2025年2月18日 (火)
[アルゼンチン] ミレイ大統領が暗号通貨「LIBRA」を称賛する投稿を行った後短時間で、暗号通貨は急騰した後に暴落した。通貨の大量保有者が急騰後すぐに通貨を売却し利益を得た一方、多くの投資家が多額の損失を被ることとなった。司法当局は、大統領が詐欺や犯罪に関与していなかったか、職務上の義務に違反していなかったか、について調査すると発表した。一部野党は弾劾手続きを進めるとしているが、野党も一枚岩ではなく否決されるとみられる。
[エチオピア] 2月17日、同国のユーロ債を保有する債権者委員会が、「国際通貨基金(IMF)の経済予測は、政府がIMFから融資を受けるために人為的に過小評価されている」と非難した、と報じられている。政府は、2023年12月から債務不履行が続いている10億ドルの同ユーロ債の再編交渉にあたり、18%のヘアカット(割引)を提案したが、債権者委員会は拒否した。同委員会は、エチオピアはコーヒーと金の輸出増によりIMFの予測より経済が回復しており、大幅なヘアカットは必要ない旨を主張している。他方で、英国の慈善団体Debt Justiceは、同委員会の「楽観的」な予測に基づいて再編を行えば、債務再編と不履行を繰り返す恐れがある、と懸念を示している。
[イスラエル/レバノン] イスラエル軍は、レバノンのヒズボラとの停戦合意に基づき、2月18日までにレバノン南部から軍を撤退することになっていたが、今後も国境地帯の戦略的拠点5か所に、軍の部隊配備を継続すると発表した。イスラエル軍は、イスラエル国民を守るため、現時点ではこれらの地点に軍をとどめる必要があると説明。米国が主導する停戦を監視する機関にも承認されたと述べているが、レバノンおよびヒズボラはこれに対して拒否の姿勢を示している。
[ドイツ] The TIME誌の「ドイツ経済不振の5つの理由」は、短い文章だがとても興味深い内容。ロシアのエネルギーショック、顧客から競争相手に変わった中国についてはごく一般的な指摘。投資をケチってきたことについては財政均衡を保つことで鉄道やインターネットなどの長期プロジェクトを先延ばしにしてきたとしている。列車が時間通り運行しなくなっていることや、線路の修理でたびたび運航中止になるなど影響が出ている。熟練労働者の不足は深刻で、IT労働者から介護士、ホテルスタッフまで適切なスキルを持つ従業員が不足しており、ドイツ商工会議所のアンケートでは、会員企業の43%が職の空席を埋められていないと回答したという。そして、官僚。多くの承認と過剰な書類が足かせとなっていて、風力発電を建設するのに何年もかかったり、レストランでは冷蔵庫内の温度記録はデジタルデータで保存されている場合でも手書きで記録し、ハードコピーを保管する必要があったりするという。これらの指摘は我々にとっても耳が痛いことも多い。
[ロシア/シリア] ロシアは、シリアに保有する2つの重要な軍事基地について、維持することでシリアの新指導部と合意に近づいている。事情に詳しい関係者によると、ロシアはシリアにおける軍事駐留を縮小し維持するとのこと。2月12日、ロシアのプーチン大統領は、シリアのアハマド・シャラア(通称ジャウラニ)暫定大統領と初めて電話会談し、両国の協力発展のための交渉継続で合意したと発表した。
[中国] 政府は、最先端の中国技術を自国に囲い込む方針を強化し、重要なノウハウを国内にとどめることを目指しているとFT紙が報じている。アップル社は製造の一部をインドに移転しようとしているが、同国への中国人技術者や一部設備の輸送が困難になっていると報じている。東南アジアや中東への移転プロジェクトは影響を受けていないという情報もあり、インドが特に標的とされている可能性がある。また、リチウム抽出やバッテリー素材製造に関連する技術の輸出規制も強化されており、欧州に工場をもつ中国の大手電池企業がサプライチェーン全体を海外に移転するのを防ぐ意図があるとみられる。
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