デイリー・アップデート

2025年2月14日 (金)

[アルゼンチン] 2月12日、政府はパラグアイ-パラナ水路の浚渫工事と信号管理をするための30年間のコンセッションの入札を無効と判断し、不正がなかったかの調査に乗り出す。アルゼンチンの農業輸出にとってのボトルネックを解消し、競争力を高めるためにも、同水路の早期の改修が求められている。

[スーダン/ロシア] 2月12日、スーダンのアリ・アル=シャリフ外相はモスクワでロシアのラブロフ外相と会談を実施した。紅海に面するポートスーダン港にロシアが軍事基地を建設することに両国が「合意」したと複数のメディアが報じている。ロシアはこれまでシリアのタルトゥース基地等を中東・アフリカ向けの軍事補給基地としてきたが、シリアでの政変により継続利用の見通しが不透明となっている。一方で内戦が続くスーダンでは、ポートスーダンを拠点とし、暫定政権を統治するスーダン国軍(SAF)が優勢に立っているとの報道もあり、こうした状況をふまえての両国間の会談となったとみられる。

[コーヒー] コーヒー価格の上昇が止まらない。アラビカコーヒー生豆が取引されているNYコーヒー先物は2024年の同じ時期の倍となる1ポンドあたり4ドルの大台を超える史上最高値での取引が続いている。主要コーヒー産地では、平均気温の上昇や降水パターンが変化し、その結果、作柄の変化や病気の蔓延、また害虫が発生したことで、コーヒー生産が減少するリスクが高まっており、一部では現実の問題となっている。コーヒー産地は、カカオと同じように生産の適地は限られており、(コーヒーベルトとも言われている)これまで価格は緩やかに上昇してきたが、できる限り値上げに直結しないよう販売価格を抑えてきた。しかし、足元の原料の価格上昇はインスタントコーヒーなど製品価格には十分に反映されていないため、今後値上がりしていくものと見られている。

[アジア] 2月6日、腐敗や汚職を監視する非政府組織(NGO)であるトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)は、2024年度版の「腐敗認識指数(CPI)」を発表した。このCPIは180か国・地域を対象に、100点満点で指数化し、ランク付けしており、点数が高いほど清廉であり、低いほど腐敗が激しいことを示す。清廉度が高い国のトップ3は、デンマーク(90点)、フィンランド(88点)、シンガポール(84点)となり、シンガポールがアジアで最高位となった。ASEANでは、清廉度が高い順に、マレーシア(50点、57位)、ベトナム(40点、88位)、インドネシア(37点、99位)、タイ(34点、107位)、ラオスおよびフィリピン(33点、114位)、カンボジア(21点、158位)、ミャンマー(16点、168位)となった。南アジアでは、インド(38点、96位)、スリランカ(32点、121位)、パキスタン(27点、135位)、バングラデシュ(23点、151位)、アフガニスタン(17点、165位)となった。

[米国] 労働省によると、1月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比+3.5%と、12月(+3.3%)から上昇率を拡大させた。また、前月比も+0.5%となり、市場予想を上回った。ただし、先日発表された消費者物価指数(CPI)と合わせてみると、1月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率がやや鈍化するという見方が広がった。一方で、2月8日までの新規失業保険申請件数は21.3万件と、市場予想を小幅に下回り、雇用環境の底堅さが確認された。市場では7月または9月に追加利下げが実施されるという見通しが盛り返した。

[インド/米国] 2月10日、トランプ大統領は、司法省に対し、今後180日間、海外腐敗行為防止法(FCPA)の執行ガイドラインの見直しを行い、その間の執行停止を命じる大統領令に署名した。FCPAは1977年に制定された法律で、米国外で贈賄行為を行う米投資家への処罰を定めている。2024年11月、米司法省と米証券取引委員会(SEC)はFCPAに基づき、アダニ・グループを率いるゴータム・アダニ会長ら幹部を贈収賄と投資家への詐欺容疑で起訴したが、訴追手続きは一時中断されるとみられる。モディ首相の訪米直前のタイミングでの動きとなった。

[イスラエル/パレスチナ] ハマスは、イスラエルによる数々の停戦合意違反を理由に、2月15日に予定されていた人質解放を延期すると発表していたが、仲介国であるエジプトとカタールの説得もあり、ハマスは当初の予定通り15日に3人の人質を解放することを約束した。イスラエルのネタニヤフ首相は、人質解放が行われない場合はガザでの戦闘を再開すると発表していた。1月19日に発効した停戦合意の第1段階は6週間で、3月2日までにハマスは33人の人質を、イスラエルは1904人のパレスチナ人の囚人を釈放することで合意した。

[米国] 2月13日、トランプ大統領は「相互主義に基づく通商と関税」と題した行政命令に署名し、各国による不公正な通商政策・慣行への対抗措置を検討するよう関係閣僚に指示をした。巨額の貿易赤字と、他国とのバランスを欠く通商関係を正すべく、米国の通商相手国による関税や差別的な税制、非関税障壁、為替政策などを包括的に調査し、対応策も含め報告することを商務省、米通商代表部に求めた。トランプ政権関係者は、EUなどにおける付加価値税(VAT)の存在も、かねてより通商を不当に歪めていると指摘しており、今次の大統領覚書においても言及されている。

[オーストリア] 2024年9月に行われた議会選挙後に開始された国民党、社会民主党、Neosによる連立交渉が2025年1月に失敗し、その後自由党と国民党による連立交渉が開始されたが、2月12日にキクル自由党党首がファンデアベレン大統領に連立交渉の失敗を報告した。今後数日間かけてファンデアベレン大統領が各政党幹部と会合を開き、状況打破をはかる。

[中国] 中国の『経済観察報』は、複数の権威筋から独占入手した情報として、国務院国有資産監督管理委員会が「国家数据(データ)集団」という名称の中央国有企業を新たに設立する準備を進めていると報じている。目的は国家のデータ資源の統合と最適化をさらに進め、データ要素の効率的な配分と徹底的な活用を促進することとしている。デジタル経済の急速な発展に伴い、データは重要な生産要素となっているが、データ資源の分散化と断片化という問題が、価値の最大化を妨げており、国家データ集団の設立が、この問題の解決につながることが期待されている。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

21人が「いいね!」と言っています。
<  2025年2月  
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28