デイリー・アップデート

2024年3月5日 (火)

[日本] 総務省によると、2月中旬速報の東京都区部の消費者物価指数は前年同月比+2.6%となった。上昇率は1月(+1.8%)から拡大、再び2%超に戻った。また、生鮮食品を除く総合、いわゆるコア指数も+2.5%と、1月(+1.8%)から拡大した。エネルギー価格の下落率が縮小した影響が大きかった。また、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)は+3.1%となり、1月(+3.3%)から上昇率を縮小させた。

[コロンビア] コロンビアの経常赤字は2022年の214億ドル(対GDP比6.2%)から2023年には97億ドル(対GDP比2.7%)に縮小した。しかし、その要因は経済が健全性を取り戻したのではなく、内需の減少によるところが大きい。経済が回復するにつれ、対外収支の赤字は再び拡大する可能性が高く、ペソの下落リスクが再燃するとみられる。

[ジンバブエ/米国] 3月4日、米財務省外国資産管理局(OFAC)は「グローバル・マグニツキー人権問責法」に基づき、ジンバブエのエマーソン・ムナンガグワ大統領やその夫人を含む同国の個人11人と3団体を経済制裁の対象とすると発表した。同時にバイデン大統領は、ジンバブエに関する国家非常事態の解除、および同国固有の制裁を許可した大統領令を撤回する大統領令に署名した。これにより経済制裁の法的根拠は「グローバル・マグニツキー法」に移管された。ムナンガグワ大統領は、2003年からSDNリストに掲載されていたが、OFACは、同氏は金やダイヤモンドの密輸に関与し、また、政敵や市民団体を暴力的に弾圧していると改めて非難している。

[WTO] 3月1日、世界貿易機関(WTO)は、当初日程を1日延長し、アラブ首長国連邦のアブダビで開催されていた第13回閣僚会議を終えた。WTO紛争解決制度改革や産業補助金の問題などをめぐる議論の行方が注目されていたが、合意には至らなかった。デジタルデータを扱う国際取引については関税を課さないことを、これまでWTO加盟国間で合意していたところ、改めて2年後の次期閣僚会議までは、この関税不賦課措置を延長することが確認された。この問題はインドなどが当該モラトリアムの廃止をWTO内で訴えており、帰趨(きすう)が注目されていた。

[米国] 3月5日、15州で一斉に予備選挙・党員集会が行われる「スーパーチューズデー」を迎え、共和党大統領候補指名獲得争いでは、7月にウィスコンシン州ミルウォーキーで開催される共和党全国党大会に派遣される代議員全体の約36%にあたる874人が選出される。トランプ氏が「スーパーチューズデー」でも獲得代議員数を大幅に増大させることが予想され、「スーパーチューズデー」から1~2週間後に大統領候補指名獲得に必要な1,215人に達する可能性がある。

[中東] 紅海の海底データケーブル3本が切断された。アジアや中東からヨーロッパへの貨物・エネルギー輸送ルートが混乱した上に今後は通信への影響も懸念される事態へと発展しており、地域を通過する通信量の25%が影響を受けるとみられている。運営各社は、通信ルートを変更して対応している。2月初旬、イエメン亡命政府は、フーシ派によるケーブル切断が計画されていると主張していた。ケーブルの切断はフーシ派による攻撃とみられているが、フーシ派に水面下数百メートルのケーブルを攻撃する能力があるのか、などの疑問も残る。フーシ派は攻撃を否定している。

[中国] 工業情報化部などが、「製造業のグリーン成長推進加速に関する指導意見」を発表した。産業構造のハイエンド化、エネルギー消費の低炭素化、循環型資源利用への転換、生産のグリーン化などによる構造転換を推進し、グリーンな製造業、サービス業、エネルギー産業の成長目標を打ち出した。2030年までに、製造業総生産高に占めるグリーン工場生産高の割合を40%とするなどの数値目標が設定され、カーボンピークアウトを実現するとともに、新興産業の低炭素化としてEV用電池のリサイクル、電動航空機、電動船舶などの技術開発、発展を計画していくと言及した。

[トルコ] 3月4日に統計局が発表した2月の消費者物価指数(CPI)は、前年同期比で+67.1%と予想を上回った。1月の+64.86%からも上昇。セクター別では、ホテル・レストランで+94.5%、教育関連で+91.8%、食品・飲料で+71.1%の大幅な上昇が見られた。中央銀行はインフレの上昇を抑えるため、2023年6月から8か月連続の利上げを実施し、8.5%だった金利を45.0%まで引き上げたものの、最低賃金上昇などの影響もあり依然インフレ率は高止まりしている。物価指数発表後に通貨リラは約6%下げ、1ドル31.58リラとなっている。

[中国] 3月5日、全人代の婁勤倹報道官は、全人代最終日の3月11日の李強国務院総理(首相)の記者会見を行わないと発表し、「特殊な事情がなければ今後数年は行わない」と述べた。1993年以降、国務院総理による全人代での記者会見は定例化し、国内外の記者が総理に直接質問できる貴重な機会となっていた。李強首相の会見の廃止は、首相の役割の低下(習近平一強)の表れであり、経済情勢に関する質問を避けたいためではないかとの憶測も出ている。

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