デイリー・アップデート

2023年6月12日 (月)

[メキシコ] メキシコの4月の鉱工業生産指数は前月比+0.4%となった。3月の前月比▲0.9%という急激な落ち込みから持ち直したものの、マイナス幅を部分的にしか回復できていない。米国経済が景気後退に陥る可能性があり、内需も苦戦を強いられていることから、今後数四半期にわたって軟調に推移すると考えられる。

[トルコ] 6月9日、エルドアン大統領はトルコ中央銀行総裁にハフィゼ・エルカン氏(41歳、女性)を任命した。同氏はトルコの大学を卒業後、米プリンストン大学で博士号を取得、ゴールドマン・サックスなど米金融機関での勤務経験を持つ。エルドアン大統領は、+80%を超える高インフレ下でも低金利を維持し経済成長を持続させる異例の経済政策を取ってきたが、6月3日には市場からの信任の厚いシムシェキ氏を財務相に任命するなど、利上げも含むより正統的な経済政策に転換し、経済立て直しを図る兆候ともみられている。

[日本/米国/英国/カナダ/豪州/ニュージーランド] 6月9日、日本、米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランドの6か国政府は、経済的威圧行為に関する共同声明に合意し、発表した。共同宣言は経済的威圧行為や非市場的政策・慣行の例を挙げ、そうした手段を採用することを控えるよう国際社会に訴えると共に、国家主導の強制労働に対する懸念を表明した。明らかに中国を念頭に置いた文書であるが、中国への直接の言及は無い。今後の対策として情報共有、WTOにおける協調行動、新たな政策ツールの開発を挙げており、これは先のG7広島サミットにて採択された経済安保に係る首脳声明とほぼ同内容となっている。

[米国/中国] 米中関係が悪化の一途をたどる中、6月中にもブリンケン米国務長官の訪中が計画されているが、6月8日、米有力紙が、中国政府とキューバ政府がキューバ国内に対米諜報収集活動のための基地を建設する秘密協定に合意していたと報道した。フロリダ州沖からわずか160kmしか離れていないキューバに傍受施設が建設されると、米中央軍(CENTCOM)などの重要な米軍基地が多数存在し、船舶の航行も活発な米南東部地域における米国の電子通信の傍受が可能となる。

[日本] 日本銀行『企業物価指数』によると、5月の国内企業物価指数は前年比+5.1%だった。上昇率は2022年12月(+10.6%)に直近ピークをつけてから、5か月連続で縮小した。内訳をみると、政府の電気・ガス料金抑制策の影響によって、電気・都市ガス・水道の上昇率が4月の同+24.3%から同+13.1%へと縮小した。日銀によると、この影響で物価全体は0.7pt程度押し下げられた。また、輸入物価指数(円ベース)は同▲5.4%と2か月連続でマイナスになった。

[ロシア] ロシアでは6月12日は「ロシアの日」という祝日であり、いわゆる「独立記念日」として1990年、当時のソ連からロシアが主権国家として独立宣言した日となっている。今まで、ロシア人の多くには関心が薄い祝日だったが、最近はこの祝日に関する認識が高まっているもよう。ウクライナへの侵攻が続く中で、愛国心を鼓舞しようと、自治体などが各地で関連のイベントを開き、プーチン大統領もクレムリンで挨拶を行う予定となっている。

[韓国/中国] 中国の郉海明・駐韓大使が韓国与党「共に民主党」の李在明氏と会談した際に「中韓関係は困難に直面しているが、その責任は中国にはない」、「米国が勝利し、中国が敗北することに賭けるのは過ちで、後で必ず後悔する」などと発言したことに対し、韓国外交部の張虎鎮・外務第1次官は6月9日、郉大使を呼び出し抗議した。翌日の6月10日、今度は中国外交部の農融外務次官が鄭在浩・駐中中韓大使と会談し、韓国側の「不適切な対応」に懸念と不満を表明した。4月にも韓国と中国の外交部は相手国の大使を呼んで、抗議を行っている。

[中国] 6月8日、中国商務部は、ガソリン車が主流の農村における新エネルギー車の普及を目指し、「千県・万鎮、新エネルギー車販売促進活動」を企画して、全国の千の県、万の鎮で「キャラバン隊」を組み、新エネルギー車の農村進出・普及を指導する計画を発表した。またこの計画では、企業が農村のニーズに適合するよう、コストパフォーマンスが高く実用性の高い新エネルギー軽ワゴン、軽トラックの投入、アフターサービスネットワークの確立、充電インフラの整備を推進することを奨励することになっている。

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