デイリー・アップデート

2024年3月11日 (月)

[ハイチ] ハイチでは首都ポルトープランスを中心に武装ギャングの活動が活発化し、治安は極めて不安定となっている。政府は非常事態宣言・夜間外出禁止令を発出したが混乱は収束する気配がない。汚職や災害で政府に対する国民の不満が強まったことを受けて現政権は退陣し、2025年に総選挙を実施する方針を示していたが、ヘンリー首相が辞任を拒否したことで暴動は激化。首相が国際社会に治安維持部隊の派遣を求め外遊したタイミングで、暴動は一段と激しくなった。現在首相は帰国できずプエルトリコで足止めされている。カリブ海諸国は事態沈静化に取り組んでいるが打開策を見いだせておらず、引き続き同問題について協議される意向。なお、首相退陣を要求しているギャングのリーダーは、元警察官と伝えられている。

[日本] 内閣府は3月11日、2023年第4四半期の実質GDP成長率を1次速報の前期比▲0.1%から+0.1%へ上方修正した。内訳をみると、個人消費や政府消費、公共事業が小幅に下方修正された一方で、先日発表された法人企業統計の結果を反映して、企業設備投資が▲0.1%から+2.0%へと大幅に上方修正された。この結果、日本経済は、2四半期連続のマイナス成長を回避した。

[セネガル/米国] 3月6日、マッキー・サル大統領は、5年ぶりとなる大統領選を3月24日に実施すると発表した。この決定は、憲法評議会がサル大統領の任期満了日4月2日までに大統領選を実施すべきとの裁定に基づくものである。当初大統領選は2月25日に実施される予定だったが、2月5日にセネガル議会が12月15日への延期を強行決定。これに対し野党や与党一部議員から違憲であるとの反発が強まり、米国をはじめとする諸外国も憲法に基づき選挙を早期に実施するよう求めていた。今回のセネガル政府の発表をアフリカ連合(AU)なども歓迎していると報じられている。

[米国] 3月7日、米通商代表部(USTR)は、貿易・投資政策の策定にあたり、米国のサプライチェーン強靭化につながる施策についてパブリック・コメントの募集を開始した。書面コメントを4月22日まで受け付け、5月2日には公聴会を開催する予定。USTRは、従来の通商政策は、短期的な経済効率を追い求め、貿易の自由化を進めたが、その一方でサプライチェーン強靭化、戦略的重要性を有す産業の空洞化を招いたと分析し、米国内で製造業等の投資を促すための方策など、具体的に12の質問に対するコメントを求めている。バイデン政権は2021年発足以来、サプライチェーン強靭化に向けた経済外交、産業政策を打ち出してきている。

[EU/キプロス] 3月8日にフォンデアライエン委員長がキプロスを訪問し、ガザ援助のための陸路・空路を補完することを目的としたアマルテイア構想(Amalthea Initiative)による海上回廊の開設と海上経由の追加人道支援の提供を表明。キプロスのフリストドゥリディス大統領は2023年10月時点で、海上回廊に言及していた。ただし、海上回廊はガザ市民の援助において陸路・空路を補完するものであり、陸路の援助アクセス開放が最重要視されている。

[中国] ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、武器の国際移転に関するデータベースを更新し、3月11日に発表した。レポートによれば、中国は過去5年間で武器輸入をほぼ半減(44%減)させ、外国の武器を自国製に置き換えており、輸入への依存を下げる動きが顕著に表れている。中国の武器の輸入先は1位がロシア(77%)、2位がフランス(13%)、3位がウクライナ(8.2%)である。ウクライナは従来から中国にとって重要な武器輸入先で、ロシア・ウクライナ戦争によるわだかまりは、両国間の武器輸出入には影響を及ぼしていないもよう。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

21人が「いいね!」と言っています。