デイリー・アップデート

2024年9月10日 (火)

[ケニア] 9月9日、政府は2025/2026年度の予算編成会議を開始した。6月末の増税抗議デモ後の内閣改造で野党から入閣したジョン・ムバディ財務・計画相は、約27億ドルの増税案を含む「2024/2025年度財政法案」がルト大統領により撤回されたことを受け、今後の歳入増加策等につき国民からの意見を9月20日まで求める予定だと述べた。また同相は、政府は中期的に付加価値税や法人税等の減税を検討すると付け加えた。同相は8月の就任直後に一部の増税案の復活を示唆したところ、国民からの反発を受け撤回していた。歳入拡大の方策について国民の意見を仰ぎ、解決策を探りたいものとみられる。

[米国] NY地区連銀が公表した「消費者期待調査」によると、1年先の期待インフレ率は3.0%と、6月、7月と同じだった。コロナ禍前には3%を下回っていたので、足元の水準はやや高いものの、安定している。3年先の期待インフレ率は2.5%、7月から0.2%pt上昇したものの、5年先の期待インフレ率は2.8%、6月から横ばいであり、総じて期待インフレ率は安定している。

[メキシコ] 8月のインフレ率は前年同月比5.0%となり、7月(同5.6%)から低下した。インフレ率は依然として中銀の目標範囲である2~4%を上回っているが、来週、FRBが利下げに踏み切る可能性が高まったこともあり、9月末には政策金利をさらに25bp引き下げ10.25%とする見通しとなった。

[アルゼンチン] 2023年12月にミレイ政権が発足して9か月が経過したが、ミレイ大統領が推進する緊縮財政策に対して議会から反発が強まりつつある。ミレイ氏が率いる与党「自由前進」は上下両院で少数与党であり、同氏の議会の足場が弱い中、年金引き上げ法案が上下両院で賛成多数で可決されたことに対し大統領拒否権が発動されたが、議会は大統領拒否権を覆そうとする動きを示している。8月15日に、下院が国公立大学予算の増額を求める法案も可決した。

[ベネズエラ] 野党指導者エドムンド・ゴンザレス氏は、大統領選挙をめぐる論争後の混乱の中、政治亡命を求めてスペインに脱出した。スペイン外務省の声明によると、ゴンザレス氏は日曜日に、妻とともにスペインのトレホン・デ・アルドス軍事基地に到着。大統領選挙の不正を告発したゴンザレス氏には、政府の野党弾圧強化の一環として逮捕状が発行されている。また、首都カラカスのアルゼンチン大使館には、野党指導者6人が亡命を求め避難している。裁判で出馬が禁じられていた本来の野党候補で指導者であるマリア・コリーナ・マチャド氏は国内に残っているとされる。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、選挙への抗議活動で少なくとも24人が死亡し、約2,400人が逮捕されたとしている。

[マレーシア/ニュージーランド] 9月1~3日に行われたニュージーランドのクリストファー・ラクソン首相によるマレーシア公式訪問で、両国が2030年までに二国間貿易を50%増加させる計画が発表された。この取り組みは、長年続いてきた両国の経済的パートナーシップを強化することを目指している。今回の会談では、マレーシアにとっては、対外貿易および投資の拡大に向けた取り組みの強化、ニュージーランドにとっては、中国への貿易依存の軽減がねらいだった。具体的には、マレーシア産パイナップルのニュージーランドへの輸出拡大や、ニュージーランド産乳製品のマレーシアへの輸出拡大が進められるとみられる。また、マレーシア・ニュージーランド自由貿易協定(MNZFTA)を見直し、強化する計画が示された。

[豪州/インド/米国] 9月8日、インド紙The Hinduは2024年内にインドで開催される予定だった日米豪印(クアッド)首脳会合が、米国デラウェア州で9月21日に開かれる見通しになったと報じた。来年は米国で開催する予定だったが、加盟国はインドで開催することで合意したという。昨年は豪州が議長国で、G7広島サミット直後に豪州で開催する予定だったが、バイデン米大統領が帰国日程を早めたため、広島で開催された。

[米国] 9月8日、ハリス副大統領は、自身の選挙活動ウェブサイトに政策公約を掲載した。公約は19項目にわたるが、その内容は必ずしも具体的ではなく、既に明らかにされている児童税控除の拡充、住宅購入支援などが含まれている。通商政策については中国の不公正な政策・慣行に対抗することが言及されているにとどまっている。共和党のトランプ陣営からは、ハリス氏がメディアから隠れ、政策的立場を明らかにしていないと批判されていたところ、9月10日に予定されている大統領候補者テレビ討論会を前に、ハリス陣営が政策公約を明らかにした形となった。

[中国] 9月8日、中国商務部は、一部の地域で、外資による完全所有の病院設立を認める方針を発表した。7月の三中全会で示された方針(外資への開放拡大)を実施するためのパイロット・プロジェクトだとしている。北京、天津、上海、南京、蘇州、福州、広州、深セン、海南という比較的裕福な沿岸都市で導入を開始し、外資系病院を設立するための具体的な条件や手続きは近日中に詳細を発表するとしている。中医(漢方)医学の病院や公立病院の合併・買収は、プロジェクトの対象から除外される。

[ドイツ] 8月23日に西部ノルトライン・ウェストファーレン州ゾーリンゲンで発生したナイフ襲撃事件を受け、政府は8月29日に非正規移民対策、イスラム主義対策、武器法厳格化で構成される治安対策を発表した。さらに、9月9日にドイツのすべての国境で入国管理を強化する方針を発表。9月16日以降に適用される。

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