デイリー・アップデート

2022年10月3日 (月)

[米国/ロシア] 9月30日にロシアがウクライナ領の4州を一方的にロシア領に編入することを発表したことを受け、同日バイデン政権は対ロシア追加制裁の発動を発表した。プーチン大統領の側近であるナビウリナ中央銀行総裁やロシア連邦議員や親族約280人に対して金融資産の凍結、金融取引の禁止からなる追加制裁を発動した。また、米商務省はロシア軍を支援する57団体を米国製品の輸出規制対象リストに追加することを発表した。

[インド] 9月30日、インド準備銀行(中央銀行)は金融政策決定会合で政策金利(レポ金利)を0.5%pt引き上げ5.9%とし、即日実施した。5月の臨時会合で3年9か月ぶりに利上げを実施して以来、4会合連続で累計1.9%pt利上げしている。先進国の利上げによる急激な自国通貨安と食料・エネルギー価格の高騰が主な背景。同日、対ドルでのルピーは、1米ドル=81.55ルピーと史上最安値圏を更新。外貨準備高は年初より1,000億ドル弱も減少し9月23日時点で5,375億ドルとなっている。

[モザンビーク] フェリペ・ニュシ大統領が、与党フレリモ党大会において、全会一致で党首に再選された。2024年の次期大統領選の趨勢には、足元の社会経済状況が大きく影響すると考えられる。2022年前半までは、治安改善が経済の追い風になると見られていたが、再び北部で反乱の拡大がみられており、天然ガス開発の遅れもみられるなど、不透明感が強まっている。

[ロシア/ウクライナ] 9月30日、プーチン大統領はモスクワで演説し、ウクライナ東・南部4州を一方的に併合すると宣言した。10月2日、ロシア憲法裁判所は、プーチン大統領が署名した併合条約を「合憲」と判断した。同条約は3日に下院、4日に上院で批准され、併合手続きが完了する見通し。国際社会は国連憲章・国際法違反としてこれを認めていない。

[中国/欧州] ドイツのメルカトル中国研究所(MERICS)は、「メルケル独首相が去った後、中国ではマクロン仏大統領に、メルケル氏が果たしていた役割を期待する見方が強まっている」との論説を掲載している。中国は、同国に懐疑的な連立パートナーを気遣わなければならないショルツ独首相より、マクロン氏との関係を優先するようになっており、大統領選でルペン氏を破りマクロン氏が当選した時は安堵したとしている。EUや多国間の場ではフランスは中国に批判的な立場を取るかもしれないが、二国間では協力と対話を奨励することが可能と中国は期待していると分析している。

[タイ] 9月30日、憲法裁判所がプラユット首相の在任期間をめぐる論争について、現行憲法が発効した2017年4月が起算点となるため、憲法が定める8年の上限にはいまだ達していないとの判断を示した。これにより同首相の職務の一時停止は解除され、同首相は職務に復帰した。次期総選挙は2023年5月7日までに実施される予定だが、プラユット首相が再び首相に選出されれば、2025年まで首相を続けられることになる。

[イエメン] 10月2日、グランドバーグ・イエメン担当国連特使は、「サウジアラビア主導連合軍と反政府武装組織フーシ派が、同日が期限の停戦合意のさらなる延長に合意できなかった」と発表した。同特使は、期限は過ぎたものの現在も停戦延長のための協議は継続しているので全当事者に対し挑発行為を慎むように釘を刺した。イエメン内戦は、2014年にフーシ派が首都サナアを占拠してから8年目に突入しているが、今年4月に双方が2か月間の停戦に合意し、その後10月2日まで2度にわたり停戦合意の延長が実施されていた。

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