デイリー・アップデート

2024年3月14日 (木)

[ECB] 3月13日、欧州中央銀行(ECB)は政策金利の運営枠組みの見直しを発表した。主要政策金利(民間銀行が中央銀行から1週間の資金を借りる金利、現在4.5%)を、中銀預金金利(民間銀行が中央銀行に資金を預ける際の金利、現在4.0%)に近づけて、9月18日から双方の差を現在の0.5%ptから0.15%ptに縮小する。バランスシートの縮小を進めている中で、金融市場の流動性を確保する狙いがある。

[銅] 3月13日、膠着気味だった銅相場が急騰し、LME3か月物価格は一時1トン8,950ドルと11か月ぶり高値を付けた。きっかけは中国銅製錬業界が協調減産で合意との報道。中国はクリーンエネルギー分野からの銅需要急増を見込み、猛烈な銅製錬能力増強を行っているが、インド・インドネシア・コンゴ等も製錬能力を拡大。昨秋からは海外鉱山の計画外減産も重なり、原料となる精鉱の需給が急速にひっ迫。製錬マージンの急低下で1月頃から中国製錬業界で減産が協議され、このほど合意したもの。規模などは不明。上海取引所の銅地金在庫は急増している。

[ペルー] 中銀は先週、金利緩和サイクルの一時停止を決定し、政策金利を6.25% に据え置いた。今後の金利は経済データに左右されるものの、米国が金融緩和に移行すれば、断続的な金利引き下げの可能性は残る。ただし、政策金利はすでに先進国市場の水準に近づいており、実質ベースでは域内で最も低い。FRBによる利下げがなければ、これ以上の利下げは資本流出につながり、為替レートの重荷となる可能性がある。

[ブルキナファソ/マリ/ニジェール] 3月6日、軍事政権下にあるブルキナファソ、マリ、ニジェールの3か国は、イスラム過激派らによるテロに対抗するため、軍主導による対テロ合同部隊を設置すると発表した。同3か国は、2023年9月に安全保障協定となる「サヘル諸国同盟(AES)」の設立に合意し、2024年1月には一方的に西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)からの脱退を表明するなど、独自の協力関係を強めている。同じく3月6日に経済平和研究所が発表した「グローバル・テロリズム・インデックス2024」によると、「テロの影響を受けている国」の1位がブルキナファソ(前年2位)で、2位がイスラエル、3位がマリだった。

[米国/ガザ] 3月13日、ブリンケン国務長官は記者会見に応じ、ガザ地区に対する人道支援物資の輸送を強化すべく、ガザ沿岸に臨時港を設けると発表し、バイデン大統領が7日の一般教書演説で言及した計画が具体的に進行していることを明らかにした。現在、イスラエル・ハマス戦争に関する米国の外交努力の焦点は人質解放問題にあると述べ、そのためにも停戦合意が必要とも発言。イスラエルに軍事支援を行いつつ、ガザ地区への人道物資提供を行うことの矛盾を問われ、国務長官は、イスラエルの自衛努力への支援と、市民擁護のための措置を欲することは矛盾しないと回答するも、市民被害を最小限に抑えるための計画をイスラエルから提示されていないことを認めた。

[米国] ヘイリー元国連大使が共和党大統領候補指名獲得争いから撤退後に行われた南部ジョージア州共和党予備選挙でヘイリー氏の得票率が13%に相当する約2万5000票に達した。これは2020年米国大統領選挙で勝利したバイデン氏とトランプ氏との得票差約1万2000票を上回っており、共和党支持者の一部には根強いトランプ氏に対する反発があることを露呈しており、党内の結束に向けてトランプ氏の脆弱性が露呈されることになった。

[デンマーク] デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は2028年までに国防費を400億クローネ(60億ドル)以上増やす計画を提示、ロシアの脅威に対抗するため女性の徴兵を開始すると発表した。2026年からの女性への徴兵により軍の規模は拡大し、男女平等の価値観とも一致するだろうと述べた。ウクライナへの援助を含めGDPの2.4%を防衛に費やし、来年以降は寄付を含めずに2%を国防へ支出することになる。また時期は明らかにしていないがロシア産ガスへの依存からの撤退にも同意。首相は「できるだけ早く」実現すると述べ、「エネルギー政策は単なるエネルギー政策ではない、安全保障政策の問題でもある」と付け加えた。

[中国] 北京の著名な経済学者が、中国の産業振興策が、欧米で中国の過剰生産能力に対する懸念を引き起こし、地政学的リスクになると警告している。3月13日に開催された人民大学「中国マクロ経済フォーラム」で北京大学国家発展研究院長の黄益平院長は、中国は国内経済の不均衡にも対処すべきで、産業政策をより効率的、市場志向的なのものにしなければならず、補助金などの産業振興策については適切な時期に段階的に廃止されるべきだと述べた。また同研究員の蘆鋒教授は生産過剰リスクがある産業として半導体、内燃機関自動車、EVバッテリー、鉄鋼、家電製品などを挙げた。

[米/イラン/イエメン] 外交関係の無い米政府とイラン政府の高官が、今年1月にオマーンで極秘に協議を行ったことをFTが報道した。米側はイランに対し、フーシ派への影響力を行使してフーシ派による紅海での船舶攻撃を止めるよう要請したもよう。米側からはホワイトハウスのマクガーク中東政策調整官や国務省のペイリー・イラン特使などが協議に参加。イラン側からはバーゲリ・キャニ外務次官が参加したとのこと。間接協議で行われたことから、両者は直接は話しておらず、オマーン政府高官が間を取り持つ形で行われた。

[ロシア] 3月13日、プーチン大統領は仏食品大手ダノンのロシア資産を国家による一時管理のため連邦国有財産管理庁ロシムシュチェストヴォに移管することを取り消した。昨年、同社のロシア資産が政府の管理下に置かれ、一部の報道では、チェチェン共和国関連の実業家に売却する計画があると報じられた。

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