デイリー・アップデート

2022年3月15日 (火)

[ミャンマー] 政変による混乱やエネルギー価格高騰から深刻な電力不足に陥っており、停電が頻発し市民生活や経済活動への影響が生じている。軍統治下にある電力・エネルギー省によると、政変以降水力発電所からの送電設備が武装勢力に破壊されたり、天然ガス火力発電を一時停止したりしている。市民生活では、ヤンゴンで停電の頻発から電動ポンプを使用して水を汲み上げることができず、水不足に陥る世帯が増えている。生産コストが上昇し経営が圧迫されている企業もあるという。

[米国] NY連銀の2月の月次調査によると、消費者の1年先のインフレ期待(中央値)は6.0%となり、1月の5.8%から上昇、2021年11~12月の水準に戻った。3年先のインフレ期待も3.8%と1月の3.5%から上昇したものの、2021年9~10月調査時の4.2%を下回った。1年先の物価上昇が見込まれているものの、それより先ではやや落ち着く見方となっている。一方で、1年先の所得の伸びは3.0%とみられており、実質的な購買力が低下する姿になっている。

[中国] 第一財経が3月14日付で報じた乗用車市場情報聯席会のデータによると、2021年末現在、全国の乗用車生産能力は合計4,089万台で、生産能力利用率は52.47%に過ぎず、自動車業界の生産能力過剰は依然として深刻。さらに今後NEVの新規生産能力が1,046万台分加わり、事態に拍車がかかる。過剰の原因には市場の楽観視など企業側の問題もあるが、地方政府にとってはGDPが重要な業績評価の指標であり、税収、雇用、波及効果などから一部盲目的に企業の投資を後押しし、経営不振で企業がゾンビ化しても退出させないという政府側の問題も指摘された。

[米/中/露] ロシアからの軍事物資支援要請に対し、中国が地対空ミサイル、ドローン、情報関連機器、装甲車、兵站に使用する車両などを提供する意思を示していたと、米国務省が同盟国に伝える公電を送ったとFT紙が報じている。中ロ関係に関わる緊張や米中両国の規制強化などを受け、中国企業の米国預託証券(ADR)などで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は12%下がり2013年7月以来の低水準となり、ハンセン商工業株指数も下落した。

[米国] Wall Street Journalは今月2日から6日まで最新世論調査を実施した。バイデン大統領の支持率は42%と引き続き低迷するとともに、インフレ対策・経済運営等の主要争点についても軒並み不支持が上回っており、厳しい政権運営を強いられている。ロシアのウクライナ侵攻後初の世論調査であったが、米有権者は、対ウクライナ軍事支援や対ロシア追加経済制裁の強化にはそれぞれ55%の支持を示したが、米軍のウクライナ派遣を支持する回答はわずか10%だった。

[ロシア] ウクライナへの侵攻を続けるロシアの政府系テレビ局「第1チャンネル」のニュース番組で3月14日、反戦を訴えるプラカードを持った女性が画面に映り込み、その後警察に拘束された。女性はマリーナ・オブシャニコワさんで、同テレビ局でディレクターとして働いていたようである。一方、ロシアのドヴォルコヴィチ元副首相(現在、国際チェス連盟会長)が今回のウクライナの軍事侵攻を強く批判し、「戦争反対」の発言を繰り返した。

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