デイリー・アップデート

2025年2月5日 (水)

[日本] 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、12月の実質賃金は前年同月比+0.6%となった。上昇率は11月(+0.5%)に続いて2か月連続のプラスになった。2024年6~7月以来の連続プラスだった。前年からの反動増のボーナスなどを中心に名目賃金(現金給与総額)が+4.8%と伸びた一方で、消費者物価指数(除く持家の帰属家賃)は+4.2%であり、物価以上に名目賃金が上昇し、実質賃金がプラスになった。

[米国/南アフリカ(南ア)] 2月2日、トランプ大統領は「南ア政府が特定の階級の人々から土地を没収するなど、非常にひどい扱いをしている」と非難したうえで、南ア向けの資金援助を停止すると発表。それを受けて翌日、ラマポーザ大統領は「南ア政府はいかなる土地も接収したことはない。土地改革政策等についてトランプ政権と協議することを楽しみにしている」と反論した。南ア出身の実業家イーロン・マスク氏も「人種差別的な所有法がある」とトランプ氏に加勢するコメントを出しているが、2月3日、ラマポーザ大統領はマスク氏とも対談を行い、南アに関する誤報や事実の歪曲について説明したと報じられている。以前からマスク氏は、自身がCEOを務めるSpaceX傘下の衛星通信事業Starlinkの、南アでの事業展開に関心を有している。

[中国/米国] 2月4日、中国政府は、2月10日より米国原産の一部輸入品に対して追加関税を課すと発表した。石炭と天然ガス(LNG)に15%、原油、農業機械、ピックアップトラック、大型エンジン車に10%の追加関税が課される。また、タングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウムに対する輸出規制を強化する方針を示した。またアパレル企業PVHとバイオ企業イルミナを「信頼できない企業」リストに追加した。中国の対応は素早く、あらかじめ対抗措置を検討していたことが伺えるが、今後の米国との交渉を考慮し、比較的抑制的な内容となっている。

[タイ/ミャンマー] 2月3日、タイのプームタム副首相兼国防相がミャンマーとの国境地帯への電力供給を50%削減すると発表した。国境地帯では犯罪組織がオンライン詐欺などの拠点を築いており、これらの組織はタイからの電力とインターネットサービスを利用していることから、かねてからタイ当局は電力供給などの停止の可能性を述べていた。4日、ペートンタン首相も記者会見で電力供給の遮断について説明し、電力のほか燃料供給も遮断する方針を示した。同首相は2月5~8日に中国を訪問する予定。

[米国/イラン] 2月4日、トランプ米大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相のホワイトハウス訪問に合わせて、イランに対する最大限の圧力キャンペーンを再開する大統領令に署名した。同令は、既存の制裁に違反する者への制裁などによりイランに対して最大限の経済的圧力を課すよう米財務長官に指示する内容で、さらに財務省と国務省に対してイランの原油輸出をゼロにすることを目的としたキャンペーンを実施するよう指示するもの。トランプ大統領は今回の署名を「残念だ」と認め、イランとの交渉に前向きであることを示した。

[タイ] 2月3日、ソラウォン観光・スポーツ相は、2025年の観光収入目標を3兆バーツ(約885億7,371万ドル)に設定すると発表した。首相は3.5兆バーツ(1,033億3,600万ドル)の達成を期待している。2024年の観光収入は2.75兆バーツであり、追加で7,000億バーツの増収が必要とされる。この目標達成に向け、観光スポーツ省とタイ国政府観光庁(TAT)は「アメージング・タイランド グランド・ツーリズム&スポーツイヤー2025」を立ち上げ、年間を通じたイベントやプロモーションを展開する。2024年にタイを訪れた外国人観光客数は、約3,550万人だった。このうち、中国人は673万人と、国・地域別の観光客数で首位だった。

[欧州/米国] トランプ大統領がEUへの関税措置の発動に関する発言を強めていることに対し、EU側は警戒している。フォンデアライエン委員長は、建設的な対話を呼びかける一方で、「不当で恣意的にターゲットにされた場合」、EUが断固として対応すると発言した。

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