2025年2月6日 (木)
[インドネシア] 2月5日、中央統計局は2024年通年の実質国内総生産(GDP)成長率が前年比+5.03%だったと発表した。前年の+5.05%からやや減速したものの、家計消費や投資、選挙関連の政府支出が下支えし、コロナ禍以降、3年連続で5%台となる堅調な成長が続いた。しかし、政府目標の5.2%には届かなかった。2024年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率は前年同期比+5.02%と、第3四半期の+4.95%から加速し、2四半期ぶりに5%を上回った。クリスマスや年末休暇の需要増加が後押しした。
[米国] パレスチナのガザ地区を米国が所有し、再建活動を推し進めるとのトランプ大統領の発言について、レビット大統領報道官は、米軍の派遣や米国による再建費用負担を約束したものではないと説明した。また、中米諸国を訪問中のルビオ国務長官は、ガザ地区の再建作業中は住民が一時的に移住する必要があり、大統領は再建努力を支援するという寛容な提案を行ったまでだと述べた。このように、政権側からは、大統領発言の衝撃を緩和するための努力が見られるが、大統領自身からの追加発言や説明は行われていない。
[米国/ウクライナ] 2月14~16日にドイツで開催される「ミュンヘン安全保障会議」で、米国のトランプ政権がウクライナでの戦争を終結させる計画を発表する可能性がある。ウクライナ・ロシア担当特使を務めるキース・ケロッグ氏が同会議に出席する予定で、同氏が計画を公表すると思われる。
[ノルウェー] 1月30日に農業界が支持基盤の中央党が、中道左派の労働党とのストーレ連立政権から離脱することを表明したことで、政府が崩壊した。2月4日の内閣改造では、NATO前事務総長のストルテンベルグ氏が財務大臣に就任することが発表されたが、9月に実施予定の総選挙まで労働党は単独の少数政権として不安定な状況に直面する。
[欧州/米国/中国] ジャーマン・マーシャル・ファンドの客員シニアフェローのノア・バーキン氏は、トランプ米政権は欧州連合(EU)を対話相手として格下げし、対話を重視していない問題について論じている。EUの通商・経済安全保障担当のマロシュ・シェフチョビッチ上級副委員長は、中国よりも米国と先に協議することを望んでいるが、中国の汪文濤商務部長から会談の招待を受けているのに対し、トランプ政権の通商チームは話し合いに応じる兆しを見せていない。1月のダボス会議で欧州委員会のフォンデアライエン委員長の演説原稿は、もともと中国に対してかなり強硬な内容だったが、穏和な内容に書き換えた。バーキン氏は欧州が中国より貿易戦争を引き起こしかねない米国を大きな脅威とみなす可能性について警鐘を鳴らしている。
[オーストラリア] 2月3日、クイーンズランド(QLD)州のクリサフリ政権が同州グラッドストンの水素ハブプロジェクト「CQ-H2ハブ」への10億豪ドルの追加投資を行わないことを発表した。CQ-H2ハブは燃焼時にCO2を排出しないグリーン水素を製造する計画で、QLD州政府が所有する電力公社スタンウェル、関西電力、岩谷産業、川崎重工、丸紅等の日本企業、シンガポールの企業が作るコンソーシアムが計画を進めてきた。しかし2024年11月、関西電力がコスト増を理由にコンソーシアムを脱退した。 QLD州政府は財政負担と電力政策の観点から判断したと説明した。QLD州では2024年10月に総選挙が行われ、保守派の自由国民党(LNP)が勝利し、労働党から9年ぶりに州政権を奪還していた。
[トルコ/シリア] 2月4日、シリア暫定政府のシャラア大統領はトルコを訪問し、エルドアン大統領と会談した。シャラア大統領の外国訪問は、今週初めのサウジアラビア訪問に次いで2か国目。シリア北東部のクルド人戦闘員への対応を含む安全保障関係の強化や、シリア難民の帰還、両国の経済協力などについて話し合った。旧アサド政権下のシリアはイランやロシアとの関係が強かったが、シリアの新体制はサウジなどの湾岸諸国やトルコとの関係を重視し米国との関係改善を模索するなど、大きな方向転換となる。
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