デイリー・アップデート

2024年3月22日 (金)

[アフリカ] 3月19日、英国を拠点とする「アフリカン・プライベートキャピタル協会(AVCA)は、2023年にアフリカのスタートアップがベンチャー・キャピタル(VC)からの資金調達額は約45億ドルで、前年比▲31%と発表した。投資額の減少の理由について、2023年は高金利やインフレ、世界経済の不確実性の増大などを背景にVCにとって「冬の時代」が続いたため、こうした世界的なトレンドが反映されたとしている。地域別では3年連続でナイジェリアを中心とする西アフリカに最も多くの資金が流入した(26%)。またセクター別では「金融」サービスを行うアフリカのスタートアップへの投資が最多となった(金額ベースで48%)。

[キューバ] キューバの経済危機は深刻化し、3月17日、2021年7月以来となる大規模な市民の抗議活動が発生したと伝えられている。食料や医薬品、燃料が著しく不足しており、地域によっては停電が1日12時間以上にわたるなど、市民生活は厳しさを増している。デモの様子がSNSで拡散されたことで広く知られることとなった。平均月額16ドルという低水準の給与、また長年にわたる米国の経済制裁で、多くの製品は市民にとって高価で手の届かないものとなっている。生活の厳しいキューバから新天地を求める動きが強まっていると指摘されており、米国国境警備局によれば、2022年10月~2024年1月にかけて、キューバとの国境で50万人以上のキューバ人と遭遇したという。

[パキスタン] 国立銀行(SBP、中央銀行)の金融政策委員会(MPC)は、3月18日の会合で政策金利(翌日物銀行間市場金利)を22%に据え置いた。インフレは2月に減速し始めたものの、高い水準に留まっていることに加え国際通貨基金(IMF)との協議中であったため慎重な姿勢を取った。同会合の期間中にあたる3月14日~19日、IMFのミッションはパキスタンを訪問し、スタンドバイアレンジメント(SBA)取極に基づく第2回および最終レビューに関して、スタッフレベルの合意に達した。今後、4月中旬に予定しているIMFの執行理事会で承認されれば、パキスタンはSBAで決められた約30億ドルの融資枠のうち、約11億ドルを得られる。

[日本] 総務省によると、2月の消費者物価指数(総合)は前年同月比+2.8%となった。上昇率は、1月(同+2.2%)から拡大し、2022年4月以降、2%超を維持している。生鮮食品を除く総合(コア指数)は同+2.8%となり、1月(同+2.0%)から上昇率を拡大させた。2023年2月に導入された電気・ガス価格激変緩和対策事業による押下げ効果が一巡したこともあり、エネルギー価格の低下幅が縮小した一方で、引き続き食料を中心に価格が上昇している。

[米国] 共和党のJohn Barasso上院議員(上院エネルギー天然資源委員)とCathy McMorris Rodgers下院議員(下院エネルギー商業委員会委員長)が連名で、3月20日付で国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長宛てに書簡を送付。IEAはエネルギー需給の予測において多大な影響力を持つが、もはやエネルギー需給モデルや気候政策の提案でバランスの取れた評価をせず、「エネルギー転換の応援団」となって、中核的使命であるエネルギー安全保障の推進から逸脱していると批判し、厳しい質問を投げかけている。そうした予測を「利用」し、バイデン政権がLNG輸出承認の一時停止を決めたことも問題視している。

[米国/中東] 3月20日、国務省はブリンケン国務長官による外遊を延長し、サウジアラビア、エジプト、イスラエルへの旅程を発表した。ブリンケン氏はオーストリア、韓国、フィリピンを訪れていたが、ガザ地区情勢を巡り、中東諸国と協議を重ねる予定。米国は国連安全保障理事会において採択する決議案を準備しており、その事前折衝を行うと見られる。報道によれば、当該決議案は、ガザ地区における「即時かつ継続的な停戦」を求める内容で、人道状況の悪化への懸念も盛り込まれると観測される。バイデン政権はイスラエルのネタニヤフ政権への圧力を高めており、外交折衝の行方が見守られる。

[米国] トランプ前大統領は、現職バイデン大統領との本選挙での「再対決」を視野に入れ、政治集会で「不正行為を行うにはあまりにも大勝になる(”Too Big to Rig”)」という新たなスローガンを最近掲げ始めている。トランプ氏は、2020年米国大統領選挙では民主党側の不正行為が行われたと具体的証拠を示さずに主張し続けており、2024年大統領選挙でも不正行為が行われる可能性に言及しているが、このスローガンを使用することで支持者に対して地滑り的勝利を収める必要性を訴えている。

[中国/ロシア/中東] 3月21日付のブルームバーグ紙は、イエメンのフーシ派が、紅海とアデン湾を航行するロシアと中国の船舶を攻撃しないと通知した、と報じている。中国、ロシア、オマーンの外交官、フーシ派トップの一人であるモハメッド・アブデル・サラム氏との会談で合意された。見返りとして、中ロは国連安全保障理事会などでフーシ派を政治的に支援することが期待されている。フーシ派による船舶への攻撃が始まって以来、欧米の海運会社のほとんどは紅海を避け、アフリカ南部を回っているが、船舶追跡データによれば、中国とロシアの船舶は、多くが依然としてこの海域を通っているとしている。

[トルコ] 3月21日、トルコ中央銀行は金融政策決定会合で大方の市場予想に反して5%ptの利上げを実施し、政策金利を45%から50%に引き上げた。利上げは2会合ぶり。トルコでは、3月31日に統一地方選が予定されているため、利上げは選挙後とみられていたが、2月のCPIが前年同期比で+67.07%と予想を上回ったため、利上げが実施されたとのこと。年初来下落傾向が続いている通貨リラは、利上げ発表後1%程度上昇したが、その後少し下げて現在1ドル32リラ(1リラ=4.7円)。

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