デイリー・アップデート

2025年2月10日 (月)

[コンゴ民主共和国(DRC)] 2月7~8日にタンザニアで開催された南部アフリカ開発共同体(SADC)・東アフリカ共同体(EAC)合同サミットにおいて、DRC東部での紛争終結に向け、全ての紛争当事者による即時停戦が呼びかけられた。同サミットにはDRC国内で進軍を続ける反政府勢力「M23」を支援していると指摘されているルワンダのカガメ大統領のほか、DRCのチセケディ大統領もオンラインで参加した。同サミットの共同声明では、これまでEACが進めてきた調停プロセス「ナイロビ宣言」と、SADCが進めてきた「ルアンダ宣言」の統合が発表されたほか、5日以内の和平協議の実施が明記された。しかし、停戦に向けた具体性や実行力に乏しいとの見方が多い。

[米国] 米労働省の雇用統計によると、1月の非農業部門雇用者数は前月比14.3万人増だった。市場予想(17万人増)や24年12月(30.7万人増)を下回った。12月までの上方修正の反動もあったようだ。1月の失業率は4.0%と、11月(4.2%)から2か月連続で低下した。平均時給は前年同月比+4.1%、12月と同じだった。24年後半から4%前後の伸び率を維持している。米国の雇用環境はならしてみれば堅調さを保っているようだ。

[米国] USAID(米国際開発局)の活動停止に関してさまざまな反応が見られている。トランプ政権を支持している福音派は、支援の必要な貧困国や危機に直面する地域にとって人道的な問題を引き起こすとし、活動停止に反対している。また、米国の国際的な影響力の低下についても指摘し再考を求めている。他方で、USAIDは東南アジア11か国のうち6か国で活動を展開しており、2024年だけで8億6,000万ドルがこの地域に割り当てられた。医療、経済開発、人道支援、教育、民主主義、人権、ガバナンスなど多くの分野で重要な役割を果たしてきた中、実際、カンボジアの結核プログラム資金が一時凍結された。更に、気候変動分野でも再生可能エネの支援が停滞することが懸念されている。米国の役割低下によって、中国が一帯一路構想を通じて国際的な影響力を拡大していくとの見方も浮上している。

[中国/韓国] 2月7日、アジア冬季競技大会の開幕式に出席するため中国・ハルピン市を訪問した韓国国会議長の禹元植(ウ・ウォンシク)氏は、習近平国家主席と会談を行った。習近平氏は、今年は中国人民の抗日戦争勝利および韓国開放から80周年にあたり、双方は記念活動を行うべきだと述べた。また、中国側の発表にはないが、禹議長がAPEC首脳会議に合わせた習近平氏の訪韓を要請したのに対し、「APEC首脳会議に中国の国家主席が参加するのは慣例」として、出席を検討していると習氏が答えたと韓国メディアは報じている。

[インド] 2月5日、デリー連邦直轄領の議会選(定数70)が行われ、8日に結果が開票された。国政与党BJPが大勝した。BJPは27年ぶりに過半数の議席を獲得し、州政権を担う見通しになった。庶民党のケジリワル党首は2013年から同連邦直轄領の首相を務めていたが、2024年3月、総選挙の直前に酒類販売政策に関する汚職容疑で逮捕され、その後釈放されたが、首相は辞任し、庶民党のクリーンなイメージは損なわれていた。JPは2024年4~6月の総選挙後、3つの重要州の議会選挙で勝利している。2025年は今後、ビハール州で選挙が予定されている。

[イスラエル/パレスチナ] 2月8日、イスラエルとハマスは停戦合意に沿って5回目の人質交換を実施。ハマスが3人の人質を解放し、イスラエルが183人のパレスチナ人を釈放した。ハマスに解放された3人は34~56歳の男性民間人で、16か月間に及ぶ監禁で酷く衰弱していた。釈放されたパレスチナ人のうち18人は終身刑、54人は長期刑に服していた囚人で、残り111人はハマスの奇襲以降にガザで拘束された男性。停戦合意の第1段階で解放されるイスラエル人の人質は残り17人で、うち8人は既に死亡しているとみられている。

[米国] 2月9日、トランプ大統領は、全ての鉄鋼・アルミ輸入品に対して25%の関税を賦課すると発言した。同措置は、10日に正式に発表される見込みで、メキシコやカナダも対象国に含まれる模様。また、11日、12日頃には、米国からの輸出品に関税を課す国々に対して、報復関税を賦課するとも発言した。いずれも具体的な措置は不明だが、かねてより、トランプ大統領は他国による不公正な通商政策・慣行を正すために関税率の引き上げを行うと述べており、また、関税収入が米財政を潤すとの認識を明らかにしている。

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