デイリー・アップデート

2023年7月7日 (金)

[米国/中国] イエレン米財務長官は7月6日、北京に到着し、4日間の訪中スケジュールを開始した。滞在中に劉鶴・元副首相、周小川・元人民銀行総裁、李強首相などと会談を行うことになっているが、習近平国家主席と会談を行うかは明らかになっていない。イエレン氏は中国との経済デカップリングは「悲惨」になると警告し、中国側はバイデン政権における対中穏健派とみなしている。同氏の訪中は米中のハイレベル対話チャネルを維持することが第一の目的であり、両国関係の緊張緩和を目指しているが具体的な成果はさほど期待されていない。中国側は対中輸出規制の緩和と関税撤廃を望んでいるが、イエレン氏にその権限はない。

[米国/中国] 7月6日、イエレン米財務長官は中国・北京に到着した。イエレン氏は財務長官としては初訪中となる。同氏は到着後にツイッターにて、米中間での健全な経済競争関係を志向し、グローバル課題をめぐる協力を模索するとの立場を改めて表明した。今次の訪中は無用な誤解を回避するための直接対話の機会であると位置付けた点は、6月の国務長官訪中時と同じアプローチである。なお、気候問題担当大統領特使であるケリー元国務長官も翌週に訪中予定であることを明かしており、米中政府高官の直接会談が続く形となる。

[ブラジル] 6月30日、ブラジル連邦高等選挙裁判所(TSE)はボルソナロ前大統領に対して、2022年10月の大統領選挙第一回投票にさかのぼり、2030年までの8年間はあらゆる選挙への出馬を禁じる裁定を下した。2022年7月に、外国の大使ら約40人を前にして同国の大統領選挙で導入されている電子投票システムに疑念を表明したことは権力の乱用であり、また誤った議論をメディア経由で訴えたことも有罪判決の理由となった。政治権力への速やかな復帰を狙っていたボルソナロ氏にとって打撃となる。

[インド] 現地不動産サービス大手、アナロック・プロパティー・コンサルタンツによると、2023年4~6月期の主要7都市の住宅販売戸数は、前年同期比+36%の11万5,110戸だった。四半期ベースで過去最多だった前期(11万3,780戸)からさらに+1%ptとなり過去最多となった。住宅ローン金利の上昇による買い控えの動きはまだみられない。新規供給戸数は、前年同期比+25%の10万2,610戸だった。

[米国] 労働省『雇用動態調査(JOLTS)』によると、5月の求人件数は982.4万件となり、前月から49.6万件減少し、2か月ぶりに1,000万件を下回った。感染拡大前の700万件前後に比べて、依然として求人数は多い。また、7月1日までの1週間の新規失業保険申請件数は24.8万件となり、前週から1.2万件増と、2週ぶりに増加した。ならしてみれば、2022年末から緩やかな増加傾向にある。しかしこれまでのところ、労働需給のひっ迫が大いに改善したとは言いがたい状況となっている。

[ロシア] 通貨ルーブルは7月6日の取引で、一時的に対米ドルで94ルーブルを突破し、1年3か月ぶりの安値を付けた。制裁の影響で輸出が縮小し、貿易不均衡に起因する圧力などが高まり、ルーブル安に転じているとの見方が出ている。また、6月末に起きたプルゴジン氏による武装蜂起を受け、プーチン大統領の権力掌握に対する疑問が出ており、市場に影響が出ている。

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