デイリー・アップデート

2022年3月17日 (木)

[米国] FOMCが3月16日まで開催され、政策金利の誘導目標レンジを25bp引き上げることを決定した。今後、継続して利上げを実施する姿勢も示された。FOMC参加者の見通しによると、1回あたりの利上げ幅を25bpとすれば、2022年中の全会合で毎回利上げが実施される可能性がある。また、バランスシートの縮小については次回5月会合で詳細を決定する方針も発表された。広範な物価上昇圧力があるため、物価抑制に取り組む姿勢が強調された。

[ウクライナ/ロシア] ロシア軍のウクライナ侵攻をめぐるロシアとウクライナの代表団による停戦交渉が進み、一部の報道では、双方の代表団が合意案の作成について「重要な進展」を遂げたと伝えている。合意案はウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念する一方で、ロシアが撤兵するなどとする内容という。両国高官も同日、「停戦合意が近い」との見方を示した。ただ、プーチン露大統領はこの日、軍事活動を継続する意向を表明しており、停戦合意の先行きはなお不透明だ。

[中国] ◇3月16日、国家統計局が本年2月の国内70都市の住宅販売価格統計を発表。価格動向は、昨年12月から1月にかけて上向きの兆しが見えたが、2月は足踏み状態が続く。アナリストは、一線都市の需要は旺盛で回復が速い一方、二・三線都市は需要不足と三線都市での在庫圧力の高まりで回復が遅いと分析。今後市場が落ち着くとの見方があったが、感染症再拡大で上海、深圳、杭州、南京などの市場が冷え込み価格の下落が懸念される。◇財政部関係者が年内は(実施中の2都市を除き)不動産税の試験導入の条件が整っていないと発言、不動産市場の低迷を背景とした導入先送りとみられる。

[中国/米国] 米国証券取引委員会(SEC)が「米国に上場する外国企業が当局による監査状況の検査を受け入れない場合、上場廃止もあり得る」としてきた問題で、中国政府は、監査情報の開示について譲歩する準備を進めているとFT紙が報じている。どのような財務監査情報を海外に開示できるかについて、情報を「レッド、グリーン」と分類するシステムを導入する意向としている。3月16日に劉鶴副首相が急遽中央関係部署を集め「国務院金融安定発展委員会専門会議」を主催、金融市場の安定と規制措置の明確化方針を打ち出したことも追い風になると見られる。

[イラン] 3月15日、ロシアのラブロフ外相は「JCPOAが再建された場合にJCPOAに関するロシアとイランの協力が欧米による対ロシア制裁によって妨害されないことを保証する書面を米国政府に要求していたが、その書面を受け取った」と明らかにした。なお、同じ内容が合意案にも記載されるという。米国務省のプライス報道官も「JCPOA再建に必要な原子力関係のロシアとイランの協力活動を妨害しない」と説明している。これにより、ロシアの要求で先週一旦は中断されたJCPOA再建交渉の再開が期待される。

[ウクライナ/米国] 3月16日、ウクライナのゼレンスキー大統領は米議会でオンライン演説を実施、連日ロシア軍による空爆や攻撃を受けている中、ウクライナ上空の飛行禁止区域の設定や戦闘機の供与等を要請したが、ゼレンスキー演説を受けてホワイトハウスで演説したバイデン大統領はいずれの要求にも触れず、地対空ミサイルや対戦車ミサイル、無人攻撃機(ドローン)等からなる800万ドルの対ウクライナ安全保障追加支援を発表した。

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