デイリー・アップデート

2023年7月20日 (木)

[アジア太平洋] 7月19日、アジア開発銀行は『アジア経済見通し2023年7月版』(Asian Development Outlook (ADO) July 2023)を発表した。2023年第1四半期は世界的に需要が弱く、開発途上のアジア地域の輸出は低調だった一方、消費と投資は堅調に推移した。2023年の地域全体の実質GDP成長率見通しは4.8%と前回見通しから据え置いた。2024年の見通しは4.8%から4.7%に下方修正した。

[日本] 財務省『貿易統計』によると、6月の貿易収支は430億円の黒字だった。輸出額が8兆7,441億円と前年比+1.5%と28か月連続で増加した一方で、輸入額が8兆7,010億円、同▲6.1%と8か月連続で減少したため、貿易収支は23か月ぶりに黒字に転じた。内訳をみると、輸出では自動車や建設用・鉱山用機械が増加した一方で、鉄鋼や半導体等製造装置が減少した。輸入では、原粗油や石炭、液化天然ガスの減少が目立った。

[タイ] 7月19日、前進党のピタ党首が首相候補として2度目の立候補をすることは国会の「一事不再議の原則」に反するとの主張を受け、国会で同党首の立候補資格を問う投票が実施され、上下両院(749議席)の過半数(394)の議員が立候補資格の否定に賛成し、同党首の立候補は取り消された。このため、2回目の首相指名の投票は実施されなかった。また同日、投票に先立ち、ピタ党首の国会議員のメディア企業の株式保有は下院議員選挙法に違反している可能性がある、との選挙管理委員会の指摘を受け、憲法裁判所が同党首の国会議員としての資格を一時停止する命令を下した。3回目の首相指名の投票は7月20日に予定されていたが、不透明な状況になっている。

[米国/中国] 7月19日、ケリー大統領特使(気候問題担当)は、3日間に及ぶ訪中日程を終えた。同氏は、韓正国家副主席、李強首相、王毅政治局員などと会談を行い、気候変動がもたらす危機については米中双方の認識は一致しており、両国が引き続き協力していくことで合意したが、具体的な成果発表には至らなかった。バイデン政権は、政治・外交上の緊張関係とは別に、気候変動などのグローバル課題については、米中協力の余地があるはずとして対中外交を試みており、今回のケリー特使の訪中は、米中協力を具現化する上で有望な一分野とみられる。しかし中国側は、他の外交案件と気候問題のリンケージを主張しており、溝を埋めるにはさらなる交渉が必要である。

[米国] 5月24日にフロリダ州のデサンティス知事が、共和党大統領候補指名獲得争いへの正式な出馬表明をしてから2か月が経過しようとしているが、トランプ前大統領に支持率を大きく引き離されている。政治資金面でも厳しく、精彩を欠いている状況に直面している。そうした中、デサンティス知事の選挙キャンペーンを支援する有力者らの間から、選挙対策本部の刷新を求める動きが表面化しており、特に、ペック選対本部長の辞任や降格が要求され始めている。

[ロシア] 大統領府は、8月に南アフリカで開催予定のBRICS首脳会議に、プーチン大統領はオンラインで自国から参加すると明らかにした。代わりにロシア政府の代表としてラブロフ外相が現地で出席すると発表した。プーチン大統領については、国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を出しており、現地出席した場合の南アフリカの対応が注目されていた。

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