デイリー・アップデート

2023年7月24日 (月)

[中国/ドイツ] 独アウディと上海汽車(SAIC)は、EV開発で提携することで合意した。アウディの親会社であるフォルクスワーゲン(VW)が計画している次世代のEV用プラットフォームの開発が遅れ、中国企業からEV用プラットフォームを調達する方向で協議を進めていた。アウディはVW・ポルシェと共に早くからEV開発を行い、自動車業界で世界をリードしてきた一員であるが、中国市場向けとは言いながらも「中国企業と共同開発を行う」と方針転換したことは驚くべき事態といえる。

[ウクライナ/ロシア/米国] ウクライナが不法にウクライナ領を占拠しているロシア軍を国外に放逐するための大規模な反転攻勢を開始してから1か月半が経過するが、大幅な進展が阻止されている状況が明らかになりつつある。ロシア軍は、地雷原や塹壕(ざんごう)を築きながら、ウクライナ政府軍に対して優位を維持している攻撃用ヘリ等の空軍力で、ウクライナ政府軍による反転攻勢の大幅な進展を阻止している。ゼレンスキー政権は米国製F-16戦闘機の供与を要請しているが、米バイデン政権はいまだ正式に承認していない。

[日本・インド]  7月20日、訪印した西村経済産業相は、半導体のサプライチェーン構築を目的とし、インド政府と協力覚書「日印半導体サプライチェーンパートナーシップ」を締結した。半導体製造装置や素材に強みを持つ日本と、設計を含め豊富な人材を抱えるインドが協力関係を深化させ、今後の同分野における発展を共に目指す。インドの半導体産業は急速な成長を遂げており、現在市場規模は6億5,000万ドルを超え、この5?6年で10億ドルに達する見込み。インドは、1月にすでに米国とも「米印重要新興技術イニシアティブ(Critical and Emerging Technology(iCET))」を締結している。

[モザンビーク] 国際通貨基金(IMF)は、延長信用ファシリティー(ECF)アレンジメントの下で、モザンビークに対し2回目のレビューを完了した。中長期的な経済見通しは明るく、約6,060万米ドルの融資は実行されたものの、財政健全化の遅れが浮き彫りになった。中でも公共部門の賃金については、今後5年で3分の1以上の削減が求められるが、ストライキの頻発が懸念される。

[ロシア・ベラルーシ] 7月23日、プーチン大統領は、サンクトペテルブルクでベラルーシのルカシェンコ大統領と会談した。プーチン氏は、ロシアの侵攻を受けるウクライナの反転攻勢は「失敗している」と主張し、ロシア軍の優勢を強調した。一方、ルカシェンコ氏はベラルーシ国内にいるロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員が、西の「ポーランドに行きたがっている」と語り、欧米をけん制した。ロシア側との合意に従い、戦闘員をベラルーシ中部にとどめているとした。

[中国] 7月19日、中国共産党と国務院は、「民間経済の発展と成長の促進に関する」意見を共同で発表し、民間企業への支援を強化すると発表した。31条からなる「意見」では、国有企業と民間企業を平等に扱うこと、一部民間企業に技術革新債の発行を奨励し、適格企業の上場と借り換えを支援すること、政策策定と評価における企業家の参与、民間企業と財産権と権利の保護などが謳われている。中国国内の企業家らは「意見」の歓迎を表明する一方、西側メディアなどは懐疑的な見方を示すものが多く、また長期的な中国経済に対する逆風も投資家にとっては懸念材料になると報じている。

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