[EU] 対ロシア制裁第13弾の一環で、ロシア産アルミニウム製品を制裁対象とする案が出ているとニュースメディアPoliticoが伝えた。ウクライナ戦争開始から丸2年となる2月までに合意を目指すが、LNG・原子力関連・アルミ等を制裁対象とすることにはEU内で賛否がある。EUがロシア産アルミの扱いを禁止しても世界全体での流通量は減らずフローが変わるだけで、中東・紅海周辺の混乱も続く中、EU域内の値上がりと川下産業の競争力低下につながるという見方も。
[コンゴ民主共和国] 1月20日、首都キンシャサでフェリックス・チセケディ大統領の二期目の就任式が行われた。2023年12月20日に実施された大統領選において同氏は70%以上の票を得たものの、ほかの候補者らが選挙に不正があったとして異議を申し立てていた。1月9日に憲法裁判所はチセケディ氏の勝利を確定し、同氏の再選が決まった。チセケディ大統領は反政府勢力が活動する同国東部の治安の安定や、貧困にあえぐ国民の所得向上に努めると宣言した。なお、同国はリチウムバッテリー電池の原料となるコバルトの世界産出量の半分以上を占めており、注目が高まっている。中国との関係も深い。
[米国] 1月23日に投票が行われたニューハンプシャー州共和党予備選挙で、トランプ前大統領が勝利を収めた。1月15日のアイオワ州共和党党員集会に続いて連勝となり、共和党大統領候補指名獲得に向けて大きな前進となった。他方、トランプ氏との事実上の一騎打ちで敗北したヘイリー元国連大使は選挙キャンペーンを継続する方針を示し、2月24日に投票が行われる地元の南部サウスカロライナ州予備選挙で勝利すると意欲を表明した。
[インド] スイスのダボスで1月15~19日に開かれた世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に、マハラシュトラ州やカルナタカ州、テランガナ州が参加し、投資誘致に関する覚書を結んだ(多数企業との覚書で、それぞれ総額1兆4,000億ルピー、3,650億ルピー超、2,200億ルピー)。また、インド準備銀行(中央銀行)のダス総裁も講演し、2024/25年度(2024年4月~2025年3月)のインド経済について「成長率は7%以上、インフレ率は4.5%になる」との見通しを示した。
[日本] 財務省「貿易統計」によると、2023年通年の輸出額は100兆円8,866億円となり、3年連続で増加し、比較可能な1979年以降で最大になった。輸入額は110兆円1,779億円と過去最大だった2022年から減少した。差し引きは▲9兆2,914億円となり、2022年の20兆円超の貿易赤字から赤字額は縮小した。輸出では、自動車や建設用・鉱山用機械が増加した一方で、輸入では価格の低下とともに数量も減少した原粗油や石炭、天然ガスなどの減少が目立った。
[中国/米国] 米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが、4年ぶりに中国本土を訪問した際の動画が、中国国内のネット上で流行していることが報じられている。コロナ禍以前は、同社は毎年春節の時期に、中国で現地従業員や顧客を招いたお祝い会を開催していた。今回は4年ぶりの再開で、フアン氏は目立たない形で北京、上海、深センのオフィスを訪問したとされる。現在の政治的環境でいかに注目を集めず、重要な中国市場に対し友好的ジェスチャーを示せるか苦労しているが、中国市場における米中間での板挟みという同社の問題が解決する可能性は低いと記事ではまとめられている。
[米国] 1月23日、ウクライナ支援について協議する多国間会議であるウクライナ防衛コンタクトグループ会合が、オンラインで開催された。ウォランダー米国防次官補が記者ブリーフィングに応じ、ウクライナのF-16戦闘機運用や防空能力強化に向け、米国は欧州各国との協力を進めていると説明した。また、メディア側の関心は、米国のウクライナ支援予算の議会承認をバイデン政権が取り付けられていない点にあり、同会議ではその点について議題には上がらなかったと示したが、弾薬や装備品提供は途絶えてはいないものの、そのペースが落ちてきていることは認めた。なお、オースティン国防長官は、年始来の入退院後初めて会議に参加し、オンライン上で姿を現した。
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