デイリー・アップデート

2024年3月1日 (金)

[OPEC] ロイターの集計によると、2024年1月のOPEC加盟12カ国による原油生産量は日量2,642万バレルと、前月比で+同9万バレルとなった。ロシアなど非加盟国を含む「OPECプラス」の一部参加国は、1月から自主的に追加減産を実施すると発表しており、多くの国が生産を削減した一方で、減産不参加のリビア・ベネズエラのほか、生産枠未達が続いていたナイジェリアも新規製油所の稼働などを受けて増産となり、他国の減産を相殺している。近日中に4~6月の生産計画が決定される見込み。

[ブラジル] 2023年は、ブラジルの銀行では、インフレと高金利、需要の低迷、企業の倒産、家計債務の増加などにより、貸出金の伸びが鈍化し、資産の質が悪化した年となった。2024年は、ディスインフレの継続と、金利低下、デセンローラ(政府の低所得者向けの債務再編プログラム)などにより貸出金の増加が見込まれ、景気の回復が期待される。

[モザンビーク] 2月28日、国際移住機関(IMO)は、モザンビーク北部のカーボデルガド州の複数の群における武装勢力の村落への襲撃により、2月8日から27日の間に68,156人の国内避難民が発生したと発表した。天然ガス開発プロジェクトが進展する同州北部は、南部アフリカ開発共同体(SADC)軍およびルワンダ軍の駐留により治安は回復傾向にあったが、2月に入ってから襲撃は同州南部で拡大。避難民の多くは隣接するナンプラ州に避難している。ナンプラ州は、日本政府が円借款で整備を支援したナカラ港から内陸国までを結ぶ「ナカラ経済回廊」の起点となる州である。

[インド] 2月29日、政府は2023/24年度第3四半期(2023年10~12月)の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比+8.4%だったと発表した。前期の+8.1%(改定値)から加速し、2023年12月時点でのインド準備銀行(中銀)の予想+6.5%を大きく上回る高い伸びとなった。+8%台は、コロナ禍の低水準からの反動増を除くと約6年ぶりとなり、特にGDPの6割近くを占める個人消費、約3割を占める投資が全体を押し上げた。ただし、産業別で、農業・畜産業・林業・漁業が前年同期比▲0.8%と唯一マイナスだった。天候不順による農作物が不作になったことが反映された。

[米国] 商務省(BEA)によると、1月の個人消費支出(PCE)物価指数は前月比+2.4%だった。上昇率は2023年12月の+2.6%から縮小し、2021年2月以来の低い水準となった。食品とエネルギーを除くコア指数は+2.8%であり、12月の+2.9%から小幅に縮小、2か月連続で+3%を下回った。エネルギー価格は低下傾向にある一方で、サービス価格は+3.9%と比較的高い伸びを維持している。

[米国/ロシア] ロシアは2016年米国大統領選挙で、ロシアに厳しい姿勢を示していたヒラリー・クリントン民主党候補の当選を阻止するために、民主党全国委員会(DNC)のサーバーに不正侵入して入手した電子メールを意図的に漏洩し、トランプ共和党候補に肩入れをした。2024年米国大統領選挙などの選挙プロセスに、再びロシア政府が介入することに警戒が高まっており、2月25日、サリバン米大統領補佐官はNBC Newsの日曜政治討論番組に出演し、その必要性について言及した。

[米国] 米国政府は、インターネット接続を備えた外国製の自動車(特に中国製)によってもたらされる国家安全保障上のリスクについて調査を開始した。自動車のIOT化が進むにつれて、自動車が新たなセキュリティの脅威に対して脆弱になっていると指摘している。また、メキシコを製造拠点に低関税で市場参入を計画していることも危惧されている。米国は同盟国と協力して、自動運転車がもたらすリスクに対処する基準の開発に取り組んでいるとも語った。

[イスラエル/パレスチナ] 2023年10月7日にガザのイスラム主義組織ハマスがイスラエルに奇襲を仕掛けたことに対する報復として始まった、イスラエルのガザに対する空爆および地上侵攻によるパレスチナ人の死者数が、3万人を超えた。約5か月間で3万人(平均毎日約200人)のパレスチナ人が犠牲になっており、21世紀に世界で起きたほかの紛争と比べても、犠牲者数増加のスピードは最も速い。さらに負傷者数は7万人を超えており、行方不明者も多数存在する。国連は、ガザの人口の4分の1に当たる57.6万人が飢餓の一歩手間にある、と警鐘を鳴らしている。

[米国] 2月29日、米議会は暫定予算案を可決し、連邦政府閉鎖を回避した。暫定予算の新たな期限を3月8日と3月22日に設定し、それまでに通年の歳出法案12本を審議、可決することで与野党合意が成立した。野党・共和党が多数を占める下院では、賛成320票のうち民主党の賛成207票が、共和党のそれ(113票)を上回った。その後、上院でも賛成77票、反対13票で暫定予算案は可決されている。まずは政府閉鎖回避を優先した形だが、今後は今回稼いだ時間の枠内で、年度予算のみならず、ウクライナ支援予算や国境警備強化策などについても、議会は何らかの結果を出す必要がある。

[ロシア] 2月29日、プーチン大統領は、連邦議会に対する年次教書演説を行った。ウクライナでの「特別軍事作戦」を続ける考えを強調した一方、国内における抜本的なインフラの再活性化を柱とする6か年の経済計画も表明した。同演説は、勝利が確実視される3月の大統領選挙に向けての実質的な選挙公約となっている。

[中国] 貴州省六盤水市で、貧困緩和のための政府プロジェクトを請け負い、政府に対して同プロジェクトの未払金の支払いを訴えていたビジネスパーソン馬芸珈伊氏と代理弁護士らが当局に拘束された件が、中国国内のSNSなどで注目を集めたことを受け、貴州省政府はこの件について調査を行うと発表した。2023年11月、六盤水市水城区は、約2億2,000万元の未払金に対し、1,200万元だけを支払うと馬氏らに申し出たが拒否された。これに対し地元警察は、馬氏らが「喧嘩を吹っ掛け、トラブルを誘発した」として同氏を拘束していた。地方が財政圧力を緩和するために刑事手続きを利用しているという批判が起きていた。

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