デイリー・アップデート

2022年11月14日 (月)

[欧州] 欧州委員会が11月11日に発表した「秋季の経済見通し(Autumn 2022 Economic Forecast)」によると、2022年のユーロ圏経済の実質GDP成長率は+3.2%となり、前回7月の見通しから0.5pt上方修正された。2023年は+0.3%と、同▲1.1ptの下方修正となった。2022年第4四半期から2023年第1四半期に前期比マイナス成長になる見通し。また、物価上昇率は2022年+8.5%、2023年+6.1%、2024年+2.6%と、2022年第4四半期にピークを迎えた後、伸び幅を縮小させる見通しになっている。

[南アフリカ] 12月の与党内の党首選では、スキャンダルにもかかわらずラマポーザ大統領が有力となっている。与党の支持率は大きく低下しているものの、政治的には安定が続くと考えられ、また商品価格の上昇、政府歳入の増加、汚職撲滅の動きなど明るい材料もある。しかし、労働組合のストライキや停電の増加、インフラの老朽化などが経済成長を下押しすると考えられる。

[韓国/日本/米国] 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、プノンペンで11月11日に開催された韓・ASEAN首脳会議で、自由・平和・繁栄をキーワードとする「韓国版インド太平洋戦略」を発表した。13日には岸田首相と同地で首脳会談を行い、元徴用工問題の早期解決を目指して協議を継続することや、北朝鮮の核・ミサイル問題に対処するため連携を強化していく方針を確認した。両国首脳の正式会談は約3年ぶり。また、バイデン米大統領も参加した日米韓首脳会談も開催され、北朝鮮問題に対する協力や、ウクライナ、台湾にも言及した共同声明が発表された。

[ミャンマー] 11月11日、ASEAN首脳会議が開催された。ミャンマーは「非政治的代表」の出席を求められたが国軍はこれを拒否し、昨年に続き今回も不参加。ASEAN首脳会議はミャンマーについて、「5点のコンセンサス」は今後も有効な指針であり、完全に実施されるための客観的な評価指標と具体的な期限を設けた実行計画をつくる必要があり、計画の策定は外相会議に委ねると決定した。また、「全ての当事者」がすぐに合意の実施に関与することだけでなく、「柔軟で非公式な方法」で関与を実現することを求めるとした。国軍の統制下にあるミャンマー外務省は反発し、ASEAN首脳会議の決定を「拒否する」との声明を発表した。

[トルコ] 11月13日夕方4時過ぎ、イスタンブール新市街にある繁華街、イスティクラール通りで爆発事件が起き、少なくとも6人が死亡、81人以上が負傷した。週末の夕方で、通りは多くの人が行き交っていた。エルドアン大統領は急遽行われた記者会見で、現在事件を捜査中としながらも、テロの可能性が高いと発言した。現時点で犯行声明などは出ていない。トルコでは、2015~17年にかけてイスラム国(IS)やクルディスタン労働者党(PKK)関連のテロ事件が頻発したが、2017年以降情勢は落ち着いていた。

[米国] 11月8日投票の米中間選挙について下院議員選挙の一部は依然として開票作業が継続中だが、上院では民主党現職がネバダ州選出上院議員選挙を制したことで50議席を確保し、来年1月召集の第118議会でも、引き続き多数党の立場を維持することが決定した。民主党が事前の劣勢という大方の予想に反して善戦した背景として、民主党候補がバイデン大統領に対する有権者の反発を回避して独自の戦いを展開したことや、トランプ氏の悪影響等が指摘されている。

[ウクライナ] ウクライナ政府は、国内最大手石油生産会社等を含めた、「戦略的に重要な企業5社」を政府管理下に置いたと発表した。その中に中国企業も権益を保有していた航空用エンジン製造企業、モトール・シーチ社も含まれており、中国企業から反発が出ている。モトール・シーチ社の元オーナー兼社長のビャチェスラフ・ボグスラエフ氏は10月、国家反逆罪容疑で逮捕されている。ウクライナ検察によると、同氏は制裁を迂回してヘリコプターのエンジンをロシアに密輸したという。

[中国] 11月11日、中国人民銀行と銀行保険監督管理委員会は連名で、不動産市場の安定化に向けた金融支援に関する通知を、各地の人民銀行、銀行保険監督管理局、国有商業銀行などに公布した。具体的には、本年11月11日以降、不動産企業が向こう半年以内に満期を迎える開発ローンや信託ローンなどについて、1年の返済期限延長を認める、建設工事が中断した住宅の工事再開・引き渡しのために金融機関が融資を行うことを奨励する、など16条に及ぶ。通知には「奨励」とあっても、国の指令であり、現場では強制力を持つ可能性があると「財新網」は報じている。

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