デイリー・アップデート

2024年3月13日 (水)

[ザンビア] 3月11日、国営電力公社ZESCOは全国で毎日8時間の計画停電の実施を開始した。同国の発電設備容量の約8割を占めるザンベジ川沿いの水力発電所が、降雨不足によるダムの水位低下により発電量が減少しているためである。2024年2月は過去40年間で2月としては最も乾燥していたと報じられており、大規模な干ばつにより、主要穀物であるトウモロコシをはじめ農業生産にも甚大な影響を与えている。2月29日、ハカインデ・ヒチレマ大統領は、干ばつによる食糧危機を受けた影響による国家緊急事態宣言を発令した。

[米国] GasBuddyの報告によると、全米平均ガソリン価格は2週連続で上昇し、3月11日時点で1ガロン3.4ドル。前年比では4.5セント安。原油価格は横ばいだが、製油所の定期修繕、夏仕様ガソリンへの切り替え、需要増加など季節要因が影響し、ガソリンは値上がり。ただし、先週の全米製油所所稼働率は平均84.9%と回復傾向。世界的にも、製油所の稼働問題や戦争・制裁・干ばつによるフローの変化などが影響し、ガソリン・ディーゼル価格は原油以上に値上がりしている。

[グアテマラ/エルサルバドル/コスタリカ] ローマで開催された「世界バナナフォーラム」で、気候変動がバナナのサプライチェーンに悪影響を与えつつあり、バナナ価格の上昇リスクが高まっていると指摘があった。年間100億ドルという規模で、生鮮果物では最大の輸出品となるバナナだが、生育に最適なレベルを超えて気温上昇が進むと収穫減の可能性が高くなる。作物病原菌に詳しい学者は、グアテマラ、エルサルバドル、コスタリカなどの生産国は、気候変動の影響を受けるだろうと指摘している。加えて、気候変動の影響により「トロビカルレース4」という、バナナの生育を脅かす、根絶が極めて困難な病原菌が蔓延するリスクが高まっているとも述べた。

[ミャンマー] 投資委員会(MIC)事務局の投資企業管理局(DICA)によると、2023年4月~2024年2月までの海外直接投資(FDI)の新規・追加での認可額(ティラワ経済特区への投資は含まれない)は、前年同期比▲60.9%の6億3,368ドルと、大幅に減少した。新規投資件数は、▲15.1%の62件だった。最も投資額が大きかったシンガポールからは、▲70.2%の3億4,522万ドルだった一方、それに次ぐ中国は、+94.4%の2億2,066ドルと大幅に増加した。業種別では、最も投資額が大きかった電力が▲54.3%の3億7,453万ドル、次いで製造業が▲51.8%の1億2,426万ドルだった。

[米国] 労働省によると、2月の消費者物価指数は前年同月比+3.2%となり、1月の+3.1%から上昇率を小幅に拡大させた。2023年6月以降、3%台の上昇率が維持されている。また、前月比は+0.4%となり、2023年10月の+0.1%から、11月+0.2%、2024年1月の+0.3%と、2023年末以降加速している。また、食品やエネルギーを除くコア指数は前年同月比+3.8%となり、上昇率は1月の+3.9%から小幅に縮小した。依然として高い物価上昇率が続いている。

[米国/イスラエル/パレスチナ] 3月11日、8人の米上院議員がバイデン米大統領に書簡を提出し、ネタニヤフ政権がガザへの人道支援物資の搬入を妨害し続けるのであれば、米国からイスラエルへの軍事援助を制限するよう促した。米国には外国援助法があり、「米国の人道支援物資の運搬・配送を妨害・制限していることが明らかな国の政府に対して、援助を行うべきではない」と規定されている。書簡は、ネタニヤフ政権がこの規定に明らかに違反していると指摘。イスラエルは米国から毎年38億ドルの軍事援助を得ている。

[米国/中国] 3月12日、米国の5つの労働組合が米通商代表部(USTR)に対して、通商法301条に則って、中国政府の不公正な通商政策・慣行を調査するよう要請した。労組がUSTRに提出した調査請求によれば、中国の造船・海運業に対して中国政府が補助金、政府調達、行政指導などを駆使して支援を行い、米国企業の商機を不当に奪っていることを糾弾しており、中国製船舶の米入港に際しての課金措置などをUSTRに求めている。USTRは30日以内に調査開始の是非を決定し、調査に乗り出す場合は、12か月以内に中国政府の施策が米国通商を不当に制限するものか否かについて判断を下す必要がある。

[米国] トランプ氏は3月5日に行われたスーパーチューズデーで圧勝し、共和党大統領候補指名獲得を確実にした。共和党系ストラテジストのロングウェル氏が率いる反トランプ団体である「Republican Voters Against Trump」は、2024年米国大統領選挙の帰趨(きすう)を決する接戦州6州に焦点を当て、元トランプ支持者らによる同氏に投票すべきではない理由を訴える内容のメッセージビデオにより、穏健派共和党員に同氏の不支持を働きかける運動を開始する。

[ロシア/ウクライナ] 3月12日、ロシア国防省によるとウクライナは、ロシア各地をドローン(無人機)やミサイルで攻撃した。攻撃では、少なくとも25機の無人機と9発のロケットが使用されたもよう。ロシア当局者によると、大規模な製油所で火災が発生しているとのこと。また、プーチン大統領に戦禍をもたらすことを決意するウクライナ反政府部隊が国境を越えてロシア領内に入り、激しい戦闘が起きていると報告された。

[ポルトガル] 3月10日に実施された総選挙(一院制、定数230)で、中道右派の社会民主党を中心とする民主主義同盟(2024年1月結成)が得票率29.5%で79議席、中道左派の与党社会党が得票率28.7%で77議席を獲得し、両党拮抗した結果となった。一方、極右政党のシェーガが、得票率18.1%、48議席を獲得。連立交渉が予想されるが、民主主義同盟はシェーガとの連立を拒否しており、交渉は困難とみられる。

[中国] 中国造船業界が米韓との技術格差に対抗できるよう、政府に全面的な協力を要請したと香港紙SCMPが報じている。中国船舶集団725研究所所長であり、全人代代表でもある王其紅氏は、中国は世界の造船市場において優位を保っているものの、LNG運搬船や大型クルーズ船、極地調査船など高付加価値船舶の技術については韓国が優位を保っていると指摘した。また同社の主任技師であり、同じく全人代代表である溥国涛氏は、船舶産業における強力な自国ブランドを育成するため、人材育成や包括的な研究開発システムを強化するよう全人代で提言した。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

20人が「いいね!」と言っています。
<  2024年3月  >
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31