デイリー・アップデート

2022年11月1日 (火)

[ユーロ圏] EU統計局(Eurostat)によると、ユーロ圏の10月の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+10.7%となり、比較可能な1997年以降の過去最高を6か月連続で更新した。内訳をみると、エネルギー(+41.9%)や食料品(+13.1%)に加えて、それ以外の財(+6.0%)、サービス(+4.4%)の価格上昇も目立ち、物価上昇の裾野が広がっている。また、ユーロ圏の7~9月期の実質GDP成長率は前期比+0.2%となり、Q2の+0.8%から減速した。

[ガーナ] インフレの急騰と通貨の急落に見舞われているさなか、経済を安定化させるため、大統領が演説を行った。現在進行中のIMFとの交渉は年内に合意を目指すことや、いわゆる「ヘアカット」(年金基金や個人投資家などガーナ国民が保有する債権の減額)を行わない方針などを示した。なお、支援の規模や具体的なスケジュールについては言及されなかった。

[ロシア/ウクライナ] 10月31日、ロシア軍は、ウクライナの首都キーウを含む各地をミサイルやドローンなどで攻撃した。ウクライナ政府は、エネルギー関連施設を中心に国内10州の18施設が被害を受けたと明らかにした。この攻撃により、首都キーウでは約8割の世帯が一時的に断水し、現在も4割の世帯で断水が続いている。

[中国] 10月31日、中国鉄鋼工業協会は、本年1~9月の同協会会員鉄鋼企業の売上高が前年同期比▲9.27%の4兆8,667億元、利益総額が同▲71.34%の928億元で、平均売上総利益率が同▲4.12ptの1.91%だったと公表した。川下の需要が弱まり鋼材価格が下落する一方、原材料、燃料コストの上昇が響いた。なお、9月は不動産業界が上向いたため生産量が増加し、鉄鋼業界の収益は好転したもよう。同協会は、今後インフラ建設・製造業の需要増が見込めることから、緩やかな回復途上にあると見ている。また、業界の寡占化が進み、再編効果としてリスクに対する耐性が表れたともコメントした。

[中国/ブラジル] 中国紙「環球時報」は、ブラジル大統領選挙で、左派のルーラ元大統領が現職のボルソナロ大統領を打ち破り当選を果たしたことを歓迎する社説を掲載した。米国などで、中国がブラジルに接近し、ラテンアメリカを自国の裏庭に変えようとしている、などという「物語」が広がっているのは不条理であると批判しつつ、ブラジルは中国と戦略的パートナーシップを結んだ最初の発展途上国かつラテンアメリカにおいて包括的戦略パートナーシップを確立した最初の国であり、また、同地域で中国との二国間貿易額が1,000億ドルを突破した最初の国だとして、両国関係の重要性を強調している。

[米国] バイデン大統領の支持率は40%台前半で低迷を続けている。有権者の間ではインフレ懸念や米経済の先行き不安が広がっており、中間選挙での与党・民主党の上下両院での多数党維持に暗い影を落としている。そうした中、バイデン大統領は民主党候補からの選挙応援要請を受けておらず、上院議員選挙や州知事選挙が注目されている「激戦州」のアリゾナ、ネバダ、ジョージアの3州で、9月以降選挙遊説を避けている状況がみられる。

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