2024年9月11日 (水)
[英国] 新年度の予算編成を控え、財政赤字に関する議論が活発化している。英国では、200億ポンドの財政赤字を埋めるために歳入増が必要となる。しかし、与党労働党のマニフェストには所得税や付加価値税などを引き上げないこと、また同時に公共サービス水準の維持を表明していることから、実行可能な政策は限られている。そこで、財源として、富裕層や相続財産への課税が強化される可能性が浮上している。あるシンクタンクの調査によれば、企業や農家への減税措置を廃止し、年金基金を課税対象とする税制改革により20億ポンドの増税が見込まれるという。これにキャピタルゲイン税や不動産の利得に対する課税が可能になると最大120億ポンドの増収が見込まれるという。また、雇用主による従業員年金拠出金に対する保険料控除を廃止することで、さらに90億ポンドを捻出できる可能性が指摘されている。コロナ対応の借入金返済が本格的に始まる時期となり、各国政府の対応が注目される。
[マレーシア] 国立不動産情報センター(Napic)によると、不動産取引額は2024年上半期に1,056億5,000万リンギット(約244億ドル)に急増し、前年同期比で+23.8%となり、5年間での最高値を記録した。住宅の取引額は+10.4%の494億3,000万リンギット、商業が+41.5%の237億1,000万リンギット、工業が+23.4%の135億リンギット、農業が+37.8%の97億3,000万リンギット、開発用地などが+59.3%の92億8,000万リンギットと、すべての不動産サブセクターが成長を記録した。政府の政策が後押し、不動産市場が好調になった。具体的な政府の政策としては、住宅信用保証制度(SJKP)に基づく最大100億リンギットの保証の提供や初めての住宅購入者向けの不動産譲渡書類の印紙税免除期間の延長などの財政政策が含まれる。
[原油] ブレント原油価格が1バレル70ドルを下回ってきた。要因の一つには、中国の石油需要にピークアウト感が生じていることがある。中国では景気悪化に伴う需要減だけでなく、乗用車のEVシフト、大型車のLNG燃料シフトにより道路輸送用のガソリン・ディーゼル需要が頭打ちとなっている。インドは2030年までにエネルギーミックスに占める天然ガスの割合を6%から15%に引き上げる目標を進めているが、この一環として国内の長距離大型車両の3分の1をディーゼル燃料からLNGにシフトする計画を打ち出し、インド石油天然ガス省が計画の草案を公表している。
[タンザニア] 9月9日、サミア・ハッサン大統領は自身のX(旧twitter)上で、最大野党チャデマの幹部モハメド・キバオ氏(69歳)が武装集団に拉致され、殺害された事件に関し、捜査機関に対して詳細な情報を提供するよう要請したと述べた。キバオ氏の殺害は、2024年12月の地方選、2025年の大統領選を控える中、また8月にチャデマの集会に参加した500人が逮捕され、国際人権団体などからも政府が野党の政治活動を抑圧していると批判されている中での事件となった。チャデマ幹部は、警察と治安当局が事件の容疑者であると非難し、政府に独立した調査機関を設置するよう求めた。
[米国/アフリカ諸国] 9月10日から11日までの予定で、「米・ナイジェリア戦略エネルギー対話」の初会合がワシントンにて開催された。米国務省によると、エネルギー安保、石油ガス産業の脱炭素化、エネルギー移行促進などについて協議される見込みで、さらに小型原子炉に関する二国間協力も議題の一つであると発表している。バイデン政権がアフリカ諸国とのエネルギー協力関係強化に注力していることを背景に、8月には米企業がガーナ、ルワンダと小型原子炉導入に向けた合意書を交わしている。
[米国] 9月8日にニューヨーク・タイムズ紙/シエナ大学は、全米レベルの最新共同世論調査結果を公表し、ハリス副大統領とトランプ前大統領との直接対決において、トランプ氏支持48%、ハリス氏支持47%との結果を示した。第3政党候補も含めた場合、トランプ氏支持47%、ハリス氏支持45%となり、いずれもトランプ氏の優位が判明した。8月19日から22日の4日間の日程で、シカゴにおいて開催された民主党全国党大会を契機としてハリス氏の支持率は上昇傾向にあったが、そうした流れが変化しつつある。
[ロシア/中国] 9月10日、ロシア国防省は、太平洋や日本海などロシア周辺の海上などで海軍の戦略演習「海洋2024」を開始したと発表した。プーチン大統領によると、過去30年で最大規模の海上演習となる。400隻以上の艦艇や潜水艦のほか、9万人以上の兵員や航空機120機以上が参加し、中国の艦艇3隻や航空機15機も加わる。演習は今月16日まで続く予定。
[英国/イラン] イランによるロシアへのドローンや弾道ミサイル譲渡を受け、9月10日、英国政府はイランの個人・企業、ロシアの組織などに制裁を発動した。本件についての米国政府との協調についても発表されている。なお、同日に英国政府はイランのミサイル譲渡を強く非難するドイツ・フランスとの共同声明も発表した。
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