デイリー・アップデート

2023年7月11日 (火)

[米国] NY連銀の「消費者期待調査」によると、6月の1年先の期待インフレ率は3.8%となり、同5月の4.1%から0.3pt低下した。2022年6月の6.8%をピークに緩やかに縮小しており、2021年4月以来の低水準になった。3年先の期待インフレ率は5月、6月ともに3.0%となった。2022年後半から3%前後で安定している状況を示しており、中期のインフレ期待はおおむね固定されている。一方で、5年先は3.0%と、2022年(調査開始)3月以来、高めで推移となる予想となった。

[中国] 国家統計局は6月の卸売物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)を発表した。6月のPPIは前年同月比で▲5.4%だった。下落は9か月連続で、5月の▲4.6%からマイナス幅が拡大した。石油や石炭の値下がりが反映されたとみられる。6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で横ばいの0%だったと発表した。世界最大の製造品供給国である中国の継続的なデフレは、高インフレが続く欧米へ波及しインフレ圧力を弱めることになり、欧米の中央銀行は、インフレを抑制することを目的とした積極的な利上げのペースを緩める可能性がある。

[中国] 7月10日、中国政府は、「共有発展のためのグローバル・アクション・フォーラム」の第1回ハイレベル会合を北京で開催し、130以上の国や国際機関の代表が参加した。王毅政治局員は、中国は世界最大の発展途上国であり南側陣営のメンバーであるとして、国際情勢がどのように変化しようとも発展途上国としての立場を堅持し、南側諸国と協力していくと述べた。また、被援助国政府、民間、社会組織、国際機関との協力を拡大するとして、ドイツやスイス、米ゲイツ財団など、第三国や機関と協力して実施する11のプロジェクトを発表したほか、若者が世界開発協力に参加することを支援するため「世界開発ユース・リーダーシップ・ハウス」を設立することを明らかにした。

[米国] バイデン大統領は、7月11日と12日の両日、リトアニアの首都ビリニュスで開催される第74回北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するが、ここで強い指導力を示してNATOの一致団結した姿を誇示することが、2024年米国大統領選挙での再選戦略にとって重要となる。共和党では、トランプ前大統領やデサンティス知事といった有力者は米国の対ウクライナ支援に反対している。リトアニア滞在中の7月12日、バイデン大統領は自らの世界観に焦点を当てた重要演説を行う予定。

[ロシア] 7月10日、ペスコフ大統領報道官は、プーチン大統領と武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が、6月29日にクレムリンの大統領府で会談したことを明らかにした。6月の武装反乱を「裏切り」と非難したプーチン氏とプリゴジン氏の接触が初めて公式に表明された。政権が今後もワグネルを活用する可能性を示唆した。

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