デイリー・アップデート

2024年3月15日 (金)

[エネルギー転換] 来週のエネルギー業界会合CERA Week開催を前に、米大手コンサルティング企業Bain&Companyが「リアリティチェック」と題した報告書を公表。600人以上のエネルギー・天然資源企業幹部を対象に行った調査によると、企業はエネルギー移行を志向する成長事業への投資意欲を弱めていないが、世界が2050年までに炭素中立を達成するという回答は昨年の46%から38%に低下。適切な投資リターンの確保が難しく、経済的・地政学的に分断する世界において進捗に差が生じているほか、投資先として最も有望な北米も政策の安定性に不安を抱える。AIは差別化要因だが排出削減に大きな役割を果たすとはみられていない。

[コロンビア] コロンビアの雇用不足と一攫千金への期待により、過酷な状況にも関わらず、コロンビア女性を鉱山業へと駆り立てている。地域の伝承もあり、女性が鉱山で働くことは数十年前には許されなかったが、女性鉱山労働者協会によると、コスクエス鉱山では現在200人の女性が働いている。男性と一緒に働く人もいれば、女性が所有する鉱山で働く人もいる。貧困から抜け出すため、生活を豊かにするために採掘への道が切り開かれてきた。夢はあるが状況は厳しく、「坑道に座って神と話をしますが、残念なことに私たちは良好な関係ではないわ」と女性の鉱山労働者は言う。コロンビア産のエメラルドは国を象徴する資源で、エメラルド企業連盟によると2022年の輸出額は約1億2千万ドルに上るという。

[日本/バングラデシュ] 3月12日、バングラデシュと日本の政府は、2026年までに経済連携協定(EPA)の締結に向けて正式な交渉を開始することで合意した。バングラデシュは、日本からの投資をさらに引きつけるため、2026年11月に予定されている最貧国(LDC)からの卒業後も関税免除を目指している。両国関係は、2023年に戦略的パートナーシップに格上げされている。日本はバングラデシュにとって最大の貿易・投資パートナーの一つ。現在、LDCとして日本への輸出に際し、特別特恵関税が適用され、一部の例外品目を除く全製品について無税になっているが、LDC卒業後は適用されず、自由貿易協定(FTA)やEPAの締結がなければ、平均18%の関税が課されることになる。

[米国] 労働省によると、3月9日までの1週間の新規失業保険申請件数は、前週から小幅に減少した20.9万件となり、市場予想を下回った。また、2月の卸売物価指数は前月比+0.6%と、1月(+0.3%)から上昇ペースを加速させた。商務省によると、2月の小売売上高は前月比+0.6%と増加したものの、1月(▲1.1%)の減少分を回復できなかった。個人消費がやや弱かった一方で、雇用の堅調さと川上の物価上昇圧力の強さから、市場では利下げ開始時期が後ずれするという見方が広がった。

[ロシア] プーチン大統領など4人が立候補しているロシア大統領選挙は、3月15日から3日間の日程で行われる。直近の世論調査では、プーチン大統領に投票する人が82%とほかの候補者を大きく引き離し、プーチン氏の通算5期目の当選が確実視されている。

[オランダ] 3月13日、2023年11月の総選挙で最多議席を獲得した自由党(PVV)のウィルダース党首が、中道右派・右派・ポピュリスト政党との4党連立交渉の行き詰まりを受け、首相就任断念を発表した。翌3月14日に交渉の仲介役のプッタース氏が、交渉の経緯と今後の政権発足の提案を発表。政策分野ごとの枠組みを持った、政治家と専門家で構成される新たな形の議会外内閣・テクノクラート内閣を提案。3月20日に議会で審議が予定されている。

[中国] 3月13日、国務院は、「大規模設備の更新及び消費財の下取り促進の行動案」を通達した。設備更新、消費財下取り、回収・リサイクル、基準強化の「4大行動」を実施し、先進的設備の導入を進め、高品質耐久消費財の住民生活への広がりを促進するとしている。具体的には、2027年までに設備投資規模を2023年比で25%以上増加、中古車リサイクル量を約2倍、中古車取引量を45%増加、使用済み家電リサイクル量を30%増加する目標などが掲げられた。設備を更新する計画は、優遇税制や銀行からの融資、中央政府予算から支援を受けることができるとしている。

[米国] 日本製鉄によるUSスティール社買収計画を巡っては、1月末にトランプ前大統領が買収計画を絶対に阻止する意向を表明しているが、3月13日、バイデン大統領はUSスティール社に対して、米国資本企業としての立場を維持するよう求める声明を明らかにした。全米鉄鋼労働組合(USW)は、同買収計画に反対を表明しており、USスティール社は、大統領選挙の激戦州の一つであるペンシルベニア州に本社があることから、労働者票の取り込みという観点からも政治問題化している。今後本件は、対米外国投資委員会(CFIUS)が安全保障の観点から精査し、判断を下すことになる。

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