デイリー・アップデート

2022年3月22日 (火)

[ロシア/米国] ロシアのウクライナ侵攻を受けてバイデン政権は対ロシア追加制裁を発動しているが、米議会からはさらに厳しい追加制裁を発動させてウクライナ侵攻をプーチン大統領に止めさせる圧力の強化を図るべきとの議論が浮上している。ペンシルベニア州選出のパット・トゥーミー上院議員(共和党)はロシアの金融セクターと取引を行っている第三国の金融機関を対象にしてバイデン政権と米議会は米国の制裁法に基づく二次的制裁の発動の可能性を示唆すべきと主張。

[世界] 3月18日、国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)は2022年版の世界幸福度ランキングを発表した。2022年で10年目となり世論調査機関ギャラップが世界約150カ国で調査を実施している。ランキングはフィンランドが5年連続で1位になった。その他デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、アイスランドなど北欧の国が上位を占めた。日本は54位だった。

[米国/中国] 3月18日、バイデン大統領と習近平国家主席はテレビ会談を実施し、ウクライナ情勢や台湾問題について意見を交わした。ウクライナ情勢について、習近平国家主席は「ウクライナ危機」という言葉を初めて使い、また、「ロシア・ウクライナ双方の安全保障上の懸念を解消しなければならない」と(従来はロシアの懸念のみに言及していた)しつつ、ロシアを非難することは避け、制裁にも反対という基本方針を改めて示した。バイデン氏は、台湾政策については従来と変更なく、一方的な現状変更に反対すると述べた。

[インド/日本] 3月19日、岸田首相がインドを訪問し、モディ首相と会談した。両首脳は、インド太平洋、ウクライナ情勢、ミャンマー情勢、二国間協力等について話し合った。ウクライナ情勢について、岸田首相はロシアを非難し、モディ首相にロシアへの働きかけを求めたが、共同声明にはロシアへの非難は書き込まれず、モディ首相も記者会見で言及することはなかった。同日、両国は、円借款、都市開発、サイバーセキュリティ等の6分野での協力文書に署名。円借款については総額3,122億5,800万円(7件)の供与に関する書簡を交換。また、気候変動対策とエネルギー分野での官民協力を定めた「日印クリーン・エネルギー・パートナーシップ」を発表した。

[シリア/UAE] 3月18日、シリアのアサド大統領がUAEを訪問し、ムハンマド・アブダビ皇太子及びムハンマド・ドバイ首長などとの会談を実施。シリア領土の統合の問題や外国軍の撤退問題について話し合われたもよう。2011年のシリア内戦開始以来、アサド大統領がアラブ国を訪問するのは初めて。アサド大統領はデモに厳しい武力弾圧を行ったことでアラブ連盟から加盟資格を停止されているが、UAEはアサド政権との関係改善に舵を切りアラブ連盟への再加盟も支持している。プライス米外務省報道官は「深い失望」を表明。

[米国] 3月21日、ブリンケン国務長官は、ワシントン特別区にあるホロコースト記念博物館で演説を行い、ミャンマー軍によるイスラム系少数民族ロヒンギャに対する弾圧は「ジェノサイド」(集団殺害)であると述べた。トランプ前政権は新疆ウイグル自治区におけるイスラム系少数民族への迫害がジェノサイドであるとしていたが、ミャンマーについては踏み込んでいなかった。国務長官は同盟国等と連携して、責任を追及していく意向を明らかにしたが、具体的な追加制裁措置等は明らかにしなかった。

[ロシア] ロシア中央銀行は3月18日、ウクライナへの侵攻後に19年ぶり高水準に引き上げた政策金利を20%で据え置いた。前例のない制裁に直面する中で、経済の防衛を続ける姿勢を示している。プーチン大統領はナビウリナ総裁の3期目となる再任を提案し、ロ議会は本件について来月議論を行う予定。ナビウリナ氏は2013年から中銀総裁を務めており、これまで幾多の危機を乗り切ってきたが、インフレ目標や外貨準備の蓄積に大きな比重を置いてきた近年の金融政策は見直す必要に迫られる。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

20人が「いいね!」と言っています。