デイリー・アップデート

2025年2月20日 (木)

[メキシコ] 2月19日、メキシコ中央銀行は四半期報告書を発表し、2025年のGDP成長予測を1.2%から0.6%に大幅に下方修正するとともに、米国がメキシコからの輸入品に追加関税を課せばさらに下振れする可能性を指摘した。回復傾向を示す米国経済と違い、メキシコ経済は急速に弱まっているとし、米国との金利差縮小はいとわず、今後も追加利下げを示唆するハト派的な内容だった。

[南アフリカ] 2月19日、政府は同日発表予定だった「2025/26年度予算案」について、3月12日に延期すると発表した。延期は1994年の民主化以降初めての異例な事態。報道によると、イノック・ゴドングワナ財相は同予算案において、付加価値税(VAT)を15%から17%に引き上げると発表する予定だったが、これについて10党で構成される「国民統一政府(GNU)」内の議員らから強い反発があり、再検討を余儀なくされたとのこと。予算案が連立政権内で十分に議論されていないことが露呈する結果となった。この発表を受けて、通貨ランドは1ドル=18.40ランドから、1ドル=18.54ランドに下落した。

[日本] 2月の『月例経済報告』(内閣府)によると、景気の総括判断は「一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」に据え置かれた。2024年8月以降、同じ表現が続いている。内訳を見ると、個人消費は「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動きがみられる」、設備投資は「持ち直しの動きがみられる」といずれも据え置かれた。その一方で、輸出が「このところ持ち直しの動きがみられる」へと上方修正されたのに対して、輸入が「おおむね横ばいとなっている」へと下方修正された。

[中国] 2月19日、英Carbon Briefが公表したエネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)の報告書によると、中国のクリーンエネルギー技術への生産投資額は2024年に13.6兆元(1.9兆ドル)と2022年比で50%増加し、初めて中国GDPの10%を超えた。生産額・投資額が各68兆元とほぼ半々。投資額の伸びは前年の+40%から+7%に減速したが、金額は世界の化石燃料への投資額にほぼ匹敵。財・サービス生産の伸び率は20%を超える。EV・電池・太陽光が生産・投資の伸びをけん引。2025年は第14次5か年計画の最終年で投資は増加する見込み。2026年以降は次期5か年計画次第だが、この生産・投資がなければ中国の成長率目標を達成できない状況にある。

[ミャンマー/中国] 2月18日、ミャンマー軍事政権は、中国の民間警備会社がミャンマーに駐在し、同国における中国の利益を保護することを可能にする民間警備サービス法を公布した。この法律は他の外国企業にもライセンス申請を認めているが、特に中国に配慮して策定されたものである。中国は中国側のプロジェクトや企業、従業員の安全を守るよう軍事政権に圧力をかけ、合弁警備会社の設立を提案した。警備会社は中国企業だけでなく、中国国民や設備がかかわる公共イベントに対しても警備サービスを提供し、その場で犯罪が発生した場合、犯人を拘束し、最寄りの警察署に引き渡す権限をもつ。

[ニュージーランド(NZ)] 2月19日、NZ準備銀が政策金利を0.5%引き下げ3.75%とした。利下げは4会合連続。前回に続き下げ幅は通常の2倍だった。2024年10~12月期のCPI上昇率は前年同期比+2.2%と前期から横ばいとなり、2期連続で目標レンジ内(+1~3%)に収まった。オア総裁は、経済状況が予測通りに推移すれば、4月と5月に0.25%ずつ利下げを行うとの見通しを述べた。

[エジプト/サウジアラビア/米国] 2月20日、エジプトのシシ大統領はサウジアラビアの首都リヤドを訪問し、米国トランプ大統領の提案しているガザ住民移住案の対案となるアラブ側からのガザ再建案に関する協議を行う。協議は、GCC首脳会議(湾岸協力会議)にエジプトとヨルダンが参加する形で行われる予定。同案は、トランプ氏の主張するようにガザ住民を周辺諸国に移住させるのではなく、ガザ再建の間も住民がガザ内に居住し続けられるような復興案になるとみられる。同案は、3月4日にカイロで開催される予定のアラブ首脳会議で提示される予定。

[米国] 喫煙は肺がんの最大の危険因子であるが、この病気の最も一般的な形態は主に非喫煙者に見られると国際がん研究機関(IARC)が発表した。研究は2022年の世界のがんデータに基づいて、ランセット呼吸器医学誌に掲載された。肺の気嚢(きのう)の内側を覆う細胞から発生する腺がんが肺がんの50%を占めるが、主な原因として大気汚染が挙げられており、東アジア、特に中国で高いレベルでの発症が報告されている。喫煙率は劇的に低下しているものの、受動喫煙も依然として要因となっているとの指摘もある。このように、いまの肺がんの正確な原因と進行過程を明らかにするには、さらなる研究が必要とされているが、大気汚染が肺がんを引き起こす可能性があるというのは懸念すべきことだ。この病気がどのように発症するのか、そして最終的にはどのようにすればより良く予防し、治療できるのかを理解する必要がある。

[米国/ロシア] 2月19日、ロシアのプーチン大統領はウクライナでの停戦をめぐって行われた米国とロシアの高官による会合について、「成果があった」と述べ、トランプ大統領との首脳会談の可能性に関して「準備が必要なのは分かっている。私は喜んでドナルドと会う」と述べ、両国の首脳会談に前向きな姿勢を示した。

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