デイリー・アップデート

2022年3月9日 (水)

[フィリピン/タイ] ロシアのウクライナへの軍事侵攻の影響を受け国内物価上昇圧力が高まっていることを踏まえ、物価対策が講じられつつある。フィリピンでは3月7日に国家経済開発庁(NEDA)が燃料への補助金を50億ペソ(約110億円)に倍増することなどをドゥテルテ大統領に提案している。また、肥料価格高騰を受け農家への補助金交付が決定している。一方、タイでは、肥料販売業者と製造業者が肥料の販売価格引き上げの許可を政府に求めている。

[日本] 内閣府『景気ウォッチャー調査』によると、2月の現状判断DIは37.7となり、2021年12月から2か月連続で低下した。2~3か月後の先行きを表す先行き判断DIは44.4となり、前月から+1.9pt上昇した。食料品などの価格上昇や感染拡大に伴うまん延防止等重点措置の適用などから個人消費が弱含むことへの懸念があった。先行きについてワクチン接種や経口治療薬への期待がある一方で、ウクライナ危機への警戒感が高まりつつあった。

[中国/EU] 3月8日、習近平国家主席はマクロン仏大統領およびショルツ独首相とビデオ会談を開催し、ウクライナ情勢などについて話し合った。ロシアへの非難を避けている点、制裁には反対という点など、中国の従来の姿勢に変化はみられなかったが、ウクライナへの人道支援で協力していくことを確認した。この前日(7日)、ボレルEU上級代表は王毅外相と会談し、中国による人道支援への協力や4月1日に予定されているEU・中国首脳会議への期待を表明した。欧州では中国のウクライナ問題への関与に対する期待が強まっているようだ。

[エジプト] ロシアおよびウクライナは小麦輸出大国だが、両国からの小麦を大量に輸入している中東諸国は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で小麦の輸入が滞る影響を懸念している。エジプトは小麦輸入の8割をロシアおよびウクライナから購入。トルコも輸入の6割が両国からで、レバノンやチュニジアも小麦輸入の半分以上がウクライナから。各国は小麦の代替輸入先探しを始めているが、小麦の在庫が乏しい国などでは社会不安につながる可能性も懸念されている。

[米国/ロシア] 3月8日、バイデン大統領は、ロシア産の原油・天然ガス・石炭等のエネルギーの全面禁輸に関する大統領令に署名した。バイデン政権はグローバルなエネルギー供給を確保するためにバイデン政権発足以降関係が後退しているサウジや反米左派のベネズエラに対しても増産を要請する動きを示しており、野党・共和党は米国内でのエネルギー増産を優先すべきであるとして同政権のエネルギー外交を批判している。

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