2024年9月12日 (木)
[ブラジル] 8月のインフレ率は前年同月比4.2%に低下したが、経済の上振れや、労働市場の強さに加え、ルラ大統領が利上げへの否定的な態度を軟化させたことから、9月の政策金利決定会合では利上げに転じるとみられる。
[モザンビーク/ベトナム] フィリペ・ニュシ大統領は9月8~10日の日程でベトナムを訪問し、トー・ラム国家主席、ファム・ミン・チン首相らと会談を行った。両国は1975年のモザンビーク独立以来続く両国の友好関係に触れ、経済面でもベトナム通信大手のViettelとモザンビーク・SPI社との合弁によるモザンビーク国内での携帯通信事業・Movitelの成功を高く評価した。また両国は水産養殖、エネルギー・鉱物の2分野における協力覚書(MoU)に署名した。モザンビークでは10月9日に5年ぶりの大統領選が実施される予定。公正な選挙の実施に向け、欧州連合(EU)は総勢150名の選挙監視団を派遣する予定としている。
[米国] 労働省によると、8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.5%だった。上昇率は市場予想(+2.6%)を下回り、7月(+2.9%)から縮小して、2021年2月以来の小幅な伸びになった。食品とエネルギーを除くコア指数は+3.2%で、6月から横ばいだった市場予想に一致した。物価の基調に根強さが見られるものの、物価上昇率は縮小傾向にある。市場では、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%pt利下げが実施されるという見方が強まった。
[ロシア] プーチン大統領は、テレビ放映された政府閣僚との会合で、ロシアが世界供給において大きなシェアを握るウラン・チタン・ニッケルについて何らかの制限を考えるべきではないかと述べた。この発言は、ロシアとその同盟国である中国・イランに対する欧米の経済制裁のエスカレーションを受けたもの。今すぐ輸出禁止ということでなく、ロシア自身が悪影響を受けることだけは避けるべきだとしている。欧米はロシアに対する制裁を徐々に拡大しているが、供給がないと自国が困る商品は制裁対象外とするか、何らかの例外措置を設けている。ロシア側から供給が制限されると影響が大きいことから、プーチン氏の発言を受けてニッケル・パラジウムなどの商品やウラン関連株は値上がりした。
[中国] 9月9日に国家統計局が発表した8月の生産者物価指数(PPI)は、前年同月比で▲1.8%の下落となった。下落は、2022年10月以降、23か月間継続している。8月は、特に鉄鋼や農業などでの下落が目立った。消費者物価指数(CPI)は前年同月比+0.6%と前月の+0.5%からやや加速したが、この加速の主な要因は内需拡大ではなく、異常気象による食品価格の上昇だった。消費財の供給が需要を上回り、デフレを悪化させている。住宅不況の長期化、失業率の高止まり、債務問題、貿易摩擦の高まりに直面する中、政府は内需喚起に向けたさらなる政策が求められている。
[米国] Googleは、CO2直接回収のための投資を進めている。GoogleはCO2を直接回収する(DAC)企業であるホロシーン社との契約締結を公表したが、DAC技術の使用に関して交渉してきた中で同社の技術が最もコストが安いと主張している。もちろん、技術開発は初期段階にあり、コストや容量など多くの障害に直面していると強調しつつも、「2030年代初頭」までに炭素除去クレジットが提供されることへ期待を寄せているとしている。また、政府は税額控除を策定しており、ホロシーン社のような適格事業者に除去量1トンあたり180ドルを支給することでDACの技術開発と投資を奨励している。
[スペイン/中国] 中国を訪問していたスペインのサンチェス首相は、9月9日、中国での記者会見で欧州連合(EU)の中国製電気自動車(EV)に対する関税政策について再考すべきだとして、EUと中国は話し合いで妥協点を見出すべきだと述べた。EU第2位の自動車生産国であるスペインは、EV産業を発展させるために中国の投資を誘致しようとしており、また、豚肉の輸出に関する中国の報復措置を避けたい思惑がある。ドイツのショルツ首相やスウェーデンも反対しているが、関税の否決に必要な反対票を確保するのは難しいとみられている。
[ヨルダン] 9月10日にヨルダンで下院議会選挙が実施され、ムスリム同胞団系のイスラム行動戦線(IAF)が138議席中31議席を獲得し、前回選挙時から議席を3倍に増やした。必ずしもイスラム主義者ではない人たちが今回の選挙でIAFに投票した背景には、イスラエルの右派政権によるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸での暴力の増加や、既に4万人のパレスチナ人が殺害され過去約1年間にわたって続くガザ戦争の影響で、ハマスへの支持とイスラエルに対する怒りが表出したものと考えられる。
[米国] 9月10日、ペンシルベニア州フィラデルフィアで、ABC News主催によりハリス副大統領とトランプ前大統領との初対決となった大統領候補テレビ討論会が約105分間に渡って開催された。討論会終了直後に実施されたCNNの世論調査では、ハリス氏勝利は63%、トランプ氏勝利は37%という回答結果となり、保守系テレビネットワーク大手Fox Newsや米有力紙ワシントン・ポスト紙といった米主要メディアも、おおむねハリス氏が優勢であったとの評価で一致している。
[ロシア] 9月11日、プーチン大統領は、重要鉱物のウランやチタン、ニッケルについて輸出制限を政府に検討するよう指示し、ミシュスチン首相に対し後日報告するよう求めた。ロシアに対しさまざまな輸出制限が課される中で、プーチン大統領は、ロシアも対抗措置を考える必要があると主張。
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