デイリー・アップデート

2024年3月12日 (火)

[日本] 内閣府・財務省の「法人企業景気予測調査」によると、2024年1~3月の大企業全産業の景況判断指数(BSI)は▲0.0となり、4四半期ぶりのマイナスになった。これは自社の景況が前四半期から下降したと回答した割合の方が多いことを示す。前回2023年10~12月の+4.8から低下、前回時点の見通し(+3.2)を下回った。ただし、国内の景況判断BSIは大企業全産業で+8.0となり、前回の+7.4から上昇しており、景気自体は緩やかな回復が続いたようだ。

[エクアドル] 極度の治安悪化に直面する中、党派を超えた連携によりダニエル・ノボア大統領はが経済改革を進め、民間投資を呼び込むためのさまざまな施策を導入しているところだが、付加価値税の引き上げや、予算をめぐり政治的な協力関係が崩れる兆しがあり、改革のペースが落ちる懸念がでてきている。

[南アフリカ] ブレンサースト財団が2月に行った世論調査によると、5月に予定されている総選挙において与党・アフリカ民族会議(ANC)に投票すると回答した有権者は39%に留まり、前回2019年選挙で同党が獲得した57.5%から大幅に下回る見通しとなった。第一野党の民主同盟(DA)が27%、昨年結成され、ジェイコブ・ズマ前大統領が支持する「民族の槍」党(MK)が13%と続いた。ズマ氏支持派の票がANCからMK党に流れていると見られる。ANCが5月の総選挙で過半数の議席を得られない場合、連立政権の組成が必要となるため与野党間のせめぎあいが続いている。

[米国] 3月5日に15州で一斉に予備選挙、党員集会が行われたスーパーチューズデーでトランプ氏が圧勝を収めて翌6日にヘイリー元国連大使が選挙戦から撤退した。トランプ氏の事実上の共和党大統領候補指名獲得が確実となったことで今後の焦点はホワイトハウス奪還に向けてトランプ氏がいずれの政治家を自らの副大統領候補に指名するかになる。弱冠39才のステファニック下院議員、ポンぺオ前国務長官、スコット上院議員らの名前が浮上しつつある。

[ポルトガル] ポルトガル総選挙で極右政党が大きく議席を伸ばした。人口1000万ほどのEUで最も西に位置する小さな国の選挙結果は欧州市民の不満やそれに伴って右傾化が進む欧州社会の現状を示す事象として注目されている。特に6月に実施される欧州議会選挙の傾向を把握する上でも重視されている。汚職や低賃金と高生活費、さらに価格が高騰し手が届かなくなった住宅、公的医療制度破綻などに対する市民の不満は新興極右政党シェーガの支持を伸ばし、議席は改選前12議席から改選後48議席へと大幅に増加した。過半数の議席を確保した政党は無いことから組閣には時間を要する模様。

[リトアニア/エストニア/ラトビア/フランス/ポーランド/ウクライナ] 3月8日に開かれたフランス、バルト3国、ウクライナの外相会談で、マクロン大統領の西側軍のウクライナ派遣に関し、バルト3国の外相らは支持を示唆。ランズベルギス外相(リトアニア)は、いかなる形の支援も排除することは出来ないと強調。ツァフクナ外相(エストニア)も、集団的支援のギアをシフトする必要があると主張。さらに、同日、ポーランドのシコルスキ外相もNATO軍のウクライナ駐留は考えられないことではないと発言した。

[イスラエル/パレスチナ/米国] ガザにおける停戦は実現しないまま、イスラム教の断食月であるラマダンが開始した。国連のグテーレス事務総長は、改めてラマダン入りを尊重してイスラエルとハマスに休戦を呼びかけた。3月9日、バイデン大統領は「ネタニヤフ首相はイスラエルを助けるというより傷つけている」と発言。これに対し3月10日、イスラエルのネタニヤフ首相は「バイデン大統領の発言はイスラエルの国益に反したもので間違っている」と不快感を表明。同インタビューでネタニヤフ首相は、ラファハへの侵攻はハマス壊滅のために必要であると主張した。

[米国] 3月11日、バイデン政権は2025年度予算教書を発表した。予算教書は、新年度の予算をめぐるバイデン政権の考え方を明らかにするもので、歳出総額の要求は7兆2,660億ドル、前年比4.7%増の水準で、歳入は5兆4,850億ドル、前年比7.9%増を見込んでいる。2034年までの10年間で、富裕層や大企業に対する増税を行い、4.9兆ドルの増収、そして3.3兆ドルの連邦債務削減を実現するとしている。予算教書の発表によって、連邦議会では次年度予算の審議プロセスが始まるが、その前に、議会は3月22日に暫定予算が失効する前に何らかの手当てを行い、政府閉鎖を回避する必要がある。

[ロシア] 国内メディアによると、プーチン政権は選挙後、個人所得税の増税を検討中で、最高税率を現行の15%から20%に引き上げる可能性があるとのこと。また、法人税も現状の20%から25%に引き上げる可能性があるとの報道もある。ウクライナ侵攻が長期化する中、戦費を穴埋めするためと思われる。

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