2024年9月6日 (金)
[アフリカ/中国] 9月5日、北京で開催されている「第9回中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」において、今後3年間で3,600億元(約510億ドル)のアフリカ向けの支援を行うとする「北京行動計画(2025-2027)」が発表された。前回2021年の第8回FOCAC(セネガル開催)でコミットされた400億ドルの支援からは増加したが、2015年、2018年で表明された600億ドルを下回っている。今回発表された支援の内訳は、2,100億元が信用枠、800億元がさまざまな形態での援助、700億元が中国企業によるアフリカへの投資とのこと。今回のFOCACにはアフリカ53か国の首脳級のほか、グテーレス国連事務総長も参加した。
[タイ] 8月30日、工業省工業経済事務局(OIE)が発表した7月の鉱工業生産指数(MPI、季節調整なし、速報値、2021年=100)は、前年同月比+1.79%だった。この上昇は、輸出や観光業が好調だったことに加え、政府支出の拡大が主な押し上げ要因となり、3か月ぶりのプラスとなった。特に7月のMPIの上昇に大きく寄与したのはパーム油の製造であり、生産量が増えた上に、インド、パキスタン、ヨーロッパへの輸出額が増加したため、+35.9%となった。しかし、1~7月のMPIは前年同期比▲1.48%とマイナスだった。OIEは、MPIに影響を与えたネガティブな要因として、消費者の購買力が弱いこと、家計債務が大きいこと、エネルギーコストが高いこと、タイ市場への低価格製品の流入が地元製造業者を圧迫していることを挙げている。商工業および銀行合同委員会は、政府が中国からの安価な製品に対する保護措置を講じなければ、競争によりさらに多くの国内企業が倒産する可能性があると警告している。
[米国] 労働省によると、8月31日までの1週間の新規失業保険申請件数は22.7万件、前週比▲0.5万件と2週連続で減少した。その一方で、24日まで週の継続受給者数は、2週ぶりに減少して183.8万人だったものの、2023年同時期(180.2万人)より多かった。また、ADPリサーチ・インスティテュートが発表した全米雇用報告では、民間部門雇用者数が前月から9.9万人増加したが、約3年半ぶりの小幅に伸びにとどまった。これらから雇用環境が悪化方向に向かっていることが示唆されるため、9月の米利下げ幅を見通す上で、6日発表の米雇用統計の結果が注目される。
[中国/アフリカ] 9月4~6日にかけて、北京で第9回「中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」が開催されているが、9月5日に習近平国家主席が開幕式で行った演説の内容が発表された。同演説では、近代化の達成はすべての国の権利だとしつつ、西側諸国の近代化は途上国に深い苦しみをもたらしたが、中国とアフリカ諸国は第二次世界大戦後に、その歴史を是正し続けたとして、西側諸国とは異なる発展のあり方や価値観を強調している。また、中国と外交関係をもつ全てのアフリカ諸国との、それぞれの二国間関係を戦略的関係のレベルに引き上げること、アフリカの33か国を含む、中国と国交のある最貧国に対して税品目の100%をゼロ関税にすること、今後3年間で3,600億元の金融支援を行うことなどを表明した。
[アルジェリア] 9月7日にアルジェリアで大統領選挙が実施される。当局に立候補が許可された候補者は、現職のテブン大統領(78歳)、イスラム主義政党のアブドゥルアーリー党首(57歳)、元ジャーナリストで社会主義者のアウシーシ氏(41歳)の3人。有力対抗馬とみられる候補者は軒並み失格とされており、テブン大統領の再選が確実視されている。2019年の前回選挙は投票率が40%に満たない低水準だったため、大統領陣営は前回を上回る投票率を目指しているが、結果が分かっている選挙に対する国民の熱意は低い。
[米国] 9月10日にフィラデルフィアで、ハリス副大統領とトランプ前大統領との初対決となる大統領候補テレビ討論会が予定されている。テレビ討論会のフォーマット(形式)を巡って、両陣営は相手候補が話しているときは話す順番ではないもう1人の候補が、マイクロフォンをオンにすべきか、あるいは、オフにしてミュートにすべきか対立していたが、主催者のABC Newsは、両陣営に対して6月27日に行われたバイデン、トランプ両候補のテレビ討論会同様にオフにする方針を示した。
[フランス] 9月5日、フランス大統領府は、マクロン大統領が共和党の重鎮であるバルニエ氏を首相に指名したことを発表した。6月/7月の国民議会の選挙後から、左派、中道、極右という3つの政党/グループに分裂した同議会をまとめることが、バルニエ新首相にとって重要な任務のひとつとなる。
[ロシア] ロシア極東のウラジオストクで、経済をテーマにした国際会議「東方経済フォーラム」が、各国から要人を招いて9月4~6日の日程で開催された。プーチン大統領は5日、フォーラムの全体会合で演説し、ウクライナ侵略に伴って科された経済制裁を「克服した」と誇示した。ロシアは「友好国」との貿易や経済連携を強め、「世界の多極化」を目指し、グローバルサウス諸国との連携を一段と強める姿勢を見せている。
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