デイリー・アップデート

2022年10月20日 (木)

[米国] 10月19日にFRBが発表した『地区連銀経済報告(ベージュブック)』では、米国経済が10月初旬まで緩やかに成長したものの、産業や地区によって状況が異なると評価された。全12地区のうち6地区が緩やかに拡大した一方、4地区が横ばい、2地区が減速した。物価や金利の上昇などから需要に変調がみられた。雇用環境は総じて堅調であるものの、景気減速懸念によって賃上げを躊躇したり、消費者の抵抗によって原材料コスト上昇の販売価格への転嫁をためらったりする動きもあった。

[中国] 中国共産党第20回党大会の基調報告において、「低所得者の所得増加」、「中間所得層の拡大促進」に加え、初めて「高所得者に対する富の蓄積メカニズムの規制」が書き込まれ、投資家に不安を呼び起こしている。中国労働学会の研究員は「(金融、IT産業などの)少数の人々があまりにも迅速に富を蓄積した」ことが社会問題となり、民衆はこの問題の解決を望んでいるとした上で、所得分配方式と分配制度をさらに改善することが必要で、財産所得が労働所得を指数関数的に上回ることは許されない、などと解説している。

[米国] 11月8日に投票が行われる米国中間選挙まで3週間足らずとなったが、2022年夏から初秋にかけての与党・民主党の勢いが最近では失速傾向となっていることが各種最新世論調査結果で明らかになる一方、野党・共和党は下院多数派の奪還が有力視されるとともに、「激戦州」の上院議員選挙でも共和党候補が接戦に持ち込む展開となっている。有権者が米経済の先行きを不安視し、インフレにも懸念を示す中、主要争点についても共和党に有利な展開になりつつある。

[ロシア] 10月19日、プーチン大統領は、併合を宣言したウクライナ東部・南部4州に戒厳令を導入すると表明した。戒厳令の導入は、1991年のソ連崩壊後、初めて。戒厳令の発令に伴いロシア各地の連邦構成主体においても広範な防衛・緊急事態保護措置が導入されることになり、プーチン政権は国内で軍への協力態勢を強化する考えで、「戦時体制」への移行を大幅に進めることになる。

[中国] 10月17日発売の「財新週刊」が、国美電器集団の危機を伝えている。創業36年、中国最大の家電量販店の国美は、本年3Qに傘下の9割の店舗を閉鎖し、上半期末時点の3,825店舗を現在500店舗未満とし、支社も40社から30社前後に統廃合した。本年6月末時点で、主力事業上場会社の国美小売の総負債規模は585.67億元(約1.2兆円)に達し、9月末現在の仕入先に対する未払金は46億元、一部の家電ブランドは商品の供給を停止している。融資の返済も滞り、興業銀行や光大銀行などが国美を提訴した。北京市政府は、8月初旬に国美の資産再編に向けた介入を開始したが、交渉は難航しているという。

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