2024年9月9日 (月)
[米国] 労働省が交渉した雇用統計によると、8月の非農業部門雇用者数は前月から14.2万人増加したものの、市場予想(約16万人増)を下回った。また、6月、7月ともに下方修正された。一方で、失業率は4.2%となり、7月から0.1pt低下した。平均時給は前年同月比+3.8%となり、7月(+3.6%)から小幅に拡大した。雇用創出ペースは足元にかけて減速しているものの、悪化はしていない。
[エチオピア/ソマリア/エジプト] 9月5日、米・戦争研究所はエジプトとソマリアの軍事協力の拡大はエチオピアとの緊張関係を高めると発表した。同協力は8月にソマリアのモハムッド大統領がエジプトのシシ大統領と会談した際に調印した二国間防衛協力協定に基づくもの。ソマリアでは国内の治安維持を目的としてアフリカ連合ソマリア移行ミッション(ATIMS)が展開され、隣国のエチオピアから4,000人以上の兵力派遣を受けているが、2024年末のATMIS終了と次期プログラムへの移行のタイミングでエジプト軍に切り替えると、エジプト・ソマリア両国は意向を示している。ソマリアはソマリランドの主権の問題で、エジプトはナイル川流域管理の問題でそれぞれエチオピアとの対立を鮮明にしている。
[米国] 9月4日に、第117議会(2021~2023年1月)で民主党により設置された「1月6日米連邦議会議事堂襲撃事件特別調査委員会」で副委員長に就任していたリズ・チェイニー元下院議員(共和党)が、米国大統領選挙で民主党候補のハリス副大統領を支持する意向を表明した。2日後の9月6日には、父親のディック・チェイニー元副大統領もハリス氏支持を表明し、両氏ともにトランプ氏について「危険」、あるいは、「より重大な脅威」であるとして党派よりも国家を重視する姿勢を鮮明にした。
[インド/シンガポール] インドのナレンドラ・モディ首相は、9月4日にシンガポールを訪問した。両国は過去20年間にわたり強固な戦略的および経済的な関係を築いている中、今回の訪問で関係を包括的戦略パートナーシップに格上げした。9月5日には、インドとシンガポールが半導体エコシステムのパートナーシップと、デジタル経済の相互運用性を強化する措置を発表した。シンガポールは、世界の半導体生産の10%を占め、半導体製造装置の生産では世界の約20%を占めている。一方、インドの半導体産業もアップルなどが生産を拡大しており、近年大きく進展している。
[オランダ/中国] 9月8日、オランダ政府は半導体製造装置メーカーASMLの輸出規制を拡大すると発表した。対象となるのはASMLのDUV液浸露光装置「NXT:1970i」と「NXT:1980i」。オランダのクレーバー貿易相は国家安全保障上の懸念を理由として挙げた。この措置により、オランダは米国が一方的に自国企業に対して課していた輸出規制に足並みを揃えることになる。9月8日、中国商務部はこの決定に対して不満を表明した。
[豪州] 9月4日、2024年4~6月期の実質GDP成長率は前期比+0.2%、前年同期比+1.0%だったと発表された。家計支出がマイナス成長となるなど内需の低迷が続いている。2024年4~6月期のCPI上昇率は前年同期比+3.8%で鈍化を続けているとはいえ、なお中銀の目標レンジ(+2~3%)を上回っている。中銀は物価の安定を優先して利下げには慎重なスタンスを続け、政策金利は4.35%の高水準が維持されている。このため物価高と高金利が消費と投資の重石になる状態が続いている。
[アルジェリア] 9月7日に大統領選挙が実施され、翌8日には選挙管理当局がテブン大統領の再選を発表した。当局は暫定結果として、「平均投票率」を48%、テブン氏の得票率を94.65%と発表。他2候補の得票率はそれぞれ3.17%と2.16%で、大差をつけた完勝であった。テブン氏の再選は選挙前から確実視されていたが、注目は投票率であった。当局は「平均投票率」を48%と発表したが、総投票数は563万票と発表されており、投票率はもっと低い計算になると考えられるが、詳細については最終結果の発表が待たれる。
[米国/中国] 9月7日、ラーゴ米商務次官(国際通商担当)は中国を訪れ、米中商務作業部会に参加した。中国商務部の王商務副部長は、米国の対中301条関税や過剰生産問題などについて反論し、国家安全保障と経済活動の両分野を隔てる明確な境界線が設定されるべきであると主張した。同作業部会は2023年8月にレモンド商務長官が訪中した折に設置が合意され、2024年4月に第1回会合が開催されている。8月末にはサリバン大統領補佐官、9月にはポデスタ気候変動特使が中国を訪れるなど、バイデン政権高官による訪中が相次いでいる。
[ロシア] ロシア各地で9月6日から州知事や自治体の首長や議員らを選出する「統一地方選」の投票が3日間の日程で行われた。2024年は、ウクライナ軍の越境攻撃を受ける露西部クルスク州の知事選や、極東のハバロフスクやサハリン州で知事選などが行われた。知事選では、プーチン政権の与党「統一ロシア」の候補者が大半の地域で勝利する見通しである。
[フランス] 9月5日にマクロン大統領がバルニエ氏を首相に指名したが、フランス国内情勢は混乱が続いている。バルニエ首相就任直後の週末には、極左の「不屈のフランス」が主導した抗議デモが発生した。極右の国民連合は、バルニエ首相が10月初めに発表する予定の政策プログラム次第で、支持・不支持の姿勢を明らかにするとみられている。
記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。
レポート・コラム
SCGRランキング
- 2024年11月8日(金)
NHK World 『Newsline』に当社シニアアナリスト 浅野 貴昭が出演しました。 - 2024年11月7日(木)
『東洋経済ONLINE』に、米州住友商事会社ワシントン事務所調査部長 渡辺 亮司のコラムが掲載されました。 - 2024年11月6日(水)
『日刊工業新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2024年11月2日(土)
『日本経済新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2024年11月1日(金)
金融ファクシミリ新聞・GM版に、当社シニアエコノミスト 片白 恵理子が寄稿しました。