デイリー・アップデート

2022年10月31日 (月)

[エチオピア] 連邦政府とティグライ人民解放戦線(TPLF)は、2020年11月に紛争が勃発して以来、初の公式和平交渉を実施している。交渉は前ナイジェリア大統領のオバサンジョ氏がアフリカ連合の特使として主導し、ケニア、米国、南アフリカからのサポートも受けているが、政府軍が軍事的な優勢を背景に、交渉での圧力を強めており、和平が進展する可能性は高くないとみられている。

[イラク] 10月27日、選挙から1年以上が経つ中で、イラク議会がようやく新政権の発足を承認した。新首相には、過去に人権相や労働・社会問題相を経験した52歳のスーダーニ氏が就任。23の大臣ポストのうち、21のポストに関して新大臣が承認されたが、2ポスト(建設相と環境相)については未承認。昨年の選挙で最大議席を獲得したサドル師支持派は全員が議員を辞職し、今回の政権への参加を拒否。サドル師支持者は、幾度となくスーダーニ政権発足を阻止しようとしてきた。

[中国] 10 月31日、国家統計局は10月の製造業・非製造業の購買担当者景気指数(PMI)を発表した。製造業PMIは49.2と9月の50.1から悪化。景気の節目となる50を2カ月ぶりに下回った。そのうち、生産は49.6(9月51.5)。需要が弱く、新規受注が48.1 (9月49.8)。輸出受注は47.6と低位のまま。非製造業PMIは48.7となり、9月の50.6から悪化。サービスが47.0(9月48.9)と、新型コロナウイルスの拡大でさらに悪化した。一方、建設業は地方でのインフラ投資が加速しているため58.2と高水準だった。

[日本] 経済産業省によると、9月の鉱工業生産指数は前月比▲1.6%となり、4か月ぶりに低下した。全15業種中、自動車や無機・有機化学、生産用機械工業など11業種が減産となり、増産だったのは化学工業など4業種にとどまった。基調判断は「緩やかな持ち直しの動き」に据え置かれた。先行きについて、製造工業生産予測指数によると、10月は▲0.4%、11月は+0.8%となり、9~10月は2か月連続で生産が低下する可能性がある。

[ロシア] 10月29日、ロシア国防省は、黒海からのウクライナ産穀物輸出を再開させた「ウクライナ、トルコ、国連との4者合意」の履行を「無期限に」停止すると発表した。ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島に向けウクライナ軍が同日行った無人機などの攻撃により、穀物輸出に使う航路の安全が脅かされたと主張している。今後、輸出の停滞により食料価格高騰が深刻化することが懸念される。

[中国] 本年1~9月の中国沿海の港湾におけるコンテナ取扱量は、1.9億TEUで前年同期比+3.8%だが、9月は前月比▲3%の2,192万TEUで、2か月連続で前月割れとなった。10月11日に中国港湾協会が発表した9月のデータでも、沿海8大ターミナル港における貿易貨物の「実入り(貨物を積載した)コンテナ取扱量」は、前年同月比▲10.3%、前月比▲6.4%だが、貿易貨物の空コンテナは前年同月比+20.5%と、コンテナで輸出される貨物が不足し、空コンテナが返されている状況を反映しているという。外需の弱含みが中国の輸出に圧力をもたらしている。

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