デイリー・アップデート

2022年11月2日 (水)

[ブラジル] 10月30日に投票が行われたブラジル大統領選挙決選投票では、ルーラ元大統領が得票率50.9%、現職ボルソナロ大統領が49.1%と、ブラジル史上最も僅差の選挙結果となった。選挙結果に対する自らの態度を明らかにしていなかったボルソナロ大統領は、11月1日、ルーラ元大統領への政権移行プロセスの準備を行うように指示したことを、ノゲイラ大統領首席補佐官が記者団に対して明らかにした。ブラジルの主要メディアはボルソナロ大統領が事実上敗北を認めたと報道している。

[バングラデシュ] 10月26日(~11月9日まで)、政府は同国入りしたIMFとの支援協議を開始した。政府がIMFに7月に要請した45億ドルの支援についての交渉となっている。具体的には、拡大クレジット・ファシリティ(Extended Credit Facility:ECF)または拡大信用供与措置(Extended Fund Facility)に加え、新たなスキームである強靭性と持続可能性を育むためのファシリティ( Resilience and Sustainability Facility (RSF))の内容に関して協議を実施する。今回の要請額は、過去最大である。

[アルゼンチン] インフレが高進しているアルゼンチンでは、労働組合による賃上げ要求が激化している。2022年のインフレ率は政府見通しで95.0%、民間調査では100%を超え、実質賃金の減少が大きい。一部業種では賃上げで合意に達しているものの、インフレが終息する気配はなく、継続的な問題となっている。

[ウクライナ] ゼレンスキー大統領の現在の支持率は8割を超えており、戦争への対応などで国民から厚い信頼を受けていることを示している。2024年をもって大統領任期満了を迎えるが、ウクライナ軍が戦争で勝ち続ければ、2024年以降もゼレンスキー政権が続投する見通しである。

[ベトナム/中国] 10月31日から11月1日にかけ、ベトナムのチョン書記長が北京を訪問し、習近平総書記らと会談した。先月の中国共産党大会の閉幕後に習総書記が初めて会談する外国要人となる。会談後、「中国とベトナムの包括的戦略的パートナーシップのさらなる強化・深化に関する共同声明」が発出された。中国の「一帯一路」を通じた経済開発や、中国のハイテク企業のベトナムへの投資をさらに推進し、医療、気候変動、デジタルなどの分野で協力を強化するとした。防衛協力や法執行分野、いわゆる「和平演変」や「カラー革命」の阻止に向けた協力も進めるとした。また、ベトナムはいかなる形での台湾独立の動きにも断固反対するという中国の方針に賛同し、中国のCPTPPへの加盟申請を支持すると表明した。

[イスラエル] 11月1日、過去3年半の期間中5度目の総選挙が行われた。汚職事件を巡る公判中にもかかわらず、依然国民からの強い支持を得ているネタニヤフ元首相を巡って、「親ネタニヤフ派」対「反ネタニヤフ派」で2019年以来選挙を繰り返してきた。選挙後の出口調査によると、ネタニヤフ首相率いる宗教・右派・極右連合が過半数の議席を獲得する見込み。パレスチナ自治政府の首相は、イスラエル社会の右傾化に懸念を表明した。在米ユダヤ人社会も今回の選挙結果に懸念を示しつつ見守っている。

[米国] 労働省が発表した『雇用動態調査(JOLTS)』によると、9月の求人件数は1,072万件となり、 前月から44万件増加した。宿泊・飲食サービスやヘルスケアなどで求人数が増加した。一方で、採用件数は前月から▲25万件の608万件となった。自発的な離職者数は▲12万件の406万件だった。全体として、雇用環境が堅調に推移していることが確認される内容だった。このため、「高インフレ抑制のためにFRBが大幅な利上げを継続する」という見方が市場で改めて広がった。

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