デイリー・アップデート

2025年2月7日 (金)

[メキシコ] 中央銀行は2月6日の会合で金融緩和のペースを50bpに加速し、政策金利を9.50%に引き下げた。 中銀のスタンスは全体的にハト派的なものであり、米国の関税動向がペソの下落を招くことが依然として大きな懸念材料ではあるものの、今後も利下げを継続するとみられる。

[米国/南アフリカ(南ア)] 2月6日、ルビオ米国務長官は自身のSNS(X)上で、2月20~21日に南ア・ヨハネスブルグで開催されるG20外相会議を欠席すると述べた。ルビオ長官は、トランプ大統領とイーロン・マスク氏らが主張する南ア政府による人権侵害批判に追随する形で「南アはとても悪いことをしている。G20議長国の立場を利用して米国が反対するDEIと気候変動対策を推し進めようとしている」と非難した。同日、南アのラマポーザ大統領は、施政方針演説(SONA)において、「私たちは屈しない」と述べ、アフリカで初のG20議長国として「連帯、平等、持続可能な開発」のテーマのもと、世界各国の協力を推進すると述べた。

[フィリピン] 2月5日、下院がサラ・ドゥテルテ副大統領に機密費の不正流用疑惑などを理由に弾劾訴追を決定した。弾劾訴追には下院(定数318)で3分の1の支持が必要となるが、215人の議員が支持した。今後、上院が弾劾裁判を開いて解職の是非を判断する。解職には上院(定数24)の3分の2の支持が必要となる。上院は2月5日に休会しており、上院議長は、弾劾裁判は上院が再び召集される6月2日以降となるとの見通しを示した。5月12日には統一国政・地方選挙(中間選挙)が予定されている。

[ASEAN] ユーラシアグループによると、ASEANでは急増する電力需要とエネルギー安全保障の確保を目的として、原子力エネルギー開発の取り組みを加速させている。特にインドネシア、ベトナム、フィリピンが明確な目標を掲げており、それぞれ2029年、2030年、2032年までに原子力発電所の稼働を目指している。現時点で、ASEANには稼働中の原子力発電所は存在しない。国際エネルギー機関(IEA)によれば、ASEANにおける全世界でのエネルギー需要の占める割合は2010~23年の11%から、2023~35年には25%以上に拡大する見込みである。

[英国] イングランド銀行は2月6日、政策金利を0.25%引き下げて、4.5%にすることを決定した。市場予想どおり、物価上昇率が鈍化傾向にあるため、利下げが適切と判断された。ベイリー中銀総裁は、今後の利下げについて、段階的で慎重なアプローチをとる方針を示した。2025年Q1の経済成長率見通しは+0.4%と、前回11月時点の+1.4%から下方修正され、物価上昇率は+2.8%と前回の+2.4%から上方修正された。

[米国/銅] トランプ大統領は1月末、鉄鋼・銅・アルミニウム、半導体、医薬品などの輸入品にも、近い将来関税を課し、国内生産を促すと述べている。2月5日、米国政治メディアThe Hillは、「トランプの銅への関税は(America Firstでなく)America Lastにしてしまいかねない」とする論説記事を掲載。銅は最先端技術の鍵となる素材だが、国内生産には課題がある。米国は新鉱山開発のリードタイムが世界で2番目に長く(平均29年)、非稼働鉱山には関税でなくインフラと電力が必要。製錬能力も不足し、川下の完全デカップリングは不可能。関税は銅不足の問題解決にならない誤った方向性だと述べている。

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