2024年9月5日 (木)
[南アフリカ] 9月3日、統計局(STATS SA)は2024年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(前期比、季節調整済み)は+0.4%と発表した。第1四半期の0.0%から上昇した。期間中、電力公社Eskomによる計画停電が実施されなかったことを受け、電力・ガス・水道業が+3.1%となったほか、GDPの約3割弱を占める金融業が+1.3%で好調だった。他方で陸上輸送がボトルネックとなり運輸・通信・倉庫業は▲2.2%で最大のマイナスの寄与度となった。9月4日、国際通貨基金(IMF)は投資家心理の改善と電力供給の安定を背景に、南アフリカの2024年の成長率は+1.0%と、7月に発表した+0.9%から上方修正した。
[米国/ロシア] 9月4日、司法省はロシア国営メディア(RT)職員を外国人代理人登録法違反と資金洗浄の疑いで起訴したと発表した。当該職員2名は、米大統領選挙に干渉するため、ロシア政府のプロパガンダ情報を米国内で拡散させたとされ、司法省は同時に、偽情報拡散に用いられた32のドメインを差し押さえたことも公表した。また、財務省が選挙干渉を理由にRT職員10名と2団体に対する制裁措置を発表し、国務省も米国内のロシア政府関連メディアに対して職員や保有資産について報告義務を課すことを公表した。
[米国/日本] 9月4日、ワシントンポスト紙をはじめとする米国主要メディアは、バイデン大統領が日本製鉄によるUSスチール買収計画を阻止する正式発表を準備していると複数の関係者に対する取材に基づき報道し、他のメディアもこれに追随している。同買収案件について現在米国政府の省庁間委員会である対米外国投資委員会(CFIUS)が、米国の国家安全保障に影響を及ぼさないか審査中であるが、大統領には報告書受理後に承認を拒否する権限が法律で付与されている。
[米国] 労働省「雇用動態調査(JOLTS)」によると、7月の求人件数は767.3万件(前月比▲23.7万件)と、3年半ぶりの低水準まで減少した。採用件数は552.1万件(+27.3万件)、レイオフ件数は176.2万件(+20.2万件)とそれぞれ増加した。失業者1人あたりの求人件数は1.07件となり、6月(1.16件)から低下した。労働市場は、まだ堅調な範囲内にあるものの、悪化する方向に推移しているとみられる。
[タイ] 9月4日、ワチラロンコン国王が、ペートンタン首相によって提出された閣僚名簿を承認したと発表した。セター前政権の閣僚の大部分は再任された。「国民国家の力党」からはタンマナット幹事長のグループの議員が入閣し、プラウィット党首のグループの議員は入閣しなかった。セター前政権下では野党だった民主党の党首が新たに入閣した。9月6日に閣僚の就任式、7日に初閣議が行われ、11日にペートンタン首相が国会で施政方針演説を行う予定。
[トルコ/エジプト] 9月4日、エジプトのシシ大統領がトルコを訪問し、エルドアン大統領と会談を行った。2013年にエジプトで当時国防相だったシシ氏が、エルドアン氏の盟友でムスリム同胞団出身の当時のムルシー大統領を大統領の座から排除して以降、両国の関係は冷え込んでいた。エジプト大統領によるトルコ訪問は12年ぶり。ここ2年ほど両国の関係は改善傾向にあり、2024年2月にはエルドアン大統領が12年ぶりにエジプトを訪問した。両国は貿易やエネルギー問題などで協力していく姿勢を示し、17の合意に署名した。
[ウクライナ] ゼレンスキー大統領は、大規模な内閣改造に踏み切ると表明した。同大統領は9月3日の声明で「この秋はウクライナにとって極めて重要だ。政府機関に新たな力を与える時が来た」と述べたが、閣僚の半数が更迭される見通しである。9月4日、国際的に知名度の高いクレバ外相は、議会に辞表を提出したことをSNSで明らかにした。ゼレンスキー大統領は今回の人事刷新で求心力を高める狙いがあるとみられる。
[EU/英国] 9月3日に英国で行われた講演でユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のドノフー議長が、英国・EU双方が信頼回復のための「最初の一歩」を踏み出したことを受け、それを「着実な歩み」に変えていくべきと発言した。英国の政権交代を好意的に受け止めているとみられる。
[中国] 中国政府は、新しく『大学生のための国家安全教育読本』を作成し、大学の国家安全教育の基礎課程で使用すると発表した。同書は「インターネットは重要なコミュニケーション手段であり、ポップミュージックやロックミュージックのような大衆文化は、しばしば(カラー革命の)隠れ蓑として利用される」と警告している。大学生は国家安全保障の概念を正しく理解する必要があり、それを守れなかったことが、マルクス主義と一党支配を放棄したソ連崩壊の主な原因だとしている。共産党機関誌『求是』(8月31日号)は、「中国人の顔をしながら中国人の心を持たない」人を生み出してはならないという、2018年の習近平総書記の演説を掲載した。
記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。
レポート・コラム
SCGRランキング
- 2024年12月3日(火)
『日本経済新聞(夕刊)』に、米州住友商事会社ワシントン事務所長 吉村 亮太が寄稿しました。 - 2024年11月28日(木)
ラジオNIKKEI第1『マーケットプレス』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行が出演しました。 - 2024年11月19日(火)
『週刊金融財政事情』2024年11月19日号に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行が寄稿しました。 - 2024年11月18日(月)
『Quick Knowledge 特設サイト』に、当社シニアエコノミスト 鈴木 将之のQuick月次調査・外為11月レビューが掲載されました。 - 2024年11月15日(金)
TBSラジオ『週刊・アメリカ大統領選2024(にーまるにーよん)』TBS Podcastに、米州住友商事会社ワシントン事務所調査部長 渡辺 亮司が出演しました。