デイリー・アップデート

2024年3月28日 (木)

[インド] 「Hurun Global Rich List 2024」によると、ムンバイは上海を抜いてアジアで最もビリオネアの多い都市となった。ムンバイには現在92人のビリオネアがおり、北京91人、上海87人を上回っている。また、今回のリストではムンバイが初めて世界トップ3に入った。 その一方、世界不平等研究所の新たな研究によると、インドでは所得格差の急増が生み出されており、今や世界最大で、米国、ブラジル、南アフリカよりも深刻な状態という。トマ・ピケティを含むエコノミストグループの調査では、イギリス植民地時代におけるインドの貧富の差は、所得上位の1%が占める国民所得は20~21%程度だったがいまでは22.6%となり、今後も拡大が見込まれているという。

[中国/ASEAN] 3月27日、豪ローウィー国際政策研究所が発表したリポートによれば、中国は巨大経済圏構想「一帯一路(BRI)」のもとASEAN諸国向けに公約した843億ドルのインフラ支出のうち、3分の1余りに相当する500億ドル超を履行できていないことがわかった。中国が巨大プロジェクトへの融資にほぼ限定していることが主な理由だが、ほかにも相手国の不安定な政情や世界的なエネルギーシフトなどといったさまざまな理由を背景に中断してしまったとみられる。BRIの枠組みでの融資は世界的に大幅に縮小しているが、3月後半に、スリランカやネパールとBRIによるプロジェクトの実行の強化に対し合意した。

[ドイツ] 3月27日、主要な5つの経済研究所は共同で、2024年の実質GDP成長率見通しを+0.1%と発表した。前回発表時の+1.3%から下方修正した。2023年の▲0.3%からプラス成長に転じるとはいえ、ほぼ横ばいだ。海外の資本財や中間財需要が弱く、エネルギー集約型の財の価格競争力が低下しており、輸出と生産が弱い。その中で、物価上昇率の鈍化と雇用環境の底堅さを背景に、個人消費が下支えになると期待されている。

[コロンビア] 中銀は、市場の予想通り、政策金利を50bp引き下げ12.25%とした。過去2回の利下げ幅は25bpであり、利下げ幅を拡大した。緩和ペースの加速は、インフレ見通しの改善に基づいており、2024年末のインフレ見通しを5.9%から5.4%に引き下げている。一方、経済活動の先行きに対する懸念は、1月のGDP成長率が予想を上回る年率1.6%を記録し、緩和されつつある。

[南アフリカ] 3月27日、南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)は、政策金利を8.25%に据え置くと決定した。2023年5月以来、過去15年間で最も高い金利水準が続いている。レセチャ・ガニャゴSARB総裁は据え置きの理由について、2月のインフレ率が医療サービスなどのインフレ加速を受け、前年比+5.6%となり、インフレ率のターゲットレンジの中間値である4.5%を上回っているためとした。また、国内の食品のインフレ圧力が今後高まる恐れや、主要先進国の金利が高止まりし、通貨ランド安が続いていることを背景に、インフレ率が4.5%に低下するのは2025年末になるとの予測を示した。

[パレスチナ] 3月20日、パレスチナ政治調査研究センターが3月上旬にパレスチナ自治区で実施した世論調査の結果が発表され、回答者の7割が依然として10月7日にハマスがイスラエルに対して行った奇襲攻撃が正しかったと考えていることが分かった。ガザの回答者の約8割が、今回のイスラエルによる攻撃で家族の誰かが殺されたか負傷したと答えている。また、戦争終結後のガザは、再度ハマスが統治すべきと考えている人が全体の6割に達し、ガザでその選択肢を選ぶ回答者の割合が12月の前回調査時よりも増加していることが判明した。

[米国] トランプ派の共和党下院議員の反対により、米議会下院では対ウクライナ追加軍事支援法案が棚上げ状態となっている。3月24日にCBSの日曜政治討論番組「Face the Nation」に出演したマコール下院外交委員長は、イースター(復活祭)休会明けの4月9日の週に、ジョンソン下院議長が対ウクライナ追加軍事支援を下院本会議に提出することに期待を表明した。親トランプ派のグリーン下院議員は、ジョンソン下院議長を解任する動議を提出し、同下院議長をけん制している。

[EU] イスラエル・パレスチナ情勢に関するEUサミットでの協議の結果、全会一致で停戦を呼び掛けることで合意。ただし、結論に「持続可能な停戦につながる即時の人道的一時休止を要請する」と記載されており、即時停戦要求を和らげる形でイスラエルや親イスラエル加盟国への一定の配慮がうかがえる。一方、親パレスチナ加盟国のアイルランド、マルタ、スロベニア、スペインは、パレスチナを「国家として承認する用意がある」と共同声明文で表明。

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