デイリー・アップデート

2024年1月10日 (水)

[インドネシア] 1月2日、スリ・ムルヤニ財務相は2023年度(2023年1~12月)の財政赤字が国内総生産(GDP)比で1.65%の347兆6,000億ルピア(224億8,000万ドル)に縮小したと発表した。当初の政府見通しでは、GDP比で2.30%(法定上限である3.00%内)の598 兆2,000 億ルピアに設定していたがそれを大きく下回る結果となった。GDP 比では2011 年以来最も低かった。2024 年の財政赤字のGDP比は2.29%となる見通し。経済成長率は、2023年には前年の5.3%から約5.0%に減速するとみられるが、2024年は5.2%になると予測されている。

[日本] 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、11月の現金給与総額(名目賃金)は前年同月比+0.2%となり、23か月連続のプラスになった。しかし、伸び率は10月(+1.5%)から縮小し、2021年12月以来の低いものだった。内訳をみると、所定内給与(基本給)が+1.2%、所定外給与(残業代)が+0.9%とプラスだった一方で、前月の反動などもあり、特別に支払われた給与(ボーナス)が▲13.2%と減少した影響が大きかった。なお、実質賃金は▲3.0%と、20か月連続のマイナスだった。

[サブサハラ] 世界銀行は1月9日に発表した「世界経済見通し」において、サブサハラアフリカの2024年の実質GDP成長率を2023年の2.9%を上回る、3.8%との予測を示した。インフレ圧力が弱まることが予想される2025年には4.1%に上昇するとの見方を示しており、特に非資源国の経済が域内の経済成長を牽引するとしている。しかし、予測の下方修正のリスクとして、中東情勢の悪化によるエネルギーや食糧価格の高騰の可能性や、気候変動による負の影響、そして公的債務負担が増加している国での債務不履行リスクなどを指摘した。

[ブラジル] 1年前の1月8日にボルソナロ前大統領の支持者らが大統領府、連邦議会、連邦最高裁判所を襲撃する事件が発生したが、襲撃事件からちょうど1年となった1月8日にルーラ大統領は米ワシントンポスト紙にオピニオンを寄稿した。ルーラ氏は同襲撃事件を踏まえて過激な政治指導者らに率いられた勢力から民主主義を守るためには不平等の是正等の必要性を訴えており、2023年12月に就任したG20議長国としてのアジェンダにも触れている。

[紅海] 中国国営COSCOは紅海で自社船舶の航行がリスクに晒されていないにも関わらず、中国とイランとの強い結びつきを理由にイスラエルの港への寄港を停止した、と現地メディアが報じた。駐イスラエル中国大使はイスラエル外務省に呼び出されたが抗議よりもイスラエルへの航路確保の取り組みのためと見られている。他方、環球時報は、航海を迂回するルートは日数がかかり非効率、また運送コストやリスクも依然として高いことから中国-欧州間の物流は鉄道貨物サービスの利用を検討すべきで、これは「実行可能な代替案だ」としている。

[中東] 米調査会社ユーラシア・グループが毎年発表する「10大リスク」に関し、2024年の10大リスクの2番目を「瀬戸際に立つ中東」とし、昨年途中まで落ち着きつつあるとみられていた中東情勢について、今後数年間にわたって緊張の高い状態が続く可能性が高いと指摘した。現在も続くイスラエルのガザ侵攻に関し、イスラエル人がハマスの完全な壊滅を圧倒的に支持する一方でパレスチナ人はハマスへの支持を強めている現実に触れ、戦争が長引くにつれ両住民の過激化が進み、世界でも過激主義を煽ることになると警告した。

[米国] 1月9日、外遊中のブリンケン国務長官はイスラエル首相など政府高官との一連の会談を終え、テルアビブで記者会見に臨んだ。国務長官は、米国政府によるイスラエル支持の姿勢を改めて強調した上で、人質解放とガザ地区における人道危機への対処についても言及した。イスラエル訪問に先立って、トルコ、ギリシア、ヨルダン、サウジアラビア等、6か国を訪問しており、各国が紛争拡大への懸念を抱いているとして、パレスチナ国家樹立を含む、恒久的な地域安定策を協議する必要性も強調した。また、ガザ地区住民の強制移住は米国政府としては認められないとも明言した。

[韓国] 1月9日、国会本会議で「宇宙航空庁の設立および運営に関する特別法(宇宙航空庁法)」制定案と「宇宙開発振興法」改正案が可決された。韓国版NASA(米航空宇宙局)となる宇宙航空庁は、順調にいけば5~6月に開設される見込み。宇宙航空庁の新設は尹錫悦大統領が大統領選の公約に掲げ、2023年4月に政府は法律案を国会に提出したが、カバーする領域や権限をめぐり与野党の意見が対立し、常任委員会を通過するまで9か月かかった。産業界、学界、(航空宇宙庁が設置される)慶尚南道の地元住民の声が、法案成立の動きにつながった。

[中国] 中国メディア第一財経が住宅の引渡保証支援政策の状況について調査したところ、2023年通年で引渡保証の対象となった350万戸に対し268万戸の引渡しが完了、引渡率が76%を超えたことにより、監督管理部門による引渡保証支援政策が一定の成果を収めた。国家統計局のデータによると、2023年1~11月の建物竣工面積は前年同期比+17.9%、うち住宅竣工面積は前年同期比+18.5%であり、政策が住宅の納期遅延を防ぎ、消費者の信頼を高めたとしている。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

20人が「いいね!」と言っています。
<  2024年1月  >
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31