2025年2月25日 (火)
[スーダン/ケニア] 2月22日未明、スーダンの準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」はケニアの首都ナイロビで、「平和と統一のための政府」の樹立に向けた政治憲章に署名した。RSFは同国内でスーダン国軍(SAF)と2年近く勢力争いの戦闘を継続している。今回のRSFによる一方的な「並行政府」樹立の発表を受けて、SAFが率いるスーダン暫定政府は、署名を仲介した形のケニア政府に対しても猛烈な抗議を行っている。1月に米国の経済制裁対象となったRSFのダガロ長官は、かねてからケニアのウィリアム・ルト大統領との親交が伝えられている。
[ミャンマー/タイ] 2月21~22日、タイのマーリット外相がミャンマーを訪問し、ミンアウンフライン国軍司令官やミャンマー軍から外相に任命されたタンスエ氏と会談した。両国は、違法な貿易、麻薬、武器の密輸、オンライン詐欺、人身売買など、国境地帯での犯罪への対応や二国間協力の強化について協議した。ミャンマーが年内に予定している総選挙に向けた取り組みについても話し合われた。かねてからオンライン詐欺の拠点が問題視されるタイとミャンマーの国境地帯では、中国人を中心とする外国人が詐欺に加担させられるケースが相次いでいた。ミャンマー軍政は、1月30日~2月22日に2,111人の不法入国外国人を特定・拘束し、うち673人をタイ経由で出身国に送還したと発表した。
[イスラエル/パレスチナ] 2月22日、ハマスはイスラエルとの停戦合意に沿って、生存する6人のイスラエル人の人質を解放したが、イスラエルは予定されていた約600人のパレスチナ人の釈放を保留した。イスラエル政府は、ハマスが人質や遺体を返還する際に行う式典が屈辱的であるとして、これを止めるようハマスに要求。27日にはハマスが4人の遺体をイスラエルに返還する予定だが、ハマスは先に釈放されるはずだったパレスチナ人を釈放すべきと主張。停戦合意の第1段階は3月初めに終了するが、いまだに第2段階に関する協議は始まっていない。
[ベトナム] 2月19日、国会は2025年の経済成長率目標を8%以上に引き上げる案を承認した。従来の目標は6.5~7.0%だった。また、インフレ率を4.5~5.0%に抑える方針も示された。さらに、同国初の原子力発電所建設や、ハイフォン(主要港湾都市)と中国雲南省に接する都市ラオカイを結ぶ大規模な鉄道開発など、主要インフラプロジェクトの推進が決定した。加えて、米国のイーロン・マスク氏が率いる衛星通信会社スターリンクのベトナムでの衛星インターネット事業を許可し、地元企業の半導体産業参入を支援する計画も承認した。
[ドイツ] Ifo経済研究所によると、2月の企業景況感指数(2015年=100)は1月から横ばいの85.2となり、市場予想(85.8)を下回った。足元の状況を表す現況指数は85.0(▲1.0pt)と予想外に低下した一方で、先行きを表す期待指数は85.4(+1.1pt)と、1月から上昇したことで、景況感指数は横ばいになった。調査実施日が、2月23日の総選挙前だったこともあり、選挙後の連立政権協議や経済政策などが注目される中、企業は様子見姿勢だったとみられる。
[コロンビア] ここ数週間の間に民族解放軍(ELN)などのゲリラ組織による戦闘が続いており、コロンビアの治安悪化が広がりを見せている。政府とELNとの和平交渉も1月に中断されており、ペトロ大統領の主要政策である「トータルピース(完全なる平和)」の期待も打ち砕かれている。治安の悪化は、ペトロ大統領の支持率低下につながり、2026年の選挙の逆風となるとみられている。
[ロシア] 2月24日プーチン大統領は、国内におけるレアアース開発をテーマにした政府閣僚と会合を行った。ロシアの今後の国際競争力と持続可能な経済成長を確保するための戦略的資源として、この産業の重要性を指摘した。さらに、ロシア国営テレビのインタビューで「(レアアースの埋蔵量は)我々はウクライナより格段に多い。新領土も含め、米国など外国企業と協力する用意がある」と述べ、一方的に併合を宣言したウクライナ4州を含めた地域での共同開発を米国に呼びかけた。
[ドイツ] 2月23日に行われた連邦議会選挙で、中道右派のCDUと姉妹政党のCSUが得票率約29%で勝利した。極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党となったが、メルツCDU党首は、中道左派のSPDとの連立交渉を望むと発言し、復活祭(4月20日)までの新政権発足に意欲的な姿勢を見せた。
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