2023年6月1日 (木)
[米国] FRBが公表した「地区連銀経済報告(ベージュブック)」によると、米国経済は4月から5月初旬にかけて、前回調査時点からほとんど変わらなかった。全12地区中、4地区は経済活動が緩やかに拡大し、6地区が前回から横ばい、2地区が鈍化したと報告した。労働市場は堅調であるものの、雇用の増加ペースは前回よりも緩やかに、また、物価上昇ペースも緩やかになっている。先行きの景気について、やや悪化するという見方が多いものの、更なる拡大への期待も持たれている。
[ロシア] ロシア連邦統計局が発表した4月の工業生産は、前年比5.2%増となった。前月の1.2%増から大幅に拡大した。前年の落ち込みによるベース効果もあるものの、ウクライナ軍事侵攻に伴う軍事産業の需要が増え、政府が軍事支出を増加させていることなどが、製造業活動を活発化させているとみられる。しかし、民間部門の生産の落ち込みが続き、本格的な成長回復への道は遠く、ロシア経済省は4月、2023年の国内総生産(GDP)見通しを▲0.8%から+1.2%に上方修正した。
[オマーン/イラン] 5月28~29日にオマーンのハイサム国王がイランを訪問した。オマーンは全方位外交を行っており、敵を作らず、対立する国同士の仲介に積極的な国で、米国とイランの協議を仲介し2015年のイラン核合意につながるきっかけを作ったことや、2023年3月のイランとサウジアラビアの国交回復に貢献したことも記憶に新しい。5月26日には、オマーンの仲介でイランとベルギーの囚人交換が実現しており、今回の訪問目的も、米政府のメッセージを伝えるためとも、イランとエジプトの外交関係改善のためとも言われている。
[米国/EU] 5月31日、米国・EUによる貿易・投資評議会(TTC)閣僚会合が終了し、共同声明が発表された。TTCは、重要技術や貿易、投資分野にて政策調整を図るための場で、閣僚会合が開催されるのは4回目となる。人工知能(AI)を巡る行動規範策定に向けた米・EUの役割、電気自動車(EV)充電インフラの効率的整備など、広範な課題が協議された。米インフレ抑制法が米・EU間摩擦を生んだが、その解消のカギになるとみられる重要鉱物協定について言及はあったものの、具体的な発表はなかった。また、安全保障上の観点から対外投資審査を行うことの重要性については、G7首脳コミュニケの表現を踏襲し、新たな内容は盛り込まれなかった。
[米国] 5月24日、フロリダ州のデサンティス知事は、共和党大統領候補指名獲得争いへの出馬を表明し、今週は他州に先駆けて党員集会や予備選挙を実施する「序盤州」のアイオワ州やニューハンプシャー州を訪問している。デサンティス氏がフロリダ州で最大の雇用を創出しているウォルト・ディズニーと対立を深める中、米経済界のリーダーからは企業寄りの候補の出馬を求める声が上がっており、バージニア州のヤンキン知事やジョージア州のケンプ知事の名前が浮上している。
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