デイリー・アップデート

2024年3月19日 (火)

[中国] 中国の全国排出量取引制度(ETS)は、2021年7月に取引を開始したが、第1段階では発電セクターのみを対象とし、順次、排出量の多い8業種に対象を拡大する予定。3月15日遅くに生態環境部は、アルミニウム製錬所の排出量算定・報告ガイドラインの草案を発表。ETS対象業種をアルミ部門に拡大する一歩となる。中国のアルミ製錬業では、近年は水力発電の利用が増え、火力発電の割合は7割程度に低下しているが、中国のCO2排出量の約5%を占めるとされる。炭素排出権(CEA)価格は3月18日現在、80.5元/トン(約11.3ドル/トン)。

[アンゴラ/中国] 3月15日、中央銀行(BNA)の金融政策委員会は、政策金利を18.0%から19.0%に引き上げた。引き上げは2023年11月以来4か月ぶり。国庫の負担となってきた燃料補助金の段階的廃止などによるインフレ率(2月は24.07%)の抑制が目的としている。IMFは、3月8日に終了した4条協議において、石油部門への依存からの脱却と財政再建の継続が重要だと指摘した。3月11日~3月14日にジョアン・ロウレンソ大統領は中国を公式訪問し、習近平主席との会談で、中国企業によるアンゴラの農業や製造業への投資について協力を約束したと報じられている。

[韓国/中東] 3月11日、UAEと韓国は、起業と金融分野に関するMoUを締結した。先だって2023年12月に湾岸協力会議(GCC)と韓国は自由貿易協定を締結しており、中東と韓国の関係はより緊密になっていた。エネルギー供給の長期安定を望む韓国と、将来の需要確保が命題であるGCC諸国の思惑が一致した。経済拡大の進むGCCは、韓国の建設会社にとってすでに重要顧客であり、また防衛強化が強い関心となっているGCCは、技術移転にオープンな韓国メーカーの武器輸出先となっている。今後両者関係の一層の強化が見込まれている。

[フィリピン] 3月18日、下院は、外資企業の誘致を目的とした企業復興税優遇法(CREATE)の改正案を可決した。この改正法「CREATE MORE」は、製造業の国外流出により約12万6,000人分の雇用が失われたという背景を踏まえ、日系を含む外資企業が懸念している付加価値税の取り扱いの見直しを主要な柱としている。2021年に成立した現行法では、外資企業の税優遇を強化する意図であったにも関わらず、実際には製造業における既存の外資企業にとってコスト負担を増加させ、事業継続を困難にしているため、改正が必要であるとされていた。

[米国] 3月18日、バイデン政権のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は記者会見に臨み、バイデン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相が電話会談を行ったことを明らかにし、首脳間の協議の結果、イスラエルが軍事・諜報・人道支援などに係る政府関係者の一団をワシントンに派遣することで一致したと述べた。ガザ紛争終結に向けて、米・イスラエル政府間で包括的な意見交換を行うことが趣旨であるとして、3月末までに実施予定。その間、現在取り沙汰されているイスラエル軍によるガザ地区ラファ侵攻は行われないことが期待されると発言した。ラファ侵攻を巡っては、両首脳間の意見の対立があるとの複数の報道がみられる。

[米国] レーガン政権で1981年から1987年まで米海軍長官としてレーガン大統領に仕えた伝統的な共和党員であるジョン・レーマン氏が、3月18日付のWall Street Journal紙に、トランプ前大統領への厳しい批判を寄稿した。レーマン氏によると、レーガン氏は米国の友邦国と敵対国とを明確に区別したのに対し、トランプ氏は敵対国を称賛し、ウクライナも見捨てようとしていると、両氏の基本的な違いを示した上で、厳しくトランプ氏を批判している。

[中国/フランス] 政治紙ポリティコは、中国の習近平国家主席が5月初旬にフランスを訪問し、マクロン大統領と会談する予定だと報じている。中仏国交樹立60周年を祝うイベントとして数か月前から準備されてきたとされるが、最近、中国は欧州に積極的に代表団を派遣するなど、欧州との関係改善の糸口をつかもうとしている。スイスで開催が予定されているウクライナ戦争終結に向けた和平会議への参加にも前向きな姿勢を示す一方で、同会議にはロシアの参加が不可欠だと主張している。

[エジプト/EU] 3月17日、EUは今後3年間でエジプトに計74億ユーロの融資や投資、経済援助を行うことを発表した。EUとしては、悪化するエジプト経済を支えることで、エジプトからEUへの移民の流れを止めたい考え。フォンデアライエン欧州委員会委員長、メローニ・イタリア首相に加え、ギリシャ、オーストリア、ベルギー首相、キプロス大統領がカイロを訪問し、EU・エジプト間の「戦略的パートナーシップ関係」への格上げも発表した。人権団体は「移民を制限するために人権侵害に無言を貫いている」と批判している。

[EU/イスラエル] 3月18日のEU外相会合で、ヨルダン川西岸におけるイスラエルの過激派入植者に対する制裁措置の政治的合意が実現した。制裁対象者のリストは公表されていない。制裁には加盟国大使による最終的な採択が必要となる。これまでチェコ、オーストリア、ドイツ、ハンガリーなど親イスラエル加盟国が反対していたものの、ハンガリーが「棄権」することで協議が前進したとみられる。

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