2024年9月18日 (水)
[セネガル] 9月12日、バシル・ジョマイ・ファイ大統領は、国民議会を解散し、11月17日に議会選挙を実施すると発表した。ファイ氏は3月に実施された大統領選で当時野党のPastefから出馬し、前マッキー・サル政権に不満を持っていた民衆からの支持を得て54%の得票率で当選した。しかし、同党は国民議会165議席中、23議席しか有していないため、憲法改正等の可決には議会で多数派となる必要があった。大統領選での敗北以降、野党連合・BBYは勢いを失っていることからPastefが過半議席を獲得するとの見方が強い。ファイ氏は外資との石油・ガス生産契約の見直しや、地域内の共通通貨(CFAフラン)からの脱退を公約に掲げて当選したことから、こうした改正を今後進めたいものとみられる。
[米国] FRB(連邦準備制度理事会)によると、8月の鉱工業生産指数は前月比+0.8%となり、7月(▲0.9%)から2か月ぶりに増加した。製造業は+0.9%、鉱業は+0.8%と増加した一方で、公益事業は横ばいだった。製造業では、自動車・同部品(+9.8%)など耐久財製造業(+2.1%)がけん引した。また、商務省によると、8月の小売売上高が前月比+0.1%と予想外に増加した。オンライン販売が+1.4%と増加した一方で、飲食サービスは横ばいと7月(+0.2%)から減速した。
[ドイツ] インテルはドイツ政府の支援を受けて、マクテブルグに300億ユーロを投じて、3,000人の雇用を生む新たな半導体工場を建設するとしていたが、事業環境の悪化を受けて、計画を一旦棚上げすることを表明した。また、ドイツに加えて、ポーランド工場建設計画も延期すると発表した。同社は欧州戦略を縮小する一方で米国での事業は強化し、アリゾナやニューメキシコ、オレゴンやオハイオでの拡張プロジェクトに取り組む。ドイツは財政状況が厳しいとされる折に、この事業に対し99億ユーロの支援をすることを表明していたが、資金は再配分される見込みとなっている。それ以上に、産業の多様化やイノベーショーンの推進を企図してきたドイツにとって、インテルの決定による痛手は大きい。
[インドネシア] 9月10日、国会財政監査委員会(BAKN)は、2025年から加糖飲料に2.5%の物品税を導入し、徐々に最大20%まで引き上げることを提案している。この物品税の導入は、国民の健康配慮の一環として糖分の取りすぎを抑制・軽減することを目的としているが、それと同時に税収の増加が期待されている。2024年初め、ジョコ・ウィドド大統領は2023年の新たな保健法(オムニバス法:2023 Health Law、PP 28/2024)の実施規則に署名しているが、同法には加糖飲料への物品税の導入について、食品や飲料の砂糖含有量の上限設定と合わせて盛り込まれている。政府は2025年に、タバコ製品、エチルアルコール含有飲料、エタノール、包装された加糖飲料から合計約2,440兆ルピア(約156億ドル)の物品税収を目指している。
[レバノン/イスラエル] 9月17日、レバノン各地でポケベル型の通信端末が爆発し、9人が死亡、約2,750人が負傷した(うち約200人が重体)。爆発は主にベイルート南部、南部レバノン、ベカー高原などヒズボラの影響力が強い地域で発生。死者の内2人はヒズボラ戦闘員で、ヒズボラ構成員約1,500人や駐レバノン・イラン大使などが爆発により負傷したとのこと。ヒズボラはイスラエルによる通話やメッセージの傍受を防ぐため、連絡にポケベルを使用していた。レバノン政府は爆発をイスラエルによる犯罪と断定(イスラエルはノーコメント)。ヒズボラは、イスラエルに対する報復を宣言した。
[米国/EU] 9月16日、米国・EU貿易技術評議会(TTC)の次官級オンライン会合が開催された。米EU・TTCは米EU間で貿易や先端技術分野における協力関係を深化させ、相互の競争力強化を図るべく、2021年に設置されたもので、直近では2024年4月に閣僚会合が開催されていた。今回の次官級会合では、AI技術、偽情報対策、5Gや海底通信ケーブルといった通信インフラの信頼性確保、対内投資審査、非市場主義的政策への対抗措置などについて協議の進捗具合を確認した模様。当枠組みで米EU協議を重ねてきた、鉄鋼・アルミ貿易協定については言及が無かった。
[ブラジル] 国立宇宙研究所(INPE)公表の統計によると、記録的な干ばつと森林火災により、全国土において9月15日時点で6,251件の森林火災が発生中であり、発生件数は昨年比で110%増となっている。そうした中、ルーラ大統領は気候変動対策に関する国家戦略の策定に着手しており、9月21日に国連総会一般演説のために訪米し、国連の場でも自らの気候変動対策を訴える方針である。ブラジルは2025年11月にCOP30 を主催する予定。
[中国] 9月16日の党機関紙『学習時報』の巻頭に、中央党校(国家行政学院)危機管理研究院院長・馬宝成教授の「国家安全の維持をより重要な位置に据えるべき」という論評が掲載された。論評は、7月に開催された三中全会で、国家安全の維持がより重要なものと位置付けられたとしている。第19期五中全会でも、第20回党大会でも、(7月の第20期)三中全会でも国家安全は特に重要視されており、「中国式現代化の推進には発展と安全の関係を良く処理することが必須であり」、「安全は発展の前提である」と述べている。経済発展のために国家安全を緩和してほしいという国内外の要望とは逆の方向性を示している。
[ロシア] ロシアにおける国際通貨基金(IMF)の調査や協議などの活動の再開が難しくなってきた。IMFのロシア代表を務めるモジーン氏によると、IMFは9月16日、訪問団を通じたロシアとの協議を無期限で延期した。予定では同日からオンラインで協議が始まり、その後訪問団が現地入りしてロシア政府当局者と話し合うことになっていたが、ウクライナや西側諸国は、戦争が続いている現状を踏まえずIMFが訪問団を派遣することは、ロシアとの関係正常化を示すことになると反発していた。
[EU] 9月17日にフォン・デア・ライエン委員長が、第2次フォン・デア・ライエン委員会の27加盟国が選出した各委員の担当分野リストを発表した。新設された防衛・宇宙担当委員に、リトアニア選出のクビリュス元首相を任命するなど、反ロシア・親ウクライナの姿勢を維持するとみられる。
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