2024年3月21日 (木)
[ブラジル] 金融政策決定委員会は、6会合連続で政策金利を50bp引き下げ、10.75%とした。委員会のプレスリリースでは、サービスインフレの継続的な強さに言及したこと、フォワードガイダンス(将来の金融政策の方針を前もって表明すること)を次回の会合に限定したことが大きな変更点。政策金利の引き下げは、2024年半ばで終了する可能性が高くなってきた。
[アフリカ] 3月14日にコートジボワール沖で海底ケーブル4本が損傷した影響により、西アフリカを中心に通信障害が続いている。損傷の理由は海底での地滑りとみられるが、詳細は明らかになっていない。3月19日、アフリカ大陸19か国で通信事業を行う南アフリカのMTNグループは、トラフィックを別ルートに迂回するなどしてネットワークの回復に成功したと述べた。しかし、損傷した海底ケーブルの修復には数週間を要するとの見方もあり、西アフリカの一部の国々では、当面の間通信制限が続くとみられる。
[インド] 3月15日、政府は、テスラなどの外資系自動車メーカーによる数十億ドル規模の投資を促進する目的で、新たな電気自動車(EV)製造政策を発表した。3.5万ドルを超える高価格帯のEVに限定して輸入関税の引き下げが適用されるが、低価格帯のEVについては従来どおり高水準の税率が維持され、インドの新興EV製造セクターの保護が図られる。現行では、70%から100%の輸入車関税が課されているが、新政策では、3.5万ドル以上のEVに対し、5年間、15%に引き下げられることになる。ただし、インドに最低5億ドルの投資と、3年以内に国内でのEV製造を開始することが要求される。現在、国内で販売されているEVの80%は2万ドル以下であり、市場獲得には、今後より低い価格帯での販売が必要になるとみられる。
[米国] 3月20日、連邦準備理事会(FRB)は、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利(FF金利)の誘導目標レンジを5.25~5.5%に据え置くことを決定した。据え置きは5会合連続。また、量的引き締めについては、近くそのペースを減速させる方針を示した。また、注目されたFOMC参加者の経済見通しによると、2024年末の経済成長率や物価上昇率は小幅な上方修正にとどまり、2024年内の利下げの見方は3回程度、という前回から大きな変化はなかった。
[米国] 共和党大統領候補指名獲得争いから撤退したヘイリー元国連大使は、自身の撤退表明で、次期共和党大統領候補の指名獲得を事実上確実にしているトランプ前大統領を支持しない方針を表明したが、3月15日、ペンス前副大統領もトランプ氏を支持しない方針を表明した。トランプ前政権の元高官らがトランプ氏について懸念しているのは、大統領としての適格性についてである。
[米国] 北米大陸では4月8日に皆既日食となる。再生可能エネルギー、とりわけ太陽光発電が発展する中、自然現象によって生じ得る影響には注意が必要だ。テキサス州では、現地時間12時過ぎから15時頃まで日食となり、該当期間中は送電網へのエネルギー供給が大きく低下する見込み。テキサス州電力性評議会(ERCOT)は、日食による影響はないとしつつも、近年では寒波・熱波による電力需給ひっ迫の経験があり、懸念が燻っている。観光など人の往来から受ける影響度は大きく変化するため、該当地域の住民に対し、食料やガソリンといった必需品の確保などを推奨している州もある。
[米国] 米下院は、2024年9月30日までの年度予算案を採決する見込みであることが明らかになった。3月20日、共和党のジョンソン下院議長は、共和・民主両党がそれぞれ要求を通し、超党派の予算案をまとめあげたと発言。一部の連邦予算が3月22日金曜日に失効するため、政府閉鎖を回避するためには、議会が期限までに予算案を承認する必要がある。予算案は国防や国境警備などの分野に関するもので、総額1.2兆ドル規模。共和党が欲していた国境警備強化関連の予算などが盛り込まれたと報じられているが、詳細は公表されていない。採決にかけられれば、下院少数党・民主党の賛成多数を得て、予算案は可決される見込み。
[香港/中国] 3月19日、香港の憲法にあたる「香港特別行政区基本法」23条に基づく「国家安全維持条例」が、香港立法会で可決された。同条例が今夏までに成立するであろうことは予想されていたが、大方の想定を上回るスピード採決となった。香港のSCMP紙は、全人代に出席した香港代表らにとっても想定外で、彼らは同法案に関連する会議のために、急きょ香港に戻るよう通知を受けたと報じている。同条例の急速な成立の背景には、これに対する外国政府の懲罰的措置・批判の影響やその期間を最小限に抑える意図があったとしている。
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