デイリー・アップデート

2024年3月6日 (水)

[ナイジェリア] 国際通貨基金(IMF)職員が2月12~23日にナイジェリアを訪問し、3月4日に、「4条協議報告書」を発表した。IMFは同報告書で、同国の2023年の実質GDP成長率は人口増加率をわずかに下回る2.8%となり、同国の経済見通しは引き続き厳しい状況であり、政府が最優先に取り組むべき課題は、国民の約8%(約1,800万人)が陥っているとされる食糧不安だとした。他方で、原油生産の改善、政府による社会的弱者世帯への現金給付、中銀による政策金利の引き上げを通じた金融引き締めとインフレ抑制などの動きは、好意的に受け止められている。2月末の金利引き上げの発表後、通貨ナイラの公定レートは、ドルに対して緩やかに上昇している。

[アルゼンチン] 3月1日、ミレイ大統領は、2023年12月の大統領就任後初となる一般教書演説を行い、自らが推進を図る主要アジェンダについて、国民らに対して支持を訴えた。ミレイ氏は同演説を、自らの施策に対し、より多くの国民からの支持を獲得する目的でテレビ視聴者数の多いプライムタイムで行った。アルゼンチン議会では、優先法案の可決が議員らの抵抗を受けている中、世論に支持を訴える形での実施となった。

[米国] 商務省によると、1月の製造業受注は前月比▲3.6%となり、2か月連続で減少した。民間航空機の受注が同▲58.9%と大幅に減少した影響が大きかった。ただし、輸送機械を除く製造業でも同▲0.8%であり、受注は減少していた。また、非国防資本財(除く航空機)受注は、速報段階(同+0.1%)から同0.0%に小幅に下方修正された。12月は▲0.6%であり、年末年始の製造業の受注は弱い動きになっており、先行きの生産活動や設備投資に懸念が残る内容だった。

[米国/イスラエル/パレスチナ] 米国、カタール、エジプトが仲介しているイスラエルとハマスの停戦交渉が難航している。ハマス側は、恒久的な停戦とイスラエル軍のガザからの完全撤退を求めているのに対し、イスラエル側は、あくまで6週間の一時的な戦闘停止であることと、ハマスを壊滅し人質が全員解放されるまでは軍隊を撤退させないことを主張している。また、イスラエル側は人質の詳細情報を求めているのに対し、ハマス報道官は、ハマス以外のグループに捕らえられている人質もおり、すべての情報を把握していないと回答した。

[米国] 3月1日、米通商代表部(USTR)は、2024年通商政策アジェンダを発表した。バイデン政権のアプローチとしてUSTRが掲げたのは、1)労働者の利益を中心に据えた通商政策、2)脱炭素化の促進、3)米国農産品の輸出促進、4)サプライチェーン強靭化の4点。中国に対する通商関係については、米国内投資を通じて産業競争力の強化を図り、有志国と共に、より公正な通商関係の構築を中国に求めていくと記載した。同時に発表された2023年通商政策の振り返りでは、台湾との通商合意やインド太平洋経済枠組み(IPEF)交渉の成果などを誇った。

[ロシア] 3月4日、メドベージェフ国家安全保障会議副議長(前大統領、58才)は、世界各国の若者を招いたロシア南部ソチでのフォーラムで演説し、「ウクライナは言うまでもなくロシアだ」と話し、ゼレンスキー政権を降伏させるまで侵攻を続ける考えを示した。メドベージェフ氏は、次期指導者候補の中ではウクライナなどについて最も強硬な主張を唱えているが、同演説内容は、プーチン大統領へのアピールが狙いとみられる。

[EU] 3月5日、欧州委員会は、過去2年間の緊急措置・対応から構造的条件の持続的な確立を目的とした、「欧州防衛産業戦略(EDIS)」と「欧州防衛投資計画(EDIP)」を発表した。ヨーロッパの防衛技術・産業基盤(EDTIB)が潜在能力を最大限活用する場を提供して今後10年間の方向性を示し、またそれを可能にする資金面(資金調達)と規制面(軍備の安定供給整備など)を提供する。

[ベルギー/中国] ベルギーに本拠を置く半導体研究センターのImecが、中国との提携を大幅に縮小し、成熟した技術に関する協力義務についても、継続的に関与を減らしていく予定だと政治紙Politicoが報じている。1984年に設立されたImecは、世界中の研究者や半導体メーカーが共同で次世代半導体の研究開発を進めることができる中立の地というイメージを構築してきたが、米中の半導体競争を背景に、「主に(西側の)志を同じくする国々に焦点を当てる」方針とみられる。ImecとオランダのASMLは長年のパートナーで、両者は2023年、最先端技術を備えたパイロット・ラインを共同開発する協定に調印している。

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