デイリー・アップデート

2022年3月10日 (木)

[米国] 3月8日、バイデン大統領は対ロシア追加制裁として、ロシア産のエネルギーを全面禁輸する大統領令に署名したが、その一方で米国内では引き続きガソリン価格が高騰している。そうした中、全米各地の知事や州議会からはインフレ対策の一環として連邦ガソリン税や州ガソリン税の一時凍結や引き下げを求める動きが明らかになってきており、さらなるインフレが米国民の生活を直撃することに懸念が強まっている。

[バングラデシュ] 3月3日、国際通貨基金(IMF)はバングラデシュの「4条協議報告書(スタッフレポート)」を発表。2020/21年度の実質GDP成長率(推計値)は、主要貿易相手国における景気回復、輸出産業への刺激策、2回目のロックダウン後の既製服生産(RMG)産業に対する一部税控除などにより輸出が回復したため+5%と前年度を上回った。2021/22年度の実質GDP成長率は輸出の回復、刺激策、財政支出、金融緩和策が下支えし+6.6%となる見通し。

[米国] 労働省の『雇用動態統計』によると、1月の求人件数は1,126.3万件となり、過去最高となった2021年12月の1,144.8万件並みの高水準を維持した。採用件数は645.7万件で、ほぼ前月並みだった。一方、自発的離職件数は425.2万件となり、2か月連続で減少した。オミクロン株の感染が拡大した中でも、雇用環境の回復傾向が継続してきたといえる。

[韓国] 3月9日投開票を迎えた第20代韓国大統領選挙で、保守系最大野党「国民の力」候補者のユン・ソギョル(尹錫悦)氏が当選した。速報値で得票数:1,639万4,815票、得票率:48.6%、敗北を認めた与党「共に民主党」候補者のイ・ジェミョン氏は得票率47.8%で、その差わずか0.8pt、24万票余と、歴代の大統領選で最も僅差での勝利だった。投票率は、前日新型コロナウイルス新規感染者が34万人超と過去最多を更新した中でも前回並みの77.1%と高かった。ユン氏の当選により保守系政党が5年振りに政権を奪い返した。就任は5月10日。

[中国/ロシア] ロシアのウクライナ侵攻以降、中国大手スマートフォンメーカーのシャオミ、Oppo、ファーウェイのロシアへの出荷台数は少なくとも半分に落ち込んでいるとFT紙が報じている。中国ブランドはロシアのスマートフォン市場の約60%を占めている。中国政府はロシアを経済的に支える姿勢を示しているが、ルーブルがドルに対して35%以上も下落したため、中国企業が損失を出さずにロシアで製品を販売するのが難しくなっている。

[トルコ/イスラエル] 3月9日、イスラエルのヘルツォグ大統領がトルコを訪問した。イスラエル大統領のトルコ訪問は14年ぶり。両国はパレスチナを巡る問題でたびたび衝突しており、特に大きな問題となったのは、2010年にトルコがガザへの人道支援船団を送った際に、イスラエル軍がガザ沖で船団を急襲し10人のトルコ人活動家が死亡した事件。今回の2国間関係改善の背景として、トルコの外交的孤立や経済悪化によりエルドアン大統領が融和外交に舵を切ったこと、昨年イスラエルで政権交代が実現したことなどが考えられる。

[米国] 3月11日につなぎ予算が失効するのを前に、米下院は2022年度歳出法案を可決する見込み。総額1.5兆ドル規模。議会民主党は歳出法案の成立を期すために、共和党が反対していた新型コロナウイルス対策予算156億ドルを法案から削ることを決めた。歳出法案にはウクライナ緊急支援予算として136億ドルも含まれる。上下両院で今週中に法案が可決すれば、連邦政府閉鎖を回避することができる。

[ロシア] 3月9日、国防省は、一部の徴集兵(徴兵制で期間入隊したものの特殊訓練を受けていない、または戦争経験のない若い兵士)がウクライナでの軍事作戦に参加していたことを認めた。プーチン大統領は複数の場でこれを否定していた。国防省は「これらの兵士はほぼ全てロシアに引き揚げた」と説明し、今後はこうした事態を防ぐと強調した。

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