デイリー・アップデート

2024年9月20日 (金)

[アルゼンチン] 2024年第2四半期のGDPは前期比1.7%pt縮小し、昨年第4四半期から3期連続でマイナス成長となり、不況の深刻さが明らかになった。昨年の不作の反発により農業 (前年比+81.2%)は好調だったものの、ミレイ政権の緊縮財政の影響から建設業(同▲22.2%)などの落ち込みが目立った。

[南アフリカ] 準備銀行(SARB)は9月19日に開催した金融政策委員会(MPC)において、政策金利を+8.25%から+8.0%に引き下げた。利下げはコロナ禍の2020年7月以来初となった。レセチャ・クガニャゴSARB総裁は直近8月のインフレ率が+4.4%と3年ぶりに低い水準となり、中銀の目標レンジ中央値の4.5%を下回る水準で推移すると見込まれることを利下げの理由とした。しかし、今後原油価格の下落や通貨の上昇が起きればインフレはさらに低い水準となり、一方で住宅費の上昇や電気料金の値上げが起きればインフレ率は上昇する可能性があるため、依然として見通しにはリスクがあると慎重な姿勢を示した。

[スイス] AIブームのさなか、データセンターは驚くべき量の電力を消費している。いまのままでは2030年には電力需要が160%増加する可能性があると指摘されている。この課題解決に向けて、大企業からスタートアップまで研究開発の動きは活発だ。スイスを拠点とするスタートアップLightiumは、次世代フォトニックチップを使用してデータセンターのパフォーマンスを加速した上で、エネルギー消費を削減するため事業を進めようとしている中、700万ドルのシードマネーを調達したと発表した。彼らの薄膜ニオブ酸リチウムをベースにしたもので、現在の最大速度 800ギガバイト/秒を大幅に超える1.6~3.2テラバイト/秒という、より高速な伝送速度を実現できるガラスのような材料の開発を目指している。伝送速度の改善はエネルギー効率を高めるだけでなく、欧州での開発は、域内の半導体供給網の外部依存を低減させることも期待される。同社によれば、戦略的パートナーとのクローズドのパイロット運用を現在実施しているという。

[米国/中国] 9月13日、バイデン米政権は非課税基準額(デミニミス)ルール(800米ドル以下の輸入品は関税が免除されるというルール)を利用した不公正な米国への輸入に対処するための新たな措置を講ずると発表した。まだ施行されていないが、この行政措置では、追加関税対象品目や繊維・アパレル製品などが非課税基準額(デミニミス)ルールの適用から除外されることになる。また、米国は政府機関全体で自国の繊維や衣料品の調達を強化し、ウイグル強制労働防止法の対象リストを拡大するなど、違法輸入品に対する取締りを強化する。今回の行政措置は、特にデミニミスの抜け穴を塞ぎ、中国のeコマース大手による「不公正な競争」に対処することを目的としている。

[日本] 総務省によると、8月の消費者物価指数は前年同月比+3.0%だった。上昇率は7月から0.2%pt拡大し、2023年10月(+3.3%)以来の3%台になった。生鮮食品を除く総合(コア指数)は+2.8%となり、2月以来の高い伸び、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)は+2.0%と、2か月ぶりに2%台になった。7月同様に、エネルギー価格が+12.0%と上昇し、物価を押し上げた(寄与度0.9%pt)。また、食料も+3.6%と上昇、物価を押し上げており(+1.0%pt)、食料とエネルギーで物価上昇の約3分の2を占めている。

[中国/EU] 欧州委員会が7月に発表した中国製EVに対する暫定的反補助金関税を恒久的なものとするための加盟国による投票が9月25日に行われる予定であったが、説明なく延期された。中国の王文涛商務部長は欧州を訪問し、9月19日にEUのドムブロフスキス上級副委員長(通商政策担当)と会談を行った。会談後にドムブロフスキス氏は、協議は建設的であったと述べた。中国側がEUに輸出するEVに最低価格を設定することを提案したとみられる。同様の申し出は以前、中国の各EVメーカーからも行われたものの、実行性が疑わしいとして拒否されていた。欧州委はEU加盟国による採決を経て、10月30日までに最終決定を行う予定で、日程をにらみながらEUと中国は交渉を続けることになる。

[ニュージーランド] 9月19日、2024年4~6月期の実質GDP成長率が前期比▲0.2%、前年同期比▲0.2%だったと発表された。前期(前期比+0.1%、前年同期比+0.3%)に2期連続のマイナス成長から脱却したところだったが、再びマイナス成長に戻った。中銀は8月に政策金利を4年5か月ぶりに引き下げ、5.25%としていた。

[レバノン/イスラエル] 9月17日、18日の両日、主にレバノン各地で発生した通信機器の爆発による死者数は子ども2人を含む37人、負傷者数は2,931人に上り、手足の切断や失明などの酷い重傷を負った人も多く、現在も61人が集中治療室で手術を受けている。9月19日午後にヒズボラのナスラッラー指導者による演説がテレビで放映され、多くの民間人を巻き込んだ今回の攻撃はイスラエルからの宣戦布告であり、イスラエルに対し激しく正当な報復を行うこと、ヒズボラのイスラエルへの攻撃はイスラエルのガザ攻撃が終わるまで継続されること、などを語った。

[米国] 9月18日、全米トラック運転手労組(IBT)は、11月に実施される米大統領選に関して特定候補を支持しない旨を明らかにした。9月に同労組が組合員に対して聞き取り調査を行ったところ、約6割が共和党のトランプ前大統領支持を表明したことを参考にして執行委員会が決定。IBTの加入組合員数は公称130万人で、同労組が民主党候補を支持しないのは1996年以来の事態となる。一部のIBT支部では独自にハリス副大統領への支持表明を行っている。また、米国のほかの主要労組は既に民主党のハリス候補支持を表明している。

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